十七日目:絡め取られた者5
二階入り口の見張りをしながら、ペローネはちらちらと気になる様子で穴から出てきた美咲たちに度々視線を飛ばしていた。
今はまだ外の方に多く注意を向けているものの、このままだと注意を向ける優先順位は逆転してしまいそうである。
美咲が気になるというのもそうだし、ただ単順に、美咲たちの方向から漂う異臭を無視しきれないという事情もあった。
ある程度離れていても感じるのだ。近くになったら、どれほど酷い臭いが漂うのか、ペローネは少し怖い。
(いけないとは分かっていても、気になっちゃうな。気が逸れる。あたしたちの悪い傾向だ)
どうしても見張りに全神経を集中できない自分に呆れ、ペローネは溜息をつく。
ペローネに限らず、美咲に助け出された元奴隷の女性たちは、その存在意義の全てを美咲に依存している。それは、そうでもしなければ洗脳の後遺症が深刻な彼女たちが自我を保てないからであり、彼女たちがまともに生活するためには仕方なのないことだ。
長い時間をかければ快方に向かっていくかもしれないが、それとて希望的観測が入っていることは否めず、行き着く先は廃人となるのが関の山。そうでなくとも、娼館行きは免れないだろう。
過去が失われている以上、解放したところで彼女たちに帰る場所など存在せず、そもそも本当に故郷が残っているのかどうかも怪しい。
近年の魔族軍との戦いは激しく、ここ数年だけで、多くの都市が落ち、少なくない国々が滅んでいるのだ。その中に、彼女たちの故郷が含まれていない保障はない。
ベルアニアが今も存続しているのは、難攻不落で知られていたヴェリートが持ち堪えて時間を稼いでいたからであり、ヴェリートが落ちればすぐさま天秤は傾くということを、ベルアニア上層部は良く承知していた。
最大戦力である第二王子エルディリヒトは軍の要であるため別戦線から中々動かすことは出来ず、魔将に攻められればヴェリートが落ちることは時間の問題だった。
だからこそ、第一王子フェルディナントは伝説に従い、異世界からの勇者召喚を実行に移したのである。
『魔法絶対無効』という魔族に絶対的なアドバンテージを持つ異世界人に、魔王を殺害することを命じたのだ。
その勇者として呼ばれたのが、美咲である。
どうして呼び出したのが美咲なのかは、エルナの召喚術が魔王によって邪魔された結果の弊害であるというのが、美咲がエルナ自身から効いた説明だった。その話が本当なのかどうか、美咲には分からない。それでも、美咲はエルナを信用した。何故なら、そうでなければ、美咲がこの世界に呼ばれたことに説明がつかないからである。
美咲はただの女子高生で、戦いとは無縁で、平和な世界で平和ボケしながら生きていた少女だった。普通はそんな人間が、勇者として相応しいと判断されることなどあり得ない。本気で魔王を殺すつもりなら、もっと身体能力が高い大人か、それこそ軍隊そのものを召喚しているはずだ。エルナは召喚に際し、ある程度対象を選別していた。それは、『誰が魔王を殺せる可能性が高いか』という判断基準を、エルナが持っていたことに他ならないのだから。
そしてそれは、エルナがある程度、美咲の世界を理解していたという事実を示している。エルナがそうなのだから、フェルディナントも当然把握していたはずだ。エルナはフェルディナントを敬愛する奴隷。ならば彼女が主に話さない道理はない。
魔王に召喚を邪魔された結果が美咲ならば、フェルディナントが第二第三の勇者召喚を実行に移さないことも説明がつく。いくら呼んだところで、無力な人間しか呼び出せないのなら呼ぶ意味がない。
(正直、美咲を守るよりも、美咲のために敵を殺す方が、戦いやすいんだよえね、私たち)
