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Fの軌跡  作者: ひこうき
Fの軌跡 編 (前)
15/60

モールド(2)

「クラージェはね。人間の潜在能力を引き出す際に、人間の感情を喰らうのよ」




「喰らう?」

「そう、利用すると言ってもいいわね。怒り、悲しみ、喜び、驚き。人間の感情ほど、個性豊かで、複雑なものは無い。しかもどんどん新たに産まれてくる。そうなると当然、人間の感情は途轍もなく莫大な情報量を持っているってことになるわよね?クラージェは人間のその感情の一部を情報に変換して、人間の身体的、頭脳的な能力に変換していたの」

 浦田さんが、説明を加える。

「君達一般人が思っている情報と、僕達が指している情報は全く違う物なんだ。今のこの世界で情報というのはね、単に実態の無い抽象的な物を指しているんじゃない。この世の事象と変換された情報は全く同価値だと思って貰って構わない。同価値ならば、当然違う類の情報も別の事象に変換できる。つまり、感情から人間の能力、みたいにね」

 俺は少し考えてから、言葉を返す。

「つまり、人間の潜在能力はたかが知れている。クラージェは人間の感情を情報に変換した後、肉体的、精神的な能力に再変換して、加算していた。だから、あんな化物みたいな力が発揮出来る。そう言いたいんですか?」

「そういうことになるね」

 ゆっくり頷いた浦田さんは、そのまま続けた。

「感情が情報に変換される。実は、これほど恐ろしいことは無いんだ。感情を失うということは、どんな物事に対しても、全く同じ状態でいるということだよね。何をしても、別段特別に感じない。何が起きようとも、それを受け入れてしまう。こんな状態で、人と呼べるのかな?」

 俺は、再び寒気を感じる。半分ほど残った目前のコーヒーは、暖かみを失いつつある。

「それじゃまるで、動く人形じゃないですか」

 そう、と無表情の宮谷。

「まさに、動く人形よ。全人類が、モールドという名の受信機を摂取してしまった今、彼らの感情は、少しずつ少しずつ削り取られて、能力に変換されている。そして、適合率が大きい人間ほど、その感情が失われる速度が速い。ICDAが計算した結果、今から約47年後、全人類の感情が失われることが分かった。

 そうなると、何が起こると思う?例えば、Fコード、クラージェが『死ね』という命令を含んだ情報を発信したとしたら?私達人類は、何の躊躇いも疑問も持たずに、一瞬にして滅び去るでしょうね。

 これこそが、人間を超越した少年Fからの最悪のプレゼント。人類に対して憎しみを抱いたであろう彼の、最後の復讐」

「な、そんなこと・・・・・・」

 とても、信じがたい話だった。非現実的極まりない点と、あまりの衝撃から。

「お前は・・・・・・」

「?」

「お前は、どうなるんだよ、宮谷。お前は、超高適合者なんだろ?一体後何年で・・・・・・」

 一度目を丸くした宮谷は、次の瞬間には苦笑していた。

「私の場合は、あと16年くらいらしいわよ。よぼよぼのおばあさんになる前に、もう感情なんてものは消えるみたい」

 俺には、宮谷が何故そこまで笑顔でいられるかが分からなかった。

 ひょっとして、彼女はもう抗うことを諦めたのだろうか。いや、違うだろう。もしそうなら、彼女はICDAなんて組織には加入していないはず。

「話を戻すわよ。とにかく、その真実を知った科学者は、最悪地球規模の災害を起こされようとも、すぐにでも薬の使用を停止させる必要があった。でも、時既に遅しってね。彼らが薬のメカニズムを解析し終わった時には、既に5年が経過していて、全人類が薬を服用し終わっていたのよ。一度堪能してしまった力や名声を、欲望にまみれた一般人がむざむざ捨てると思う?」

