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異世界ツーリング  作者: おにぎり
第八章~ケセラセラ
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二年と189日目

二年と189日目


 鍛冶屋の親父がファルサングと共に伊勢の家に来た。めずらしい事である。


「知恵を出せ」

 藪から棒であった。伊勢には何の事だかまるで見当がつかぬ。

「親父、もう少し情報をくれ」 

「この家の窓には素晴らしい板ガラスが使ってあるだろう。ああいうのを作りたい」

「ふむ」


 親父から作りたいものを提案するのは珍しい事だ。ぜひ応えてやりたいが…

「この家のガラス…正確に言えばガラスでは無いんだが…これはアールが魔法で作ったものだからなぁ」

「やはりそうか。アールの魔法は凄いな。俺以上だ」

 アールのチートは親父の魔法とは質が違うので、優劣があるわけではないが、伊勢は黙っておく事にした。なんたって沈黙は金、なのだ。


「ところで、どうしてそんな事を?」

 伊勢の問いにファルサングが答えた。

「ガラス工房のベルディア親方の宿題でして。板ガラスの新しい作り方と考えろ、と。」

「何でまた急に?」

「俺が将来工房を継ぐ、という話が漏れまして…何で、お前なのか、という話が…俺より腕の良い兄弟子もいますから」

「ああ、なるほど…」

 彼の話と苦笑いの表情で、伊勢には状況が良くわかった。つまり、何らかの実績が必要なのである。将来的に序列を抜かしてトップに立つなら、相応の証がいるのだ。

 男の嫉妬は、女の嫉妬の約8倍は怖いのである。


「ファルサング、今はどうやってるの?」

 伊勢の問いにファルサングが答えた。要するに、吹きガラスの延長線上の製法である。

 ガラスを吹いて球を作る。その球に鉄の棒をくっつけ、逆サイドを斬り、開口部をつくる。その開口部を広げながら、鉄の棒を回して、遠心力でガラス板を広げていくわけだ。クルクルと回して作るピザのようなものである。

 これは…難しい…

 今の製法はなかなかエレガントに思える。これ以上の製法は、簡単には伊勢には思いつかない。


 腕を組んで悩む伊勢に、親父がこれまた腕を組んで訊いた。

「イセ。お前の国、あーニホンとかいう所ではどうやってんだ?」

「俺の国では溶けた金属の上、多分スズかな?そのスズの上にガラスを落として、広げて作るよ。…でも、コレだとここじゃ無理だ」

 フロートガラスを作るのは絶対にこの国ではムリだ。設備が大規模過ぎて話にならない。雰囲気の制御も出来ない。

「他に何かありませんか?」

 難しい。伊勢には板ガラスの製法の知識など、ほとんど無いのである。

「うーん…設備投資はできるのかい?」

「…」

 グリコ!お手上げである。


「…まあ、少し考えておくよ。『護』はガラス工房にはもう入ったのか?」

「はい。つい先日」

「わかった。今度、作業風景を見に行く」

 伊勢は護の熱を使って、今の工程を改善する方向で考える事にした。今のところ全然何も思いついていない。経験上、こういう時は多分ダメだ。


「ところでイセ、帝都でガラスペンの偽物が出たぞ?」

「あー、そろそろだと思ってたよ親父…」

 こればかりは仕方が無い。ペンの製造装置たるバーナー誉を売っているのだから、自業自得なのである。アミルが抑えておいても、抑えきれるものではないのだ。

「まあ、十分稼いだから良しとしようよ。俺達の奴の方が出来は良いんだろう?」

「まあな」

 なら、ある程度は諦めるしかないのである。特許も無いのだから、これは宿命だ。


「改良型ボール盤、旋盤、フライスの方はどうだい?」

「売り上げは定期的に立ってる。安定してるな」

 親父の鍛冶屋で使っていた工作機械を、売りに出しているのである。親父はこれに関して、意外にも積極的なのだ。

 将来的な競争相手が増えるのだが、その辺には頓着していないらしい。自分のワザマエに自信があるのである。その自信を分けてもらいたいと、密かに伊勢は思わなくもない。

「ノギスもよく売れてるな。すげぇ売上だ」

「うむうむ。当然だな」

 売れて当たり前である。ノギスは計測器の帝王にして職人の恋人だ。ノギスを一度使った職人は、その魅力に取りつかれ、それ無しでは生きていけないのである。禁断の果実である。


「俺達の用事はそんな所だ」

「わかった。下にベーコンあるよ」

 最近ではファリドとビジャンは魔境に行ったら、7割は棘猪を仕留めてくる。ビジャンが棘猪用の罠を開発したとのことである。食い気とは恐ろしいものだ。留まるところを知らぬ。これは人の業なのだ。

