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いつか優しい未来  作者: 名月らん
白銀の城
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白銀の城

いよいよ物語が動き出します。


翌日、雪が降り始めた村外れの古びた小さな駅に3人の少女が降り立った。


「凄い雪だね。もう3月だって言うのにめっちゃ寒い」


1人の少女が足踏みをしながら手をこすりあわせて言った。


「大丈夫?そうだ奈月さんカイロまだあるよ、いる?」


もう1人の少女がそう言いカイロを差し出した。


「いるいる!!分けて~」


奈月はカイロを受け取り幸せそうにほほに当てた。


「あたたか~い、ありがと麻衣子さん。まさかこんなに寒い所だなんて思ってなかったよ。本当にカイロはサイコー生き返るわぁ」


ふふっ面白い人


嬉しそうにカイロにほおずりをする奈月をみていた麻衣子は緊張がゆるみ笑顔がこぼれた。


「ん?なに」

「ううん何でもない」

「そう?でもさビックリなのは実加さんだよね全然寒そうじゃないんだもん本当に大丈夫?平気?」


と奈月が心配をして声をかけると黙って2人の話を聞いていた実加が


「うん多分大丈夫かなけっこう寒さには強いから。どちらかと言うと暑いほうが苦手かも」


それを聞いた奈月は


「へー」


なるほど、実加さんは熱中症に注意の人なのね。確かに熱中症やらで脱水はヤバイわぁ

脱水と言えばミネラルが必要よね、でも脱水予防の飲み物って結構高いのよね…

あっ思いだした安いのもあったわ今度買っておかなくちゃ。

確かあのドラッグの割引券がココにあったと思うんだけど


とブツブツ言いながら鞄を探りだした奈月にひきつりつつ麻衣子が


「奈月さん声が」

「ん?」

「何かの呪文のように漏れてる」


しばらく麻衣子と奈月は見つめあった。奈月は鞄のファスナーをそっと閉め何事もなかったかのように微笑み


「なんの話だっけ…あっそうそう実加さんが寒さに強いってやつね。そうね2人とも色白だもんね日焼け苦手そうってか、うらやましい~私色黒だから」


と言うと麻衣子と実加が目を点にして奈月をみた。奈月は慌てて自分はスポーツをやっているので日焼けは平気だという事と、ただ色白に憧れていて自分は女の子らしくないのが難点だと言うと麻衣子が


「そんなことないよ、だって奈月さんスポーツ出来るなんてカッコし素敵な人だよ。私なんて運動音痴だし」


と言った。奈月は照れておでこをかきながら


「カッコ良くて素敵な人ってやだぁ~なんかくすぐったいなぁありがとう、いい子だね」


と麻衣子に抱きつく奈月。


「くっくるしい」


ゴメンゴメンとはなれる奈月。慌てて麻衣子を支える実加と奈月に麻衣子はごほごほしながら大丈夫と言った。



「本当にごめんなさい私ってば力の加減がうまく出来ないのよ。握力と腕力では男子に負けたことなくてさ、そのお蔭なのかなオリンピックに行けるってレスリングに誘われたこともあるのよね」


麻衣子と実加は顔を見合せ思ったよりヤバイ人かも知れないと目配せをした。そんな2人に気付かない奈月は上機嫌で


「でもさマジで一人だったらどうしようかと思ってたんだ、2人に会えて本当によかったよ」


と言うので麻衣子は奈月から少し離れつつ


「私も奈月さんに会えてホッとしたんだよ」


と答えると本当にこの子は可愛いとまた抱きついてきた。慌てて実加が首を絞めちゃダメだと奈月を引き剥がすと目を点にする奈月。


「え?私また首を絞めてたの?」


またって無意識かよ…


奈月に問われて大きく頷く2人に奈月は申し訳なさそうにうつむいた。そんな奈月をみて実加がクスッと笑い


「本当に面白いわね、ここで会ったのも何かの縁なんだろうし…これからよろしくね奈月さん」


と言うと奈月は嬉しそうに胸を張って


「もちろんドンとお姉さんに任せなさい!」


と言った。


お姉さん…って、だからいい子ねって年下扱いなのね

まあそのうち分かるだろうから今は本当の事は言わないでおこう


麻衣子と実加が顔を見合わせていると不思議に思った奈月が


「なになになに~やだ2人だけで通じるのなし置いてきぼりハンターイ」


と、じたばたしながら言うので2人は笑いだした。少しムッとした奈月を2人は楽しくて愉快な人だとなだめ3人は顔を見合わせて微笑みあった。その時フードをかぶった2人の青年が足早にやって来た。そして3人を見てその内の1人が駆け寄って来て声をかけた。


「君たち、もしかしてこれから平岩の城へ行くのか?」


城という言葉に麻衣子は


「城って?」


そう聞き返すと意を決したように青年が


「悪いことは言わない君達は今すぐ帰ったほうがいい。ここにいちゃいけないんだ。隣町まで送るから早く、さぁ」


戸惑う3人に青年は慌ただしく言い麻衣子の腕をつかみ引っ張った。何が起こったのか訳がわからない3人に


「君たちの命に係わるんだ」


その言葉に実加が


「命って…それは平岩家だからですか」


青年はぎょっとして実加を見て


「まさか君は何か知っているのか?」

「え?なになに話が見えないんだけど」


すっとんきょうな奈月を横目に青年は


「どこまで知っているんだ」


と聞いて来たので実加は麻衣子をチラッと見た。頷く麻衣子を確認した実加は思い切って


「私たちは」

「だめだ光、もうやつらが来た」


ずっとまわりの様子を見ていたもう1人の青年が突然叫んだ。


「遅かったか、いいか出来るだけ急いでここから去るんだぞ!!君達はここにいちゃいけないんだ。ここは、ここは…魔物の住みかなんだから、わかったね」


そう言うとあわただしく去っていった。


魔物の住みか…


麻衣子と美加の表情がこわばった。それに気付かない奈月はブリプリ怒りながら


「何なのあの人、ビックリしたじゃないちょっと麻衣子さん大丈夫?」


と聞くと麻衣子は我にかえり


「大丈夫少しビックリしたけど。でも魔物の住みかって、まさか」


奈月はその言葉に驚き身震いしながら


「えなにそれ?魔物ってなに」


やっぱり聞いてなかったのね…


と二人が思っていると


「まさかぁ~魔物だなんてあり得ないよ。だって今何年だと思ってるの?中世じゃるまいし」


と言うと実加は小さく微笑み


「中世って言葉は知ってるのね」


と言うと目を点にしたあとバカにされたことに気付いた奈月が美加の首を締め出した。


「一言多い」

「ごめんなさい、くっくるしい」

「ちょっと奈月さん実加が死んじゃうから」


慌てて2人を引き離す麻衣子。普段はあまり冗談を言わない美加が奈月を突っ込むのをみて麻衣子は


美加も不安なんだね、だから暗い空気を変えたかったのかな


「どうかみんな無事で帰れますように」


と祈るように麻衣子は呟いた。


この時の彼の言葉を後になって思い出す事になろうとは、まだ物語は始まったばかりだった。

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