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動物研修  作者: アズキ


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17/19

12,違和感

あれから何事もなく、放飼場に出ている時間が終わり、バックヤードへと祥生は戻された。

やはり、何かが変だ。

祥生はそう思いながらも、周りにいる人は自分の言葉を理解できない設定のため、聞く気はなかった。


しかし、バックヤードで長谷川が祥生の元へとやってきたのだ。

彼の顔はいつもよりも暗く、目は最初に会った時のように死んでいる。


「研修生1名の逃亡。

これは、施設にとっては大きな問題となるものだ。」


長谷川がそう言う。

しかし、焦りを全く感じない。

まるで、慣れているかのような口ぶりだ。


「なのに、なぜ、冷静でいるのか…

それが気になっているのだろう?

前にも言ったと思うが、あの外壁の先には我々が所有している森がある。

その森も高い外壁で覆われていて脱出は不可能。

外壁の上まで行けたとして、電線に触れれば感電死する。」


祥生はことの重要さを理解した。


「ならなんで、捜索しない?

ここに戻すのが責任なんじゃないのか?」


「そうしたいのは山々なのだが…」


急に長谷川の口元がニヤケ始める。

その瞬間に目元も笑い始めた。

彼はこの状況を大いに頼んしでいる様子だ。


「あの森には人間を放っている。

そして、森に食料はほとんどない。

かと言って、この施設に近ずけば害獣として駆除されてしまう。

そうすると人間の集団では何が起きるのか?」


「あとは君の想像におまかせするよ。」とそんなふうな顔をして長谷川はどこかへと行ってしまった。

何が起きてしまうのか、それは考えたくもなかった。

考えてしまえば、最悪の事態しか思い浮かばないからだ。


いくらポジティブに考えようとしても、あらゆる最悪な状況が頭によぎる。

もしかしたら悠太は今頃…

自分が提案したことで1人の友人を殺してしまったかもしれない。


呼吸が乱れて、いてもたってもいられなくなってしまう。

バックヤードの部屋をただ歩き回る。

動物がよくやる常同行動じょうどうこうどうと同じようだ。


※常同行動(動物が同じ場所を行ったり来たりする行動、主にストレスで引き起こされる)


悠太の生死が分からない状態では悲しむことも喜ぶこともできやしない。

ずっと不安が全身を駆け巡っていく気持ちの悪い気分が続くだけだ。


祥生は何とか気を紛らわそうと鉄格子を叩いてみたり、ベットの掛け布団を抱きしめてみたりと必死に心を落ち着かせようとした。


どうか…悠太が無事であるようにと願うしかなかった。

それと同時に、自分もどうにかここから出る方法を考えなくてはならないと思った。


自分が出られる瞬間、それを頭の中で必死に探す。

少しでも、スキを突くことができれば…

そのためには相手を騙すしかない。


そうして考えを巡らせ、やっとの事で祥生は落ち着きを保つことができるようになった。

今、悠太がどんな状況に置かれているのか、それを知るのはもう少しあとの話だ。

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