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いつか優しい未来  作者: 名月らん
白銀の城の悪魔
13/20

美しい悪魔

翌朝、村長の白山と野々宮が城にやって来た。しばらくすると田所が現れ2人を迎え入れた。


「わざわざお越しいただいて恐縮です」


そう田所が言うと白山が


「具合が悪いらしいな、またなのか」


と聞いた。田所は


「いつもの事ですよ、しばらくすれば良くなるはずです」


とニヤついて言った。だが白山は眉間にシワをよせ


「最近よく悪くなるのはもうそろそろなのか?だがまだ生きてもらわないと困る。あれは鎖なのだから」


と言った。田所は頷き


「おっしゃり通りです。まだ大丈夫でしょうがね」


と言い案内をしようとしたとき


「そう言えばこの間平岩のが来ていたそうだな」


と言うと田所が


「ええあの誘致の件ですよ。金では動かない頑固な奴等がいたもので、さあ部屋に案内しましょう」


と2人を連れて歩き出した。そこにばあやがやって来て会釈をした。そんなばあやに白山が


「ばあやか久しぶりだな元気かな?」


と声をかけると、ばあやはジロッと白山を睨み付けた。そして


「今日は何をしにいらしたのですか?」


と冷ややかに言った。白山はニヤッと微笑み


「姫の具合が悪いと田所に聞いたものでな、心配になって見舞いに来たのだ」


何を心配しているのやらとばあやは思っていた。


「そう睨むな、少し顔を見てすぐに帰る心配は無用だ行くぞ」


と言い白山は2人と共に去っていった。


これ以上具合が悪くならなければいいのだけれど


ばあやは胸がざわめくのを感じながら去っていく白山達の後ろ姿を見ていた。


白山達が結の部屋の前につくと田所がノックをし扉を開け


「結さま村長がお越しですよ入りますよ」


といっている間に白山達はズケズケと部屋の中に入っていってしまった。

ベッドに横になっていた結は突然入ってきた白山達に驚きベッドのうえに起き上がり


「ノックも出来ないなんて、あなた達はいつまでたっても礼儀知らずね」


と言った。そんな結に白山が


「礼儀…私達はあなた方にはこれ以上ないくらいの礼を尽くしているはずですがね、これ以上どうしろと?」


と言った。結は呆れながら白山を見て


「もういいわ何をしに来たのよ」


と言うと白山は


「姫の具合が悪いと聞きましたのでねお見舞いに来たのですよ。おい」


と言い目配せをすると野々宮が果物の入ったカゴを差し出した。


結は白山を睨み付け


「誰があなたに見舞いに来てほしいなんて言ったの、そんなもの必要ないわ持ってかえって」


と結が言うと田所が


「なんと、もったいないですなぁ~じゃあ私がいただきましょう」


と図々しく受け取りニヤニヤしながら部屋から出ていった。


こう言うときだけは良く鼻がきくのね


結が2人に背中を向けると白山が冷ややかな視線でまじまじと結を見た。


「しかし本当に全然昔と変わりませんな、いやはや歳をとらないなんて羨ましいかぎりです」


その言葉に結はイラつき眉間にシワをよせて起き上がり


「気持ち悪い言い方ね、何が言いたいのハッキリ言えばいいでしょ」


と言うと白山はニヤリと笑いながら


「実は新しいプロジェクトが持ち上がりましてね、まだまだあなた方の力が必要なんですよ」


と言った。その言葉を受け野々宮が


「今回は国家プロジェクトなのです。まだ内容は言えませんが未来を詠み人の心を操る力、そしてその血があれば反対派を制圧して世界を動かすことなど簡単です」


白山は結のベッドに近より耳元で


「その為にもこれからもこの調子で長生きしてくださいよ、あなたに死なれてあれまで居なくなられると我々は冗談じゃなく困りますからな。その為に我々は最善を尽くしておるのですから」


