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動物研修  作者: アズキ


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2/20

2,田舎

日曜日。

車に揺られること3時間。

研修先への集合時間は12時との指定がされていた。


小川の両親は少し疑問を持ちながらも車で送ってくれる。

親が同伴しろとの条件もあったことがもっともな理由だろう。


だからといって3時間はかなりかかるな。

小川は東京生まれ、東京育ちだった。

もちろん今通っている専門学校だって東京にある。


今回の研修先は茨城県にあるらしい。

東京に比べたら田舎という以外に言葉が見つからないが、それは他の都道府県も大概であった。


出発した時は親がDVDで3人とも好きな「ザ・ロック」という洋画を見ていたが、それも今は見終わってしまい、スマホをBluetoothで車に繋ぎ曲を流している。


父親である小川雅紀おがわまさきは昔のロック系の曲を。

父親はいかにも威厳のある親父といった感じで、整えた髪は綺麗ではあるが、最近白髪が目立ち始めている。

少し柄の入った上着にジーパンを着ていて、白髪は目立つが、まだ若く見られるようだ。


母親である小川恵里おがわえりは最近流行りの曲を。

肩よりも長く、パーマがかかった髪は茶色で光に照らされ光っている。

顔は化粧をしていて本人曰く綺麗系の顔らしい。

ニット系の上着に長めのスカート。

2人とも40半ば、年相応の格好といえる。

無駄に派手なものを着る訳でもなく自分に似合った格好をしっかりと選んでいた。


祥生はと言うと、一昔に流行ったバンドの曲ばかりをリクエストしていた。


ごくありふれた家族だが、他の家族よりもかなり仲がいいと祥生は思っている。

父親は車関係の仕事に就いていて、母親は介護系の仕事をしている。

祥生が昔の曲をリクエストすれば、「世代がおかしいんじゃない?」なんで笑われるものだ。


曲を聴きながら、祥生は外を眺めて暇を持て余していた。

最初の頃は親との会話も弾んだものだが、今となっては父と母が話す会話だけが車の中で流れている。

「祥生の研修なのに、私たちもついて行かなきゃなんて変だね。」

「多分、説明の時だけだよ。」

こんな会話をしたり、映画を見ている時は、出ている俳優さんの話なんかで盛り上がりを見せていたが、やはり時間が時間だ。

3時間も車で揺られていれば会話も尽きる。


今となっては祥生が喋るのは曲をリクエストする時だけ。

外の景色は今となってはほとんど自然。

地元では見ることのできない景色だと感じていた。

地元で車を走らせれば見られるのは見上げるほどのビルの山。

今は本物の山を見上げている。


もうそろそろ着かないかな…

ずっと心の中でそう呟いていた。

スマホを見て、黒田の方に連絡をしていて返信が返ってきていた。


『返信遅くなって悪い。準備に手間取ってて安心したせいで車で寝ちまってたみたいだw』


黒田らしいなとクスッと笑いがこぼれた。


「どうした?彼女からメールでも来たか?」


「いねぇよ!」


父がからかってきたので、強めに返したが、気にしていないように笑っていた。


黒田のように眠ってしまえば目的地にすぐに到着することができるだろうか?

しかし、寝ようとしても祥生は親の前で寝るのが苦手だったので起きているのがオチだ。


「お、そろそろ着くぞ。」


父がそう言った。

やっとだ、と体を伸ばして窓から外を見る。

施設の入口があり、それはまるでサファリパークの中にある大きなフェンスゲートだった。


そこにいる担当者に父が車の窓を開けて研修のことを伝えると、担当者がボタンを押してゲートを開けた。

その先にはさらに建物があり、その前に少しの駐車場があるだけだ。


建物自体はかなりの大きさがある。

さすが実験施設と言うだけあるなと祥生は感心していた。

駐車場に車を止め、黒田の車が来るのを待つことに。


スマホで連絡をすると

『あと5分ぐらいで着く。』と返信があった。


5分程後にもう一度フェンスゲートが開き、1台の車が中へと入ってきた。

黒田の家族が来たのだ。


祥生と両親は車から降りて、黒田の車の方へ向かう。

黒田とその両親も車からおり、こちらに挨拶をしてくれた。

悠太はいつもどうりの格好をしている。


悠太の父、黒田隆志くろだたかし

上着の上からコートを羽織り、黒い長ズボンを履いている。

髪はほとんどが白髪になっているがダンディーという言葉が似合うような印象のため気にならない。


悠太の母、黒田由希子くろだゆきこ

体のラインが分かる上着に、長ズボンのジーパンを履いていて、髪の毛はストレートの黒髪。

メイクはかなり濃くて、目の部分が尖って見える。

悠太のチャラさは母親譲りなのかもしれない。


そんな見た目だが、こちらには下に出てくれるような態度で人は見かけに寄らないということがよく分かる。


両親たちは少しの間、親が同伴することについて話していたり世間話をしていた。

祥生と悠太も今回の研修について話を盛り上げている。


「実験施設ってのは知ってたけど、何すんだかね。」


「さぁね。でも、ヘマしないように気をつけろよ。特に悠太は当番の時もよくやらかしてたんだから。」


「でも、仕事は早いだろ?」


「早くても、丁寧じゃなきゃダメなんだよ。あ、研修日誌持ってきた?」


「あ!忘れちった!」


「だと思って2冊持ってきてるよ。」


「さすが真面目くん。」


「それやめろ。」


そうして話しているうちに、施設の中から1人の男性が出てきた。

おそらくは研修の手引きに書いてあった案内人である。

研修先に着いた時はその場で待っていろとのことだったのだ。

案内する人間を用意するとの事で。


「ようこそ、遠いところまでありがとうございます。まずは中に入って、この研修の説明をいたしますので。

その部屋まで自分が案内します。」


白い白衣を着ていて、いかにも実験していますという雰囲気だった。

まだ若くて20~30代ぐらいの人だった。

嫌に笑顔が純粋に見えて逆に怖くなってしまう。


その人に連れられ祥生たち6人は施設の中へと入っていく。

祥生と悠太はこれから始まる研修内容にワクワクしている様子だった。


これだけの広い施設ならば、すごいことをやらせて貰えるのではないのかと期待を胸にしていたのだ。

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