悪役令嬢がざまぁをやっちゃいけないなんて、誰が決めたんですか?
私は今日、初恋相手の王子の結婚を見送った。
結婚相手は目の敵にしていた貴族令嬢。
元々私が一緒にいて子供の頃はよく遊んでいた。
「結婚しよう!!」とも言ってくれた。
なのに、
あの女のせいで全て狂った。
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お父様が連れてきた1人の女。それが彼女だった。
家柄は私と同等かそれ以下。でも別になにも思わなかった。
ただ、“遊び相手が増えた”そう思ってた。
最初は遊ぶ人数が2人から3人に増えただけで、いつもと変わらずに楽しい日々が送れた。
学校に行く年になっても3人で雑談をしたり女子2人でお茶会をするなんてザラにあった。
なのに、いつからか変わってしまった。
お父様と陛下が王子と私の結婚を真剣に考えていた時期、彼女は除け者だったのだろう。
あの時は気づかなかったが、今ならわかる。
知らず知らずのうちに除け者にしていた。
だから、私と王子の結婚を邪魔しようとしていた。
私はそれに反抗するようにいろんなことをした。
当時の私には“なぜ急に態度が変わったんだろう?”としか思わなかったから。
__正直、このことがなければ、今も円満な友達としていれたのだろうかと思う。
私が全て悪いとは思わないけど
机を蹴飛ばされる
王子との勉強に割り込んでくる
これがやられたことだ。それに対した私。
石を投げる
ドレスを真っ二つに切って泥水に浮かせる
彼女のお気に入りのカップを割る
明らかに悪いのは私だろう。
子供っぽいしやり返しにしてはちょっと、いやかなりオーバーだ。
しかも最悪なことに、それら全てを王子にたまたま見られていた。
彼女のやったことは見ていないのに。
それから結婚話は途端になくなり、お父様とはそれから喋っていない。
私の嫌な噂も飛び交った。“悪役令嬢”とも言われたかな
王子は私の上部だけしか見ていなかったんだろう。
私がなぜやったのか理由も聞かなかった。
私は泣かなかった。
いや、泣けなかった。
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物陰で2人の結婚式を見届けた後、私はとある計画を思いついた。
“悪役令嬢と言われるならば、それを利用するまで”
この一連の流れはちょっとしたすれ違いや培われなかった信頼から起こった出来事。
ならば、真実を言うまで。
そして、初回限定特典としてちょっとしたサービスもつけちゃおう
私にとって、最高の特典を、ね。
それから私は持とうとしたもの全てを捨てた。
家族も、王子の隣も、地位も、国も、責任も、貴族としての誇りも____
戸籍をなくし、生まれ育った国を出た。
私は学んだ。無能のままでは勝てないから。
私は戦った。自分の身を守らなければ勝てないから。
私は人と関わった。1人では勝てないから。
私は世界を見た。見なければ失敗するから。
とにかく経験を積んだ。一つでも多く。
そうしなければ、私は真実を語れない。語る資格がない。語っても誰も振り向かない。
世界は思っているより厳しかった。
なんでこんなことのために頑張っているんだろうとも思った。
でも、諦めたらきっと私は死ぬ。生きる理由がなくなるから。
一瞬の歓喜と興奮のために、私は頑張った。
ある程度の経験を積み、私は世界の中心にある森の奥深くにきた。
地理学者から聞いたが、広大な開けた土地があるらしい。
そこを開拓しようとした人間が多くいったが、誰も開拓できずにいる。
世界的に行方不明者が一番多い地域らしい。
枯れた森だからか、動物はいない。
生態系を破壊する心配もない。
少し不思議な人を見たが、私を見るとにっこりして去っていった。
“あれが行方不明の原因か?”などと思いながら無事、目的の場所に行くことができた。
私は、そこに街を作ることにした。
今まで仲良くさせてもらった建築家の人たちに家や道を作ってもらい、
酒場や旅した壊れかけの村で出会った人たちが引っ越してきた。
皆、私の元の身分や事件のことを知っている人。
次第に噂を聞きつけた人たちが街に集まり、大きな街になっていった。
そこから何年後、その土地は広がり続け、国になった。
私は最初の国王になった。
そうすればあとは簡単だ。昔の本や資料を元に、私の周りに集まってくれた人と協力し、独自の輸送技術を生み出した。《効率的で重いものも早く運べる》それを聞いた国々は“金は出すからぜひうちにも”と、私の思い通り手紙をよこしてくれたのだ。
もちろん、私は快く応じた。
ある一つの国を除いて_____
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「何故中心国はこの国にだけ応じない!!!!!」
王子、いや国王は気が立っていた。
王妃はもう数年前からいない。
王妃は結婚後こそ彼のために誠心誠意尽くしていた。
だが、彼は想像以上に相手を思いやれる力がなかった。
ある意味、心がないとも言える。
だから、王妃は城から離れた屋敷に篭っていたのだ。
衛兵や使いは黙っている。このようなことは一度や二度ではないからだ。
「あぁもう!!!最近は悪いことしか起きない!!いっそ戦争でも仕掛けるか…?」
誰もが動揺した。今戦争を起こせば、この国が敗北することは決まっていたからだ。
何故なら現国王が無能すぎるから。
『少しお待ちくださいな、王子。………いえ、陛下』
そこに、静かで、でも力強い女性の声が響いた。
「お前は……………なんでここにいる!!!!」
そこにいたのは、かつての幼馴染。
そして隣に、王妃が立っていた。
「少し、あの時のことと、あなたが怒っている件についてを言いに来たまでです。
彼女にも聞いてもらいたくて、連れてきました」
王子はただ睨んだ。威嚇するように鼻息を荒くしながら。
「8年ほど前ですね。私たちの仲が崩れたのは。私はあなたとの結婚をとても楽しみにしていた。ここにいる彼女とのこれからも本当に楽しみだった。でも、私とあなたが結婚するとなると、除け者のように思ってしまったんでしょうね」
隣の彼女が少し動いた。
「だから、小さな嫌がらせをしてでも、気を引きたがった。私はあの頃無能だったから、子供のようにもっと酷い嫌がらせをしてしまった。陛下はあの時、私だけが嫌がらせをしているように見えたんでしょうね」
なにを言っているんだと言う顔で見る元王子。
「長年の信頼など無く、見たままの情報だけで私をクソと判断した。………まぁ私が悪いところもあったんでしょうけどね。そこに関しては申し訳ない。今はそう思っている。
……これが一つ目の話」
どうでもいい、とでも言うような元王子の目。泣きそうな目をする隣の彼女。
「そして二つ目の話。これは先ほどの話とも直結するのだけれど…
国を出てからも、結婚式を見ている間も思ってた。何故私だけが悪者なのだろうってね。だから私は有能になった。そうすれば、この思いも晴れる」
まだわかっていないと言う顔をする元王子。
「この国に私、中心国第一国王の名において、輸送技術は教えない。……そして、宣戦布告をしにきた。………ここまで言えば、もうわかるでしょう?」
膝から崩れ落ちた衛兵。
何か良くないことが起きたんだと言う顔をする王子。泣き出した彼女。
衛兵はなんの関係もないから保護するとして……………
あとは他の信頼できる人たちに任せよう。
「ではみなさん。ごきげんよう」