と言い離れた。結は苛立ちを隠すこともせず白山達に向かい


「そうよね私達がいなくなればその新しいプロジェクトはつぶれるわよね。せっかく勝ち取ったあなた達の今の地位も名誉も富も、全て無くなるんですものね」


と言いベッドから出てきて白山の首に手をかけた。野々宮が拳を振り上げた時


「待て」


と白山が制し結に向かい


「その程度の力で」


と言い結の腕をつかんだ。


「忘れているようだが今のあなたは私にも勝てないのだよ」


と突き飛ばした。倒れこんだ結は白山を睨み付け


「こんな雪の中をわざわざ見舞いに来るくらい心配してくれて、ありがたくって反吐が出るわ」


と言い自嘲気味に笑った。

そんな結に白山が


「分かってらっしゃるのなら何よりですな、はやく用意をした食事をとって良くなってくださいよ姫」


と言うと結はテーブルのうえにあった置物を投げつけ


「もう用はすんだでしょ早く帰ってこの部屋から出ていって」


と語気をあらげて言った。

そんな結に白山は困ったもんだという顔で


「どうやら姫のお気に障ったようだな今日はこれくらいで帰るとしようか」


と言い扉に向かい歩き出したが立ち止まり


「そうそうあの広人とか言う男だが新一郎にソックリですな。村で見かけたときはビックリしたがここにいるとは不思議な縁ですな」


その言葉に結は


「あなたには関係ないでしょ出ていって」


と言った。悔しそうに歯ぎしりをする結に白山は


「またまた出過ぎた事を言ったようで申し訳ない、ではまた参ります早く良くなってくださいよ」


と白山は言い部屋から出ていった。


悔しい悔しい悔しい


結は床を何度も叩いた。そして起き上がりベッドに向かうと枕を持ち上げ2人が去った扉に投げつけた。


誰のお陰で生きていられると思っているの

私を見下すなんて許さない

あなた達を利用するのは私よ


「私が全てを支配するのよ」


悔しさと歯がゆさのなか結が叫んだ。


その声を扉の外で聞いていた白山はニヤリと笑い無様だなと呟いた。そんな白山に野々宮が


「あの人が…今日始めてじっくり見ましたが噂にたがわず美しい方ですね」


と言うと白山が


「見かけに騙されるなあれは私が子供の頃から変わらない姿をしている化け物だ。利用するだけして切り捨てればいい」


と言うことはと野々宮は歳を計算して驚いた。そんな野々宮に


「今さら驚いたか、それにしてもあれほど悪くなっていたとはこれでは時間がない。今死なれては困る何とかしなければ」


と言う白山の言葉に野々宮が不思議そうに


「時間がないとは?あの人達は不老不死のはずですよね。だったら何も心配はないはずでは… まさかそんな事もあるのですか」


と聞くと白山が


「不老不死と言っても食事をしないと力は弱る特に結はすぐに弱ってしまう。

忘れるな完全に不老不死で必要な力を持っているのはケイルの方だ。

ケイルを繋ぎ止めておくために結は生かしているにすぎないこの事を忘れるなよ」


と言った。野々宮は驚いて


「ケイルの方が完全だったとは」


その言葉に白山が


「野々宮お前はまだまだだ、それにしてもあの広人と言う男は邪魔だ」


と言うと我に帰った野々宮が


「そうですね邪魔物は排除しなければ、いざとなればすぐに処分いたします」


と言った。


「頼んだぞ、これからはお前に全てを任せるつもりだから頼りにしているぞ」


と白山が言うと野々宮が


「任せてください邪魔者や裏切り者は許しません」


と言い2人は玄関へ向かった。玄関ホールにつくと奥から広人が現れた。2人は広人を見て思わず驚いた。だがすぐに動揺を隠し白山が


「やあ広人さんご機嫌いかがですかな」


とにこやかに言った。そんな白山に広人が


「はい」


と答えると本心の読めない笑顔で


「それはよかったでは」


