突然「あなたが生贄です」と言われても困る(4)
ライルは拍子抜けする程イケメンだった。
髪も瞳も水色だった。
保護色?と言いたくなる程、水色だった。
土曜日の午後に「水色の国」に入った時に、
目の前に立っていた。
照れます。
アニメの二次元的なイケメンだった。
(でも何を着ているのか、どんなヘアスタイルなのか、どんな表情をしているのか、よく掴めない。)
『ありがとうございます。ここでは普通かと』
そうですか。
「ここ(水色の国)がわたしの本当の国なのですか?」
『はい』
良くわからないが、イケメンのライルにつられて、こちらも何だか「絵のように美しい姫」になった気がする。
おぉ『生贄』の条件!
って、いきなりパクって食べないでね。
『大丈夫です。』
ずっと大丈夫だといいけど。
ーーこれに対しては返事がなかった。
どうやら脳内LINEのオンオフの技を持ったようだ。
それか、答えにくものには既読無視をしているのかも。
水色の国は、1回目の時より少し濃くなっている気がした。
『日によってかわるのです。』
『ここでは「仮の国」のように、朝、昼、夜の区別がありません。』
ほー
『時、はありますがあまり重要ではなく、気にしません。』
『それぞれ体内時計のようなものを持っていて、それに従って行動します。』
『明確に年を取る事もないので、自分の思うイメージの自分でいる事ができます。』
「めっちゃ良いじゃないですか!」
「不老不死的な?事ですか?」
『それは違います。』
「あ、違うのね」
『それぞれに「使命」を持っていて、それをクリアするように努力します。そしてそれがクリアされると終わります。』
「どんな使命?」
「え?終わるの?」
『それぞれに与えられた使命です』
『はい。終わります。』
「どうやってその使命を知るの?」
「どう終わるの?」
『ーーー』
二重の質疑応答はルール違反なのか、ライルは
黙ってしまった。
会話をしている間、歩いていた。
そこは、やっぱり拍子抜けする程「お城的な所」だった。
そりゃあ、ライルほどのイケメンに合うのは
「お城的」なアイテムよね。
「仮の国」のアイテムは一切似合わないし、ここにはない。
あ、だから「声」だけだったのか!
『そういうワケでもありません。』
『こちらにお帰りの間に、色々な事を思い出していただきます。』
「え?じゃあ思い出したところでパクリ?」
『そうではありません』
何となく自暴自棄的な思考と楽天的な思考が入り混じってくる。
『仮の国』とやらで起こった事がすべて「仮の事」だったとしたら「本当の事」って、何なんだろう?
あぁもう頭が混乱してきた!
『こちらへどうぞ』
通された所は、これもまた拍子抜けする程、
え?自分の部屋?!