第3章 ずっと好き
それから、夏休みが明けた。
僕らはいつも通りの学校生活が始まった。
朝起きて、家を出て、学校に行き、朝練をし、着替えて、授業が始まる。
こうして、数日がすぎいよいよ待ちに待った体育祭の日がやってきた。
僕は、彼女とハチマキに名前を書いて交換した。体育祭と言っても得にこれといって面白いのはなかったのだが、彼女は脚が早くリレー選手だった。
僕は、彼女が運動をしているとこを見るのが好きだった。何かが好きっていうのではなく、ただ何事にも一生懸命で全力で取り組む彼女の姿を見るのが好きだったのかもしれない。
だが、勿論彼女にそんなことを言ったことはない。なぜ、ならなんだか恥ずかしく素直に好きなんて言葉を口にできるような男ではなかったからだ。
なんだかんだで、僕もリレーの選手だった。3年ということで走るのも最後で一応学校で1番早かった僕はアンカーだった。ついに僕の番が来た。ほとんど差がないままアンカーにバトンが渡った僕は走っている途中に全力で応援している彼女の顔が見えた。そして、僕は彼女の笑顔に背中が押されるように脚が進んだ結果はゴールテープを最初に駆け抜け1位となった。
彼女は疲れている僕のそばに来て、
「おつかれ、かっこよかったよ」
と疲れを忘れさせてくれるような笑顔で僕を抱きしめてくれた。僕は、そんな反則な笑顔があったのかと思い強く抱きしめた。それから、体育祭が終わり彼女が部室に来て渡す機会なかったけんと言って僕の足首にミサンガをつけてくれた。そのミサンガは、青色でまるで空と海をそのまま持ち上げたような綺麗な青色の3色のミサンガだった。それを僕は、毎日つけて生活した。
それから、数日が経ち体育祭のことももう誰も口にしなくなった頃に、最後のイベントと言える文化祭があったが、文化祭に関してはあまり力を入れてやったという満足感や思い出も特になかった。
それから僕からは卒業まであと、1ヶ月くらいになり、授業で今年1年を振り返ってという題名で作文を書くことになった。僕は、作文や感想文といった文章を書くのがすごく苦手だった。とはいっても書かないと残って仕上げて帰るようにと言われ書くしかなかった。その1年に関して、振り返りながら色々なことを思い出していた。そして、数々の思い出を次々と思い出しながら僕は筆を走らせた。
そして、文章最後の言葉は、
「僕の最後の中学生活にはいつも彼女がいた」
という言葉で締めくくった。
思い出せば僕の最後の1年は彼女との付き合いから始まり、毎日の思い出に彼女がいた。
彼女の存在は大きくカラフルで、僕の見るもの全てに色をつけてしまうようなそんな存在だった。
そうして、僕は中学生活最後の日を迎え高校生となった。