 壁に背を持たれていた浦田さんが、無表情のまま口を開く。

「そこで彼らが最初に考えた解決策は、Fコードの破壊。すなわち、爆弾でも何でもいいから、とにかくクラージェごとFコードを葬り去ろうというものだった。しかし、大量の戦闘機をクラージェが存在する熱帯雨林の中の施設に送りこんだ結果、失敗に終わった」

「ど、どうして?」

 俺の聞き返しに、浦田さんは無表情のまま答える。

「Fコードはね、人類がモールドの秘密に気づき、破壊しに来ると予測していたんだ。全ての『答え』を導き出す、自身の特性を利用してね。そこで、Fコードは対策を打っていた。クラージェが存在する施設の周囲300キロメートルの環境を激変させ、侵入者が入れないようにしたんだ。荒れ狂う大気の流れに、大量の戦闘機は一機も残らず墜落。そしてその下の熱帯雨林の中に、大量の改造生物を放っていた」

 改造生物?と俺が疑問に感じていると、宮谷が補足を入れる。

「地球との情報的リンクを利用して、大地に住む生物の身体的情報を書き換えたのよ。つまり、原子レベルで生物の構成を組み替えて、凶悪な改造生物を創り上げた。最強クラスの個体になれば人間なんかじゃ相手にならないわ」

 確か宮谷の適合率が87%で、浦田さんが78%だったはず。この二人ほどの適合率を持ってしても、その改造生物とやらは止められないのだろうか。

「パイロット達も随分な高適合者だったそうだけど、そんな奴らが溢れかえっている地獄の空間に飛び込んだんだから、誰一人帰ってこなかったわ」

「ちょっと待てよ。それじゃ、何で俺達人間は、身体情報を書き換えられないんだ?俺達人間だって、その改造された生物と同じように、クラージェと情報的リンクした地球と接してるじゃないか?

 そもそも、何で俺達人間はモールドが無ければ、クラージェからの情報を吸収できないんだ?」

 いい質問だね、と浦田さん。

「人間が他の生物と違うことは、情報の取捨選択を行っていることなんだ。他の生物は、自分が得た情報を、そのまま全て受け入れる。何故なら、その情報を吟味するだけの発達した脳を持ち合わせていないから。けど、人間はどうだい?入ってきた情報を認識して、それが有益ならば取り入れる。

 例えば、人間は嫌なことはすぐに忘れるって言うだろう?それは、人間に悪影響を及ぼさないため、人間が生きていく上で必ず必要なことなんだ。だから、『原子構造の組み替え』なんて人間にとって利益の無い情報は、全て無意識の内に遮断されるんだよ。

 そしてその無意識下で機能しているフィルターは、感情が消えた際に全て消失する。モールドと言うクラージェからの情報を体内に直接取り込ませる装置を使ってやっと、『潜在能力を引き出す』という、一見有益に思える情報を少しずつ採用することができてるんだ。それでも大部分が削られるけどね」

