ブローチを作りなさい 完
暑い、暑すぎる。
今日はどうしてこんなに暑いの、それにセミが鳴きすぎじゃない?
そういえば、晩餐会に着ていく服に装飾が必要だったわ。街の職人を呼ばせましょう。
「わたくし、晩餐会につけていくエメラルドのブローチがほしいの。作ってくださいますわよね?」
「恐れ多くもブローチは作れど、エメラルドはございません。皮はいかがでしょうか?」
「いいえ、エメラルドで作りなさい。出来ないと言うのなら、今後あなたからの装飾品は結構よ。別の者にお願いするわ。」
「いえ!!王妃様、おまかせください!王妃様のお気に召すブローチをお持ち致します」
なんだ、がっかり拍子抜けよ!あまり怖がりもしないし、作ってくれるだなんて。今回は期待できそうにないわ。
「あら、王様。どうなさいましたの?」
「君が頼んだというブローチを受け取ったんだが、うっかり落として壊してしまってね。謝りに来たんだ」
「そうでしたのね、しかたありませんわ。」
「ごめんね、今度新しい物をプレゼントするよ。あぁ、そうだ!晩餐会の日に着る下着を準備したんだ!渡しても?」
「下着!?え、えぇ、お王様が用意して下さったのですから、嬉しいですわ。。」
またなの!?この人一体なんなのよ!!
また壊すなんて、もはや嫌がらせとしか思えないわ!!
しかもなんて言ったの?下着!?
は、は、ハレンチィィ!!!!!
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あぁ、今日の王妃もおバカ(可愛い)だなぁ。
うろついている職人の男に声をかければ、王妃宛だと言うじゃないか…見るからに怪しいな
「手に持っている箱はなんだい?そうか、、ありがとう。これは僕から王妃へ渡しておくから、帰っていいよ」
受け取ってみれば、ガラクタに毒針付きときた
王妃が開けなくて本当によかったよ。おバカな王妃はきっと喜んで触ってしまうからね。
そうそう、下着を喜んでくれたみたいで良かった。真っ赤な顔で見てるから意地悪したくなってしまうよ。次は何にしようかなぁ
(あの日、職人が家へ戻ると見習いはすでに姿を消していた。)
ブローチを作りなさい。をお読みいただきありがとうございます。
もう少し続ける予定ですので、お付きあいいただけると嬉しいです。ありがとうございました。