「ありがてえ」

 そう言うと、親父は厨房に降りて行き、ベーコンを一掴み持って帰って行った。ファルサングはペコリと伊勢に頭を下げて、親父を追っていった。あの二人は結構うまくいっているみたいだ。

 

^^^

「師匠、そろそろ時間です」

「おう」

 伊勢は足元にまとわりついてくるツンを振り払い、ロスタムの運転する自操車に乗って出かけた。

 今日はモラディヤーン家でベフナーム先生の弟子に講義をする日である。伊勢はこれを、出来るだけ続けて行くつもりだ。学術知識というものは広く広めなければ、何の役にも立たないのである。


 ロスタムは、あれ以来、少し寡黙になった。一人称の呼び方も変わった。今では『俺』ではなく『私』である。

 彼は、無理にでも少年を脱しようとしているのだと伊勢は思っている。ロスタムらしく、なくはない。だが、努力と無理の見極めが難しい。それに、伊勢には少しさみしい気もするのも確かだ。


「今度、『タイラス・アポロニウス』が中央劇場でやるらしいぞ?」

「ええ、今日セシリーさんから聞きましたよ。凄いですね。あれをセシリーさんが書いたとは、正直言って驚きです」

「そうだなぁ」

 本当に書いたのは中世のイギリス人だが、まあそこは言わなくて良い所である。


「今日の講義はレイラー先生とベフナーム先生の?」

「ああ、新しい本を書いたからな。それをみんなで勉強する」


 レイラーとベフナーム先生は精力的に本を書いている。彼らが伊勢と会ってから出した本は4冊。力学と数学に関してが一冊ずつに、医学に関しての本が2冊だ。今回の本は波動と音響の初歩を、数学的に分析したものである。

 正直言って、レイラーに伝えるべき数学的な事柄は、もう伊勢にはほとんど無くなってしまった。たった二年で全てを吸収されてしまったのだ。これが天才と凡人の差である。

 後は物理や化学分野での数学の運用について、実践しながら伝えて行くしかない。


 ロスタムの数学力は、まだせいぜい中学から高校生レベルだ。彼は決して天才というレベルでは無いのだ。だが後4年もすれば、伊勢を追い抜くかもしれない。


「あっ!師匠、傘ですよ!」

「お?おお!」

 上流階級の住宅街に入った所で、傘を奴隷に持たせた偉そうなオッサンが歩いていた。

 伊勢が設計して、マルヤムが試作し、アミルが製造販売している日傘である。使われているのを見るのは開発者として嬉しい。が…小金持ちの有閑マダムではなく、オッサンが奴隷に持たせているとは…少し狙いが外れたようだ。


「…フィラーも傘を持っていれば倒れなかったんですかね」

 ロスタムがぽつりと言った。

「まあ、そうだろうな。ザンドのとこにまだいるかもな」

「そうなったら、いまごろ私たちは何してたんでしょうかね?」

「何がどう転ぶかなんてわかんないさ」

「アレですか?カオス理論とか言う奴ですか?」

 最近のコイツは覚えたての言葉で調子に乗って、なかなか生意気な事をいう。伊勢は運転席のロスタムの後ろ頭に、チョークを投げつけてやった。


「いたっ!?何すんですか師匠!」

「うるせぇ。カオス理論だの複雑系だの統計物理だの不確定性原理だのシュレーディンガーがドウコウなんてのは500年経ってから言え」


 そんなのは伊勢にもわからないのだ。よく知らないのに話した自分がバカみたいな気がしてくるのである。恥ずかしいのだ。

 ロスタムは「ひどいなぁ…もう」とか、ほざきながら口を尖らしてむくれている。

 そうだ、お前はそういう顔をしていればいいのだ。そう伊勢は思った。


「…神様にも、誰が何時何処でどうなるなんて、わからないんですかね…」

 伊勢には見えないが、多分ロスタムは真剣な顔をしているはずだ。

「…さあなぁ。俺は信じてないからなあ。ケセラセラなんじゃないのか?」

「そうかもしれないですね」


 そんな事を話しながら、師弟の自操車はゴトゴト進んでいくのであった。


^^^

 夕食の後、伊勢は自室でレーズンを食べながら、ファルサングの宿題を考えていた。設備投資ほぼゼロで新しい製法…ナンセンスな宿題である。逃げたい。

 ちょっとした工程改善でお茶を濁すか…いや、親父と俺で金出して設備投資をしよう…そうすればなんとか…


――コンコン


「あいよ」

「相棒、お話があります」

 アールである。後ろにマルヤムとフィラーがいた。

「どした?みんなして」

 伊勢の部屋に三人が入ってくる。真剣な顔をしていた。伊勢は嫌な予感がするが、それを顔に出さずに訊いた。

「ん?どうした?」

「旦那様、申し訳ありません…!」

 フィラーが伊勢の足もとに這いつくばって土下座をした。

「え?どうしたんだ?」

「フィラーさん、頭を上げて下さい。悪くないんですから」

 アールがなだめても彼女は顔を上げない。


「旦那、フィラーの腹には子がいるね。間違いないよ」

「え?あ、うん。そうか。」

 


 え?