 話を続けるわよ、と無表情の宮谷。

「でも、水泡に帰したと思われた作戦は、完全に失敗というワケでは無かったのよ。彼らは一矢報いることができたの」

 恭司君、と浦田さんに声を掛けられる。

「君は、一日食事を採らないで生きていられるかい?」

 なんのこっちゃ。

 というツッコミは飲込んで、素直に返答する。

「え、まあ普通に生きていられるでしょうけど」

 俺の答えに浦田さんは頷く。

「では、2日間は?」

「まあ、大丈夫です。お腹は空くでしょうけど」

「3日」

「まあ」

「5日」

「うーん……」

「2週間」

「いや、ちょっと……」

 そういうことだ、と満足気な浦田さん。一体何を言いたかったのか、申し訳ない気もするがさっぱり分からない。

 そんな俺に、宮谷が解説を加えてくれる。

「つまり、人間が肉体を維持するのに食事が必要不可欠であるのと同じように、Fコードも、クラージェという肉体を維持していく上で、無くてはならない物があるでしょ?」

 宮谷の言葉の指すところ、その意味をようやく理解した俺は、思わず声を張る。

「そうか、電力か。クラージェだって、規模は違うにせよ電子器機だもんな。電気が流れなければ、当然機能しない。恐らくクラージェへの送電をストップしたんだろ」

「2割正解」

 と冷徹な声色で俺の答えを砕いたのは、宮谷だった。

 苦笑いを浮かべる浦田さんが続ける。

「考えてみなよ、恭司君。世界最大規模の量子コンピュータだよ。オマケに外部には秘密で建設された施設。隠しておきたい相手である外部の世界から、こっそりと電力を分けて貰って、いつ切れるかも分からない送電線で送電して、莫大な消費電力の全てを賄えると思うのかい?」

「すいません、思ってました」

 はぁ、と目の前の宮谷が、わざとらしい大きなため息をする。浦田さんも咳払い。

「ま、まあそれはいいや。つまりだね、クラージェを含んだ研究施設には自家発電用のシステムが幾つも存在していたんだ。近くには巨大な河も流れているから、原子力も利用できたしね」

 続きよろしく、と手振りを受けて、宮谷が続ける。


「Fコードの創り出した地獄世界で戦闘機が次々と撃墜されていく中、最後の一機のパイロットが咄嗟に撃った多段ミサイルの一つが、本当に偶然、施設の発電所の一つを捉えたの」


「!」

 宮谷は続ける。

「幸運なことに、着弾した発電所はメインの一つ。二次的な爆発、崩落も含めて、全発電施設へ7割以上の損害を与えた」

「ちょ、ちょっと待って」

 その言葉を受けて、俺は感じた疑問を口にする。

「それだけの損害を与えたなら、クラージェの消費電力はもうほとんど維持できないんじゃないのか。だったら止まってもおかしくないだろ」

 宮谷はゆっくり頷くと、机にあった、先ほどの飲み物を注文する際に利用したパネルを操作した。そして部屋の照明が消えると同時に、青白く光るモニターが机の上に浮かび上がる。

 慣れた手つきによる数回のタッチの後、2枚の写真が映し出された。

 一枚は、倒壊した巨大ビルの残骸写真。ナンバー50に存在していた、当時世界一の高さを誇っていた高層ビルだったはず。

 このビルの事を、俺は良く知っていた。10年前に発生した未曾有の大災害を象徴する写真として、教科書やメディアを通して何度か見ている。

 だが、もう一枚の写真のことは知らない。

 荒れたノイズが走る、一枚の航空写真。現代の写影技術からしてみると、えらく低画質だ。となりの崩壊ビルの写真がやたらと高画質だから、細かな荒れがなお目立つ。下に広がっているのは、森林だろうか。境界線に届きそうなほど奥まで敷き詰められた木々の中心、丁度写真の中心に、一本の柱のような物が建っている。いや、ちょうど写真に油絵具のホワイトで塗りつぶしたかのような、天地を貫く一本の太いラインが走っていると言ったほうが相応しいかもしれない。

「本来ならあのミサイル1発で、クラージェの莫大な消費電力が賄えなくなって施設は沈黙、Fコードも停止。作戦も成功のはずだった。でも流石はFコード。機能停止に追いやられる寸前で、その状況下で、クラージェには最善な、人類には最悪な『答え』を出した」

 そう言った宮谷は、親指以外の右指を4本立てる。

「機能停止間際。Fコードが残した『答え』は4つある」

 宮谷の人差し指が折られる。

「一つ。先ほど言った発電所の一部を切り離した」

「切り離した?」

 俺の言葉に、今度は浦田さんが反応する。

「墜落寸前の戦闘機からの通信曰く、やはりFコード、人間離れな判断だったらしいよ。メインとして使用していた原子力発電機7個の内、2つが大破、3つが中破。無傷だった2つをシャッターで隔離して、推定1割弱のエネルギーを無傷のまま確保するに至った」