と言い去っていこうとした。広人はそんな2人を呼び止め


「あの今日は何か用事でもあったんですか」


と聞いた。すると野々宮が


「お答えする筋合いではないかと」


と言うと白山が制し野々宮は仕方なく


「結さまの具合が悪いと聞きましたのでお見舞いに参りました」


と答えた。広人はじっと野々宮を見たまま


「そうなんですか…俺も結さんの事は気になってたんです元気そうでしたか、後で見に行ってこようかな」


と言うと戸惑った野々宮がスッと目をそらした。それを見た白山が


「いやーまだ辛そうでしたがね、そうですな後で行ってみてあげてください。

さあ我々は暗くなる前に帰るとしようこれ以上雪が積もると帰れなくなる。では失礼しますよ」


と言い去っていった。


「まだ具合が悪いのか、でもこんな大雪の日に見舞いに来るなんて皆よっぽど結さんを頼りにしてるのか…それとも」


広人は結の部屋のある2階を見上げていった。


実加はペンダントを握りしめ館の中を一人歩いていた。


「父さんお願い私を守って」


そう呟き実加が視線を上げると突然目の前に結が


「何を驚いてるの?私を探していたのよね」


微笑みながらも冷ややかな目をした結の言葉に実加は凍りついた。


「具合が悪かったんじゃ」


「ええとても悪いわ、でもそろそろハッキリさせないとね。あなたの父親の名前を当ててみましょうか、実加・桜井・ヴァルカスキー=ドヌーブさん」


実加は覚悟をしたように結を見つめた。結は白い手袋をした手で実加のほほをなでた。


「懐かしい名前だわルナソル・アシオン・ヴァルカスキー=ドヌーブ、ケイルとあなたの父親。そして私を不幸の底に突き落とした男。

そんな大事な名前を私が忘れるわけがないでしょ」


そう言い実加のほほを叩いた。


「あの男のせいで父を心から愛す事もなく母は狂ったまま死んで行った。残された私は父から疎まれ祖母の手で育てられたのよ」


結は怒りのあまり体が震えていた。実加にはそんな結の憎しみが伝わって来た。


「今さら何をしに来たの、父親の代わりに懺悔でもしに来たって言うの」


実加を睨み付ける結の鋭い視線…実加はその視線を避けずに


「私は父の代わりに全てを、悲しい運命を終わらせる為にあなた達に会いに来たんです」


実加の言葉に結はたまらず笑い出した。


「あなたふざけてるの?全てを終わらせる為にですって笑わせないで、全ては私の手の中に私を中心に回るのよ。

あなたに出来るのはただ見ている事だけよ」


そう言い実加を睨み付ける結に


「あなたは何も分かっていない今のあなたは本当に幸せなの?

こんなカゴの中で人として生きていると言えるんですか、本当にこれでいいんですか」


その実加の言葉に結は怒りをあらわにし実加の首を掴んだ。


「うるさい!!あなたなんかに分かるわけがないわ。私の苦しみや絶望がどれ程のものだったか、分かってほしいとも思わないわ 」


結は実加の首をありったけの力で締め出した。


「くっくるしい」


こぼれた実加の言葉に


「苦しいでしょ、でもね私の苦しみに比べれば大した事じゃないの、ほらもうすぐ楽にしてあげるわ」


結がニヤリと笑った。そこへ田所がやってきて驚いて2人を見た。そんな田所に結が


「田所、良いところに来たわ。計画を変更してまずこの子の血から今すぐ抜いてちょうだい早く」


田所は驚きながらも


「分かりましたすぐに用意しましょう」


と言いポケットから注射器を取り出し美加の腕に射した。すぐに力が入らなくなる美加に結は


「嬉しいわあなたの血は私の力を強めるのに最適ですもの。最後に役に立てて嬉しいわよね」


と天使のように微笑み言った。そんな結の言葉を実加は遠くなる意識の中で聞いていた。


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