^^^

 椅子に座っている伊勢の足もとに、這いつくばっているフィラー。

 その後ろで立っているアールとマルヤム。


 伊勢は状況も内容も理解しているが、どう言葉を返して良いのかが分からない。

 とりあへず…

「フィラー、まあ、頭を下げることはないよ」

「…はい、旦那様…でも…」

 彼女は顔を上げたが、蒼白な顔で震えながら床に目を落としている。…彼女は本当に怖がって、絶望しかけている。


「フィラー、アールも言っただろ?悪くないんだから。」

 静かに静かに、伊勢は声をかけた。絶望感を感じた時は、体が動かなくなる。伊勢は知っている。それは、辛いのだ。

「俺は怒らないから安心して良い。誓って怒らない。誓ってお前をぶたない」

「…は、はい、旦那様」

 誓って、という言葉をきき、ようやく彼女は一言喋る事が出来た。


「相棒は怒りませんヨ。話してください」

 アールがフィラーの横に片膝をついて、彼女の小さな肩に手を置いて話しかけた。

「…おお、お腹の…父親は…三人のうちの誰かです。名前…名前は…名前……」

 彼女は、その時の事を思い出しているのだろう。体が小さく震えている。

 ギュッと小さな手を握り締めた。小さな小さな手だ。伊勢の片手の中に握りこんでしまえそうだ。

「ああ、名前は言わなくて良い。わかったよ、フィラー。心配しなくて良い。俺が何とかしてやるから。大丈夫だ」

 伊勢は床に胡坐をかいてすわった。フィラーから遠くも無く、近くも無い距離だ。


「どうして今わかった?自分でもわからなかったのか?」

「こ、こ…このシューイチロー家に来て…そ、それで随分太って…せ、せ、生理は無かったんですけど、もともと、あったりなかったりの体質だったので…体調も変だったけど…怒られるのが嫌で……隠してましたすいません!隠してました!ごめんなさい!ごめんなさい!ぶたないでください!ぶたないで!お願いします…お願いします…」


 いま、一番彼女が怖いのは…

 伊勢は、彼女から体を離した。部屋のいちばん隅まで下がって座った。


「フィラー、フィラー。聞きな?俺はお前をぶたないよ。俺達がお前をここに連れてきた。ぶたないよ。絶対にぶたない。大丈夫だ。」

 伊勢は今ようやく気がついた。自分が本当にバカに思えた。

 何が「慣れろ」だ。アールにあんな事を言わなければ…もう少し楽にさせられてたかもしれないのに。

 満足に飯も食えず、何かあるとぶたれる。

 彼女は、ずっとそんな中で暮らしてきたのだ。

 生まれて来てからずっと奴隷なのだから。

 しかも、あのザンド・ナイヤーンの。


「なあ、フィラー。ごめんな。怖がらせてごめんな。俺はお前をぶったりしない。遠くに離れているからな?な?」

 伊勢には彼女の心の底はわからない。誰にも人の心なんてわからないんだ。

 だから、そっと、静かにやらないといけない。

「フィラー。もう、怖がらなくて良いんだ。俺達がお前を守ってやる。ロスタムだってそうだ。もう誰もフィラーをぶったりしないよ。」

「…ロスタムさん…」

「そうだ、ロスタムだってお前を守ってくれる。このうちにいる奴らは絶対にフィラーをぶったりしないんだ」


 フィラーはロスタムにだけは心を開いている。

 ロスタムしかいないのだ。他の誰も、彼女の心に届かない。

 お腹に子供が出来たらロスタムに…それも怖いのか。自分の子供が、怖いという事か。いや、まだ自分の子供とは思えていないのか?