「でも一割だけ残したところで、もう何が出来るってワケでもないんじゃ?」

 俺の言葉に首を振ると、宮谷は二本目の指を折る。

「確かにFコードは、クラージェを利用した大規模な地殻変動は起こせなくなった。その後はね」

「その後?」

 支倉恭司、と再び名前を呼ばれ、とっさに反応した俺は背筋を伸ばす。満足げな宮谷はスクリーン上に映された、倒壊ビルの写真を拡大した。

「今から10年前に、ナンバー45からナンバー98の国々に渡って発生した、今世紀最大の地震を覚えているわよね?」

「ああ」

 ちょうど俺が施設に入居する年に発生した、今世紀最大の大地震。後から聞いた話によると、その被害は甚大で、死傷者は数千万人にも上ったそうだ。ナンバー45からナンバー98までの国の復興作業は、10年経った今でも完全には終わっていない。

「実はね、その大地震は、Fコード、クラージェが引き起こした物だったの」

「・・・・・・え?」

 戸惑う俺に、無表情の宮谷は続ける。

「さっきも言ったでしょ?クラージェは、地球上の様々な場所に配置されているリファポットを使用して、地球と情報的リンクをしていたって。だから、地球のプレートの動きを加速させるなんてことは、Fコードにとっては造作も無かったのよ。Fコードはクラージェを通してプレートの移動速度を何万倍にも加速させて、歴史的な大地震を引き起こした。ただし、これだけの規模の震災を起こすには、クラージェと地球間のリンクの最大出力が必要なはずだから、相当な電力が必要。作戦時の攻撃が、地震を起こされるほんのちょっと前に届いていれば、回避できたはずだったんだけどね」

 再び浮かび上がった真実に、俺は生唾を飲込む。宮谷の言葉を浦田さんが繋ぐ。

「恐らくFコード側としては、我々に対する牽制だろうね。こういった大災害によって、国としても僕達としても、暫くの間は復興に労力を注がねばならない。実際にこの震災さえ止められていれば、ICDAの規模は、今とは比較にならない物となっていたんだが」

 残念だよ、と言葉通り心底残念がっている浦田さんを一瞥し、宮谷は言う。

「過ぎた事はいいとして。Fコードが出した『答え』の残り二つ。その内1つが、これよ」

 宮谷は、ノイズが混じったもう一枚の写真を拡大。俺に示す。

「支倉恭司。アナタには、これが何に見える?」

 何に見えるかを問われているということは、これは物の類に含まれるのだろうか。騙されれば、写真の処理ミスと言われても信じてしまいそうな程、景色に不釣り合いな形だが。

「タワー、かな」

「正解」

 俺の言葉を一瞬で肯定した宮谷はしかし、次の瞬間には想像の斜め上を行く補足をした。

「不安定情報素による、空間隔離用のタワー。それがクラージェの存在する周囲3㎞を囲うように、成層圏付近まで展開されている」

「く、空間隔離?不安定、え、何?」

 再び此処で登場した謎の言葉に、宮谷はさらなる補足を加える。

「さっきも説明したけど、私達の感情も含めた全ての事象は、一度情報に置換できるわよね?」

「ああ」

 宮谷は続ける。

「不安定情報素、って言うのはその一度置換された情報が、確固とした形式情報を持たないまま、現実に不安定物質として具現化した物なの」

「つまり……?」

「一度情報として置換された物が、肉体だとか拳銃だとか、とにかく具体的なモノに変わる一歩手前の物質、て言えばいいのかしらね。物質であると同時に、物質では無い。未だに謎が多くて、研究部の重要テーマにもなっているんだけど、とにかく非常に不安定な存在なの。外界からある形式情報が加わるだけで、それに沿った現象、もしくは物質が発生してしまう」

 実例もあるわよ、と宮谷が言うと、浦田さんが考える素振りを見せる。

「確かその作戦のすぐ後にも、施設を守る情報素の壁にミサイル攻撃を敢行したんだ。その時はまだ、天にそびえる白色のタワーの正体が分からず、結果として太平洋のど真ん中でC5クラスの爆発が起きたらしいよ」

