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阿呆な僕の物語  作者: いおら
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再開

 僕は母親代りだった人の夫の報復を恐れて、一人旅に出る事にしました。目的も無く、当ても何もない道のりをただひたすら進んで行きます。僕はこれからどうすれば良いのか……ずっと考えていました。見つからない答えに悶々としています。自分自身の憎悪の為に殺した彼女はどう思うのでしょうか。既に血塗られた僕の心。自問自答を繰り返し、辿りついた答え。

 それは、僕の一族を皆殺しにした者達への復讐。もしかすると、僕はこれまで、その為だけに生きてきたのかもしれません。血塗られた僕にはもうその道しか残っていないのか……そう思うようになってきたのです。

 一人旅を続けていたある日。僕は占い師の女に出会いました。彼女は僕に、「貴方の母親は生きています。貴方はずっと一人だと思っていたのでしょう。貴方は一人ではございません。貴方の母親は再婚をし、子どもを二人授かっているようですね」

 彼女は僕にそう告げると何処かへ行ってしまいました。僕は彼女の言う事を信じようと思います。行く当てもなく、ただ旅を続けていた僕に少しの希望が見えたのだと思ったからです。

 旅の目的を得た僕は、ひたすら、本当の母親を探し回りました。それはもう、途方も無い時間をかけて。

 そして、ついに僕は本当の母親を見つけ出したですが、本当の母親。そう、僕のお母さんは僕の事に気が付いてはくれませんでした。そこで、僕は壊れた形見のナイフの柄の部分をお母さんに見せます。ようやく息子だと気が付いてくれた僕をお母さんは泣きながら抱き締めてくれました。懐かしい感じのするお母さんの抱擁は僕の心に安らかな思いをもたらせてくれます。

 しかし、二人いるはずのお母さんの子どもの一人が見当たりません。僕は不審に思いお母さんに尋ねます。

「僕はとある占い師にお母さんの存在を教えて頂きました。けれど、一人の妹はそこにいるのに、もう一人がいません。どうしたのでしょうか」

 僕の問いかけにお母さんは答えます。「上の娘が山へ山菜を摘みに行ったきり帰って来ないのよ。山の精霊様もこうおっしゃっていました。貴女の娘はもう帰っては来ないだろうと……」

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