 伊勢は良くわからなかった。

 でも、ここでちゃんとしなければいけない。


「アール」

「はい、相棒」

 アールは伊勢に向かって頷いた。「相棒のいちばん良いようにしてください」、だ。


「いいかフィラー、よく聞くんだ。俺が何とかしてやるから、大丈夫なんだ。」

 伊勢は、自分に出来る限界の優しい声で話しかけた。自分でも意外なほど、柔らかい声が出せたと思う。


「フィラー、俺はお前を怒ったりはしない。ぶったりもしない。売り飛ばす気も無い。お前はここにいていいんだ。ここがお前の家なんだ。

 子供が産まれたら、この家で俺の弟子として育ててやる。もちろん売ったりなんかしない。

 絶対に大丈夫だ。…いま言った事を全て誓う」

「はい…でも…」

 でも、の後に続く言葉は伊勢には良くわかっている。「ごめんなさい」だ。伊勢は、それだけは知っているのだ。


「フィラー。お前は謝らなくて良いんだ。お前は悪くないんだから、そのままで良いんだ。俺が全部ちゃんとしてやる。大丈夫だよ。絶対に大丈夫。」

「フィラーさん。本当に大丈夫ですヨ。心配要りません」

 アールはフィラーの手を取って、そう言った。

 フィラーはアールの目を見た。彼女は顔を上げたのだ。


「フィラー、ロスタムには俺が話をしてやる。ロスタムだって、お前を嫌ったりしない。心配はいらないんだ。お前は心配しなくて良い。なんにも悪くないんだから。な?フィラーは悪くないんだから。全部大丈夫なんだ。」

「フィラーさん。相棒が大丈夫だって言った時は大丈夫ですヨ。なにしろ確信が無い時以外は、絶対にいいませんから」

「…はい。…旦那様、アール様。」

 もう、大丈夫そうだ。たぶん。


「大丈夫ですヨ。相棒は時々すごいですから。」

「そう、俺は時々すごいんだ。だから何の問題も無いぞ!?」

 アールと伊勢は眼を合わせて笑い合った。つられてフィラーもほんの少しだけ、うっすら笑った。

 よし。

 うっすらでも、笑えるなら大丈夫なんだ。そういうものだ。笑えば、本当に元気になる。


「はい。宜しくお願いします」

 フィラーは小さく頭を下げた。彼女は、ほんの少しだけ前を向いた。それで良い。止まっていなければ前進できる。

「よし。俺に全部任せろ。…マルヤム、フィラーを」

「あいよ。ババアの出る幕は無いねクシシ」

 うるせぇババアだ。伊勢は苦笑した。どうせこのババアは、伊勢が失敗したらフォローを入れるつもりで来たのだろう。

 マルヤムはフィラーを連れて出て行った。


 伊勢とアールは目を合わせて少し苦笑した。

「アール、まさかだなぁ」

「そうですね、相棒。でも、大丈夫です」

「そうだな。大丈夫だ。ロスタムを」

「はい、相棒」


 すぐにロスタムがアールに連れられてやってきた。

 彼女はちょっと考えて出て行った。男同士の方が良いと思ったのだろう。


「どうしたんですか?師匠」

 ロスタムは実験の手伝いにでも呼ばれたと思って来たみたいだ。

「うん、フィラーにな。赤ん坊が出来たんだ」

 ぼやかしたって仕方が無い。

 モングとの戦いの後もこんな感じだったな、ふと伊勢はそんな事を考えた。

 思えば、伊勢はロスタムにいつも直球なような気がする。

「え?」

 ああ、やっぱりあの時の顔と一緒だ。伊勢は忘れた事は無い。全部覚えている。


「子供だ。ザンドの店にいた時に出来た子だよ。」

「そんな…」

「フィラーは隠してたんだよ。怖かったんだ。自分でも子供が出来たのは半信半疑だったみたいだ」

 フィラーは信じたくなかったのだろう。だから自分すら騙していた。これは…伊勢の得意技だ。

「俺が…もっと早く…」

 ロスタムの顔が青白くなった。

 ショックだろう。フィラーはロスタムにとって…ロスタムにとってフィラーは何だ?

「子供って…フィラーはまだ子供なのに…」

 よくわかった。


「ロスタム、フィラーはミナーじゃない。だけどお前はフィラーを救ったよ。お腹の子供も一緒にな。お前の、弟弟子だな」

「師匠」

「お前はフィラーを救ったよ。誇って良い事だよ」

 そうだ。誇って良い。ロスタムがいたからだ。

 熱中症のフィラーを助けた時も、昼食を運んだ事も、伊勢たちがザンドの店に乗りこんだ事も、全部ロスタムがいたからだ。

 いや、それだけじゃ無い。

 今までの全部だ。


「お前がここにいたから救われたんだ。よくやったよ。ロスタム、お前がやったんだ」

「師匠」

 そうだ。

 ようやく今、ここにこうして繋がったのだ。

 二年以上かかって、ロスタムはようやくここにたどり着いた。

 プーリー村から、ここまでずっと走ってきたのだ。

 全部ここなのだ。


「ああ、そういうことか」

 

 何の意味も無いけど、それでも何かの意味があったのだ。

 何の理由も無いけど、それでも何かの理由になったのだ。

 何の価値も無いけど、それでも全てに価値があったのだ。

 それらは全部、同じ事だったのだ。

 ただ、絶対に気付けないだけなのだ。


「ロスタム」

「はい」

「お前、良かったなぁ」

「はい」


 ロスタムは泣いていた。

 嬉しいわけでも悲しいわけでもない。

 ただの涙だ。




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