第2章 海と不安と花火
そして、僕と彼女は先輩達の卒業式前日に付き合い出した。
それから、毎日の様に手紙を交換しメールをした。 このまま順調に行くと思っていた、だが、順調に物事が進むのは初めの方だけだった。
それから数日が経ち、僕は3年生に、彼女は2年生になった。そして、中学生四大行事といわれる体育祭をあと何ヶ月と控えた時だった。そして、体育祭の係決めの日。僕は前の日に彼女に一緒に応援団やろうと言われ「うん」と言って約束していたが、いざその時間が来ると目立つ人ばかりが応援団になり、空気に流されるように僕は応援団ではなく、道具係になっていた。
そして、僕が
「ごめん、なんか応援団なれんかった」
というと彼女は残念そうに笑い、
「うん、そんなことやろうと思うた」
といった。その時は、どこにも向けることのできない想いに襲われた。
そして、数日が過ぎ、夏休みになった。
これでやっと彼女とずっと一緒だと思っていたが、部活、応援団の練習で今までより遊ぶ時間が少なくなっていった。朝は部活、午後からは練習と日が出ているうちは忙しく彼女から来るはずのないメールをずっと待っていた。
この頃から、徐々に喧嘩が増え、と言っても応援団の団長や、副団長と話しているとこを見て勝手に妬いて一方的に怒っていただけだった。
それでも僕は彼女が何よりも好きだった。
夏休みも終わりに近づき、最後の2日間は部活も練習も休みだった。前の晩に彼女から連絡が来て2日間とも遊ぶことになった。
1日目は、2人乗りので遠くの海に行った。そこで座って絵しりとりをしたり2人の名前を書いて遊んだりした。その海で初めて、赤く染まる夕焼けの砂の上を手を繋いで歩いた。その時の僕は、なんとも言い表しようのない安心感に包まれた。このまま、時間が止まって欲しいと思った。
恋とはなんと不安定で美しいものだろうと思った。
そして夏休み最終日は夏祭りに行くことになった。勿論、初めから2人で行く訳ではなく、両方がお互いの友達と行き着いていっときしてから2人で落ち合うのだが、祭りが始まり僕達はかなり早くから行って遊んでいた。そして夜になりそろそろ彼女のいるとこへ行こうか思ったが、あらかじめ途中から抜けるなどと言ってなく、なかなか彼女と合流できず待ち合わせ時間に遅れて着いたがいなかった。そして、探していると彼女らしき人がいて隣に他の男がいた。僕は見て見ぬ振りをして待ち合わせ場所で待っていた。しばらくして彼女が綺麗な浴衣に身を包みやって来た彼女を見てホッとした。さっき見た女の子の浴衣と彼女の浴衣が違うものだったからだ。
そして、1つの綿菓子を食べながら花火を見た。
月と星だけの暗い夜空に上がる虹色の花火は綺麗でまるで月と星いつもより暗く見え、まるで月と星が花火に嫉妬しているかのように見えた。
花火を見ている彼女の顔はいつもより眩しく嬉しそうだった。改めて僕は彼女が好きだと思った。
僕はそんな彼女の唇にキスをした。