ペローネは心の中でそう呟いた。
彼女に限らず、美咲に助けられた彼女たちは、自分のことを『美咲の剣』として定義している。剣とはもちろん、敵を殺す剣のことだ。
美咲は弱い。それは生まれた環境が違う以上仕方のないことだ。だからこそ、ペローネたちが戦い、敵を屠り美咲が歩く道を作る。
「うーむ。くっせえなあ。美咲には悪いが、相当だぞ、あれは。おいペローネ、お前は大丈夫か?」
隣で見張っているドーラニアが、ペローネに声をかけてきた。
「臭いが薄れるまで我慢するしかないでしょ。あたしの中に、美咲と別れる選択肢なんてない」
「まあ、それはあたいも同じなんだけどな。鼻が利くあたいには、この臭いはちとつらい。鼻が曲がりそうだ」
よく見れば、目を細めるドーラニアは涙目になっている。
他人よりも感覚が鋭敏な分、被害も大きいのだろう。ペローネはドーラニアに少し同情を覚えた。
「み、美咲のためなら、この臭いだって好きになれる……はず……おえぇ」
真面目なラピは、嫌悪するのではなく受け入れようと、自ら臭気をより多く体内に取り込むことを試みては、耐え切れずに嘔吐している。本当に好きになってしまったら変態一直線なのだが、果たしてラピはそのことに気付いているのだろうか。気付いていないのかもしれない。真面目ゆえに、視野が狭くなっている可能性もある。
「今日明日で薄まってくれればいいのですけど……。このままでは戦闘に支障をきたす可能性が」
あまり嗅覚が良くないのか、比較的メイリフォアは平気そうだった。困った表情を浮かべているものの、それは周りの状況を見てのことであり、メイリフォア自身が受けている影響による表情の変化は少ない。せいぜい少し強張っている程度だ。
「まあ、後で水浴びでもしてもらえばいいさ。ついでに役得に預かれるかもしれないよ?」
「きゃっ、アヤメさんたら大胆ー」
面白がるような笑みを湛えるアヤメに、サナコが反応して身もだえした。
アヤメの台詞を聞いたペローネ、ドーラニア、メイリフォアの三人の脳裏に、悶々と妄想が浮かんだ。
「水浴び……」
ペローネは美咲と一緒に水浴びをしながら雑談に花を咲かせる光景を想像し、顔を赤らめた。
「役得……」
妹のように自分を慕ってくる美咲を、姉のように、母のように甲斐甲斐しく水浴びさせる自分の姿を思い浮かべ、ドーラニアはにやけた。もちろん、美咲は全裸である。
「美咲様の裸を拝める……」
メイリフォアの頭の中では、水浴びする美咲の背後から、神々しい後光が差し、たくさんの人間が集まって平伏しているという謎の光景が展開されていた。もしメイリフォアの想像通りのことが起きたとしたら、美咲は恥ずかしさで卒倒して水浴びどころではなくなるだろう。
「あの、皆さん。騎士団の人たちが、追いついてきたようなんですけど」
ディアナが控えめに外を指差した。
主塔の外、中庭では、騎士団と傭兵団の人員たちが、集合しているところだった。
「美咲様に伝えないといけませんね。私が一番影響が薄いみたいですし、私はこのまま外を見張っていますよ」
「ありがとうございます。私はシステリートと美咲様に、報告をしてきます」
申し出たメイリフォアに、ディアナは礼を言って美咲たちの下へ向かった。
■ □ ■
やってきたディアナの外に状況を伝えられ、臭いどころではなくなった美咲は、いったん悪臭のことを忘れることにした。いや、忘れられるくらい軽いものではないので、我慢することにした。
美咲がルフィミアを抱えたまま足早にディアナたちのところへ向かうと、システリートと美咲の班であるアリシャ、ミリアン、ミーヤ、セニミスがついてくる。
