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朝食

次の朝、ルイは一人で登校していた。



ルイ (昨日理事長に呼ばれたけど、魔盲の僕と話すのって世間的にどうなんだろう。

まぁ、あの人の事だから大丈夫だろうけど少し心配だな。現に周りから凄く嫌な視線を感じるし。

早く帰りたい。昨日の研究も後少しで終わりそうだし。あ、後新しい杖の材料も揃えなくちゃいけないんだった。

やることが山積みだな…)


アリス 「おはようルイ君。何か考え事かしら?考える事はいい事だけど歩きながらは少し危険よ?」


ルイ 「なっ!何してるんですか…!外で、しかもこんな人の目がある所で何話しかけてるんですか!」





ルイはいきなり話しかけ来たアリスに驚ろきを隠せないでいた。それは話しかけてきたと言う行為ではなく、アイスが話しかけてきたこの状況を大衆の前でしてくるという事に驚いていたのだ。

魔盲は人類、魔族問わずに忌み嫌われる存在。そんな自分に話しかけるなど十分にあり得ないというのに、それを周りに知らせるなど一体何を考えているかルイには全く分からなかった。





アリス 「何って、今日のお昼は私と一緒に過ごす約束ですからね。他の人と約束をしない様に念を押しにきたんです」





アリスのその言葉を聞いて周りがざわつく。当たり前だ。魔盲の新入生が登校2日目でいきなり理事長と二人で昼食をとるのだ。いや、仮にも最上級生である4年生の首席であってもそんな機会はないだろう。

それこそ力、権力、富、そして人としてのあり方の全てが彼女と対等でなければいけない。

彼女がそう言ったわけではないが、もはやそれは暗黙の了解となっている。




ルイ (まずい、このままではこれからの学園生活が遅れなくなってしまう。ただでさえ何もしなくても目立ってしまうのに)

  「しませんし、そんな約束する相手なんていません。それより今はそれ以外のことで貴方との約束を守れるか怪しくなってきましたよ…」


アリス 「それもそうね。このままではルイ君がお昼まで生きているのかすらも怪しいわね。仕方ないわ、時間をずらして今からにしましょうか」


ルイ 「は!?え、ちょっと待っ」




アリスがルイに近づき転移魔法の魔法陣を起動させる。ルイはアリスに反論しようとするがアリスはそんなの知った事かという顔でそのまま転移魔法を発動させた。
















ルイ 「あの、これは一体どう言うことですか?話しかけてきたり僕をこの部屋に連れて来たり何を考えているんですか?」


アリス 「私って実は気分屋なんです。お昼までは仕事を片付けながら待とうかと思ったのですが、何故か夜に仕事をしたくなりまして今日やる分を片付けてしまったのですよ」


ルイ 「それでは何故あんな大衆の前で僕に話しかけたんですか?」


アリス 「何かいけませんでしたか?」


ルイ 「いけないも何も僕は魔盲ですよ」


アリス 「知ってますよ、貴方が言ってましたから。それが何か?」


ルイ 「何かって…」


アリス 「私は別に魔盲だからと言って差別するつもりはありません。それに私の第三部隊では何人か魔盲もいますよ?」


ルイ 「!?初めて聞きました…」


アリス 「公にはしまいませんから。でも彼らは魔盲だと気づかれてはいません。それは貴方みたいに常人には考え付かない様な事をやってのけているからです。それも信じられない程の努力の上で成り立っています。そんな人達をどうして卑下しなければならないのですか?」


ルイ 「それは…」




ルイは何も言えなかった。この人が言っている事は至極正しい。過去、記録に残っている魔盲の人達は常人には出来ない様な技術や思考を持っていた。それは天性のものではなく絶え間ない努力の結晶、決してバカにできる様な頃ではない。しかしそれは魔盲だと言う事だけでなかった事にされる。まるで以前からあったかの様に、それが世界の常識であるかの様に。




アリス 「魔盲だからと言い私は貴方たちを否定するつもりは毛頭ありません。それを他人に強要するつもりもありません。ですがもし私の前で貴方たちが卑下されているのなら、苦痛を味わっているなら私はそれを許しません」


ルイ 「……貴方はそれを言うために僕を呼んだんですか?」


アリス 「それは言いたい事の一つですね」


ルイ 「まだあるんですか…」


アリス 「もちろんです。けどその前に朝食にしましょうか」




アリスはそう言いながら腰を上げ理事長室のキッチンに向かい作ってあったサンドイッチを出してきた。




ルイ 「今からですか?もう10時ですよ」


アリス 「貴方もまだ食べていないのでしょう?」


ルイ 「……なんで知ってるんですか」


アリス 「何となくです。さ、食べましょう?」





そうして出されたサンドイッチとコーヒーは何とも美味しそうだった事を僕は鮮明に覚えている

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