「!?」

 C5クラスの爆発というと、小さなエリアなら丸々10個は消し飛ぶ程の破壊力だ。それが一体何故太平洋上で。

「どういうことかっていうとね、恭司君。この情報素っていうのは、あと一歩で物質なり現象として現れうる物だろう。既に完成した武器なり、エネルギー状態の高い物をぶつけると、その高エネルギー物質の含んだ様々な情報が情報素にも伝達され、様々な物に具現化されるんだ。加えて厄介なのが、位置情報も含まないから、最悪エリア1のど真ん中でボンッていうこともあり得たわけだ。あの時の科学者達は生きた心地がしなかっただろうね」

「じゃ、じゃあ!」

 宮谷は頷く。

「恐らくFコードは、ロクでも無いことの為に、その不安定情報素を周囲にため込んでいたようね。それが襲撃の際、今後の電力不足を考慮して、どうせ使えないなら、と自身を守る最強の檻としたのよ。この情報素は、人でも物でも接触一つで大災害になりかねない。それがぐるっと一周、施設3㎞を囲んで、成層圏まで展開されてるんだもの。おかげで私達人類は本格的にクラージェに近づけなくなった」

 宮谷は続ける。

「そして、これらの出来事から科学者が分かったこと。クラージェと地球とのリンクは、最早リンクでは無かったってね。攻撃を敢行していた段階でFコードは既に、地球という超莫大な情報量を、全て統括していたのよ。後一歩の所で、地球全てが吹き飛んでいてもおかしくなかった」

 俺は、再び全身から鳥肌が立つのを感じた。誤魔化すように、先に進むよう急かす。

「そ、それで、残りの一つの答えは?」

 俺の言葉に浦田さんは頷く。

「最後の一つは、君の予想通りだよ。Fコード、クラージェは、メインシステム以外は全て凍結。残った1割の電力を使って、限られた2つの情報を世界に流し続ける。『感情を使って潜在能力を引き出せ』と、改造生物に向けた『原子構造の組み替え』だ。

 今、Fコードは浅い、本当に浅い眠りについている。だからこうして僕達が、Fコードに背くような行動を起こしても、クラージェは情報の蔓延に忙しくて制裁を加えられない。リファポットを通じて僕達のことを知って、ICDAに制裁を加えたくても、そのために必要な食料、電力が足らない」

 宮谷が続けた。

「そのパイロットの一撃が、人類の未来を大きく変えた。取り敢えずの、当面の危機は去ったの。でも半睡眠状態のクラージェから流され続けるその情報によって、47年後に人類が滅びさることに変わりはない。その後、科学者達は必死に解決法を模索したけど、どれも決定打にはならず、リスクが高まるばかり。そして、人類が選ぶべき道は二つに一つ、という結論に至った」

 浦田さんは壁に背を持たれたまま、右の人差し指をピッ、と上げる。

「一つ。僅かな期待に懸けて、玉砕覚悟でFコードの破壊を試みること。しかし例え成功したとしても、クラージェに到達するまでに反応を起こす莫大な不安定情報素によって、恐らく人類は壊滅的な被害を受ける。二つ。このまま何もせず、残り47年間を過ごして、全人類がFコードの操り人形になるということ。どちらも、人類はただでは済まない。

 こんな究極の二択を迫られた科学者達の中に、第3の可能性を示した者がいた」

 そう、と浦田さんは続ける。

「志穂君のお父さん、つまり、宮谷郷一郎だ。彼が示した第3の可能性、それは『人類が無事なまま、Fコードを葬る』。他に選択肢が無いならば、47年以内に作り出せ、というものだった。そして、今僕達がいる、International Code Direction&Delete Association、通称ICDAが、宮谷郷一郎をトップに設立された。それが、今から8年前の出来事」

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