重いことは重いけれど、ただ移動するだけなら何とか運べる。壁をよじ登るような無茶はできないものの、それくらいなら可能なくらいには、美咲だって成長しているのだ。
歩いている最中に、アリシャが美咲に忠告をしてくる。
「案外早かったな。美咲、その女についてはしっかりと所有権を主張しろよ。でないと奪われるかもしれないぞ」
「奪われるって、何でですか」
唖然とする美咲に、今度はミリアンが堪えた。
「人間も、立派な戦利品だからよ。彼らにとっては、一度魔族に占領された街にいた人間は、魔族と同じなの。略奪の対象になるのよ」
思わず唇をかみ締めた美咲は、ミーヤの呟きを聞いた。
「ママもパパも、見つからなかった。どこに行っちゃったのかなぁ。おうちに戻ってるのかな?」
ミーヤもまた、美咲がルフィミアを探すように、両親を探すためにヴェリートに戻ってきたのだ。
そのことに気付いた美咲は、ミーヤを励ますように、その手に己の手を絡めた。
一瞬きょとんとしたミーヤは、やがて穏やかな表情になると、嬉しそうにもじもじとしながら、何か言いたげな表情を浮かべ、俯いた。
「後できちんと、ミーヤちゃんのパパとママ、探そうね」
「うん!」
にっこりと微笑んで美咲が言うと、ミーヤは顔を上げ、少し鼻を啜ってはにかみながら笑った。
「こっちですよー!」
主塔の入り口から身を乗り出し、美咲は中庭の騎士団と傭兵団を率いるフランツ、グオテアル、ウリバテスに声をかける。
攻城戦の最中なら自殺行為だが、戦闘らしい戦闘もなく、そもそも人影すら見つからない現状では、もう敵はいないと考える方が自然だった。
敵どころか住人そのものが消えてしまっていたり、美咲たちが追撃をかけるまでの時間でどこに行ったのかという謎は残るが、まずはヴェリートを奪取することの方が重要だ。
美咲の声に振り向いたフランツは、声の出所を探してしばらく視線を巡らせた後、主塔の入り口から手を振る美咲に気付き、破顔した。
同僚騎士のエドバ、クオルツに声をかけ、攻城用の梯子を持ってこさせる。
この攻城梯子は、城壁を乗り越えるためのものではなく、主塔攻略専用の梯子で、五ガート上の主塔入り口まで届くほどの長さがあった。
そんな巨大な梯子を、人族軍の兵士や傭兵たちが協力して主塔入り口に取り付ける。
本来なら先遣隊などを投入して、安全を確認してからフランツたち指揮官が入るのだろうが、今回は美咲たちが既に多くの部分を制圧済みなので、直接フランツ、グオテアル、ウリバテスの三人が乗り込んできた。フランツの同僚である、エドバ、クオルツも一緒だ。
「驚きました。美咲さんの傭兵団は、もうここまで進んでいたんですね」
フランツの第一声は、美咲への賞賛だった。
人が良いフランツは同僚騎士のエドバ、クオルツとは違い、大して名声もない傭兵団の団長である美咲に、きちんと礼節を持って接してくる。
傭兵や冒険者として超有名なアリシャ、ミリアンの両名がいるからかもしれないが、それでも美咲への対応も丁寧でしっかりしていて、変に態度を変えないところに好感が持てる。
そういう意味では、フランツの同僚騎士はてんで駄目だ。エドバとクオルツはアリシャやミリアンには普通に接するものの、見えないところでは美咲へ露骨に嫌味を言ったり舌打ちしたりしてくる。
なるべく気にしないようにしているが、美咲の方もこうも悪意を示されると、彼らが近くにいたら安心できないというのが本音だ。
「皆さんや傭兵団の皆のおかげですよ。私はほとんど指示を出してるだけですから」
謙遜して美咲は苦笑する。
実際、今回の戦争とヴェリート場の探索で美咲が果たした役割はそれほど多くない。
