ブローチを作りなさい②
城を訪れた職人は以外な人物に遭遇する。
「ん?手に持っている箱はなんだい?」
「お、王様!!これは、王妃様に頼まれました品にございます。出来上がりましたのでお届けに参りました」
「そうか、ありがとう。これは僕から王妃へ渡しておくから、帰っていいよ」
ブローチの入った箱を王へ渡し、失礼しますと身を翻す。
「あぁ、そういえば。弟子は大切にしてあげないとね、あとお酒も程ほどに」
にこやかに言う王子の目は、心なしか笑っていなかった。どきりとしながらも、箱を開けられる前に急いで家路に着く。
「こんなもの渡す必要はないよ」
箱を床へと落とし上から強く踏みつける。
足元に散らばった木片と金属を衛兵に片付けさせ、王妃の元へと足を向けた。
扉が開く音に視線を向けると見目麗しい王が立っていた
「あら、王様。どうなさいましたの?」
「先ほど、君が頼んだというブローチを受け取ったんだが、うっかり落として壊してしまってね。謝りに来たんだ、許してもらえるかな?」
「そうでしたのね、しかたありませんわ。晩餐会には別の物を着けることにいたします」
「ごめんね、今度新しい物をプレゼントするよ。あぁ、そうだ!晩餐会の日に君が着る下着を準備したんだ。今渡してもいいかな?」
「し、下着!?え、えぇ、お王様が用意して下さったのですから嬉しいですわ、、」
良かった、じゃあ持ってくるねと、足取り軽やかに自室へと取りに向かった。