せいぜいが、蜥蜴魔将と一騎討ちをしたくらいで、後は別に美咲でなければならなかった理由はない。その蜥蜴魔将との一騎討ちだって、アリシャやミリアンなら美咲がいなくとも勝てただろう。
そう思えるくらい、美咲はアリシャのことを信頼しているし、その友人であるミリアンのことも信じている。
「いやいや、あの蜥蜴魔将をぶっ殺したんだろ? 中々出来る事じゃねえよ。アンタ、ラーダンに戻ったらきっと第二王子と同じような扱い受けるぜ」
短く刈り込んだ頭をかき、グオテアルがぶっきらぼうに美咲を褒めた。
戦っている間は無我夢中だった美咲は、こうして他人に言われると改めて自分が蜥蜴魔将を倒せたのが不思議でしょうがなくなってくると共に、褒められて恥ずかしさが込み上げてくる。
普通は褒められれば嬉しくなるものだが、美咲の場合は荒事とは明らかに無縁そうな自分の容姿を自覚しているし、そんな少女が蜥蜴魔将を倒すなど与太話にもほどがあると他でもない美咲自身が想像出来てしまうので、嬉しさよりも恥ずかしさの方が先に立つ。
「ええ、間違いなく英雄と呼ばれるでしょうね。まさか彼以外の人間に、魔将を殺せる者がいるなんて思いもしませんでしたよ。しかもそれが、こんな可憐な少女だなんて」
さらにはウリバテスまで褒め始めたので、美咲はとうとう顔を赤くして俯いてしまった。
二人はまさに歴戦の傭兵といった風貌で、鎧を着込み、アリシャのものよりも大きく幅広の大剣を担ぐグオテアルに対し、ウリバテスは裾の短いローブ姿で、革製のブーツやジャケットを着込み、動きやすい格好をしている。
どちらも美咲よりもよほど強そうなのに、ここまで煽てられると居た堪れなくなってくる。
「お姉ちゃん、顔真っ赤ー。そんなに照れなくてもいいのに」
赤面する美咲を下から覗き込んで、ミーヤがにこにこ笑いながら言った。
アリシャがフランツやグオテアル、ウリバテスを誘う。
「今は私たちが主塔を調べて回ってるところだ。ここの探索が終わったからこれから上階に上がる予定なんだが、お前たちも来るか? ただし、見ての通り入り口は狭くてな。中も相応に狭いから、大軍を展開させることはできん。それを鑑みた上で人数を決めてくれ」
しばらく考えて、フランツは答えた。
「そうですね。私たちも要所の押さえに兵を回す必要がありますし、どの道同行させられる人数には限りがあります。美咲さんの傭兵団は全員主塔の攻略に回られているんですよね? なら、騎士団は私を含め十名程度にしておきます」
フランツが手振りで中庭にいる仲間を呼ぶと、騎士団から騎士が二名と兵士が五名が新たに登ってくる。フランツ自身とエドバ、クオルツ、さらに追加の二名で騎士五名、兵士五名の計十名が、騎士団側の参加だ。
騎士たちは揃いの立派な金属鎧に身を包んでいるが、彼らが頼れるかどうかはまだ未知数である。先の戦いでは最初はともかく、途中からは壊走してしまったので、彼らがどれくらい役に立つのか、美咲には分からない。
グオテアルも美咲に提案した。
「『暁の腕』からも十人出そう。柄は悪い奴らばかりだが、実力は保障する。もし戦いが起きたら任せてくれ」
無骨で悪人面の男たちが九名、グオテアルに呼ばれて梯子を上ってきた。
背の高さこそまちまちだが、どいつもこいつも人相が悪く、全員筋肉質な身体をしている。犯罪者を通り越して、美咲の世界の某世紀末アニメのザコキャラにしか見えない。暴行、恐喝などはお手の物みたいな雰囲気がある。彼らのうち何人かは美咲やミーヤ、美咲に従うセニミス、それに広間の見張りをしていた関係上話に巻き込まれた、システリート、ディアナ、ペローネ、ドーラニア、ラピ、メイリフォア、アヤメ、サナコに向けられている。
中には性的欲求が篭った視線もあり、美咲は少し彼らのことを警戒することにした。魔族と戦う前に、人間に襲われるのは洒落にならない。
「なら『喰らいつく牙』は二十人出しましょう。私たちが一番人数が多いですからね」
主塔広間に上がってきた『喰らいつく牙』のメンバーは、『暁の腕』と比べるとずいぶんと洗練されている。装備こそバラバラなものの、中には騎士たちとほとんど変わらないほど豪華な装備を着込んでいる者もいる。
僅かだが女性もおり、遠巻きにして美咲たちの様子を窺っているようだ。
彼女たちは『美咲の剣』がほとんど女ばかりで、しかも団長が自分たちよりも年下の少女であることが信じられないらしく、さっきから美咲に様々な感情が混じった視線を向けていた。
興味、疑惑、不審、嫉妬など、向けられる視線は様々だ。また、視線の対象も美咲から一番の歳下であるミーヤまで満遍なく向けられており、特にショートカットと黒基調のスーツのような服という地味な姿でありながら、濡れたような瞳と唇が艶かしいペローネなどは、男女を問わず性的欲求を刺激する魅力を発散しており、多くの視線を集めている。
ミリアンが新しく来た人員に軽く状況説明をする。
「私たちはこの十二人でここ広間と下の地下牢を調べ終わったところで、これから上の階を調べに行かせている仲間たちの様子を見に行くところよ。上がなんの騒ぎにもなってないから、すぐに対応しないといけない異変は起きてないとおもうけど、現状が既におかしい以上、最低限の警戒は各自しておくように。いいわね?」
こういう場合は特級冒険者という肩書きや名声がものをいうのか、一癖ありそうな彼らは、ミリアンに反抗することもなく神妙な表情で頷いた。
本格的に動き出す前に、フランツが『暁の腕』団長グオテアルと、『喰らいつく牙』団長ウリバテスの二人と一緒に美咲の下へやってきた。
「美咲さん、合流して一気に人数が増えたことですし、話し合って主塔内での隊列を決めませんか?」
「えっ? 私でいいんですか? アリシャさんとかと話しあった方が……」
アリシャやミリアンの慣れた対応を見た美咲は、同じように出来ない自分に少々落ち込んでいた。自然と、自信がなくなって態度も消極的になってしまう。
そんな美咲に、グオテアルとウリバテスが声をかけた。
「何言ってるんだ。お前の傭兵団だぞ。お前が決めないでどうする」
「そうですよ。僕たちは率いる規模は違えど、傭兵団の団長同士です。同格なのは間違いないんですからもっと胸を張りなさい」
二人は、挫けかけていた美咲を叱咤した。
思わぬ言葉を掛けられ、思わず美咲が顔を上げる。
その先に、はにかむフランツの顔があった。
「僕も、どういうわけか臨時とはいえ指揮を執ることになって、実は不安でいっぱいなんです。一緒に頑張りましょう」
はっとして、美咲はフランツを見つめる。
フランツも同じなのだ。ただの騎士でありながら、上官がことごとく戦死したために指揮を任され、形式的に指揮官として振舞うことになった。隠してはいても、心中は不安でいっぱいだ。死ぬかもしれないし、自分の拙い指揮で味方を死なせてしまうかもしれない。それでも頑張るのは、フランツの意地である。自分よりも歳下の少女が、傭兵団を率いて戦っているのに、どうして騎士である自分が怖気づいていられるだろうか。
騎士は誇りを大切にする。時としてそれは暴力を振るい略奪を働く免罪符にもなり得るが、フランツは貴重な本当の意味での騎士だった。
「はい……! こちらこそ、よろしくお願いします!」
元気付けられた美咲は、今度は不安を跳ね除けて元気良く頷いたのだった。