6幕 二度あることは三度あるらしいので一度目を大事にします。
静まり返った戦場に声が響く
「ここからは正真正銘のバトルだ。どっちかが死ぬまでやろうぜ?」
少し考える。
「いやごめん。死ぬのお前だからお前が死んだら終わりな?」
なんだこいつって顔してる
つまりそれすなわち―――
「お前俺のこと馬鹿にしてんのか?じゃあさっさとしねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
相手の返事を聞く前に飛びかかる。はたから見ればチンピラにしか見えないだろう
もしホントにチンピラであったらおそらく日本一のチンピラであろうその人が飛びかかる。そして剣を振り下ろす。
「!!」
吸血鬼が直感でまずいと理解したのか攻撃をいともたやすく避ける。
こんな単純な攻撃もちろん空振り、地面とぶつかる。当たり前の光景の中に一つの衝撃が走る
「威力はとんとんってところかな?」
地面が大きくへこんでいた。それはまるで吸血鬼の攻撃のようだった。
「これでおれは獲物じゃなくて敵だって理解したよな?」
『やっとこいつと並んだ。』
二人が戦闘体制を取る。しばらく静寂が訪れたが、長くは続かなかった。
先に動いたのは命だった――
「激しい戦いだ、、、、」
命が吸血鬼に攻撃を仕掛ける。吸血鬼が避けて反撃をする。それを剣で防ぎまた最初からに戻る。それだけ。それだけのはずなのに
保には目で追うのが精一杯だった。
「これが五階ボス討伐者、、、」
近くで戦っているはずなのに保には二人が遠くに見えていた
激しい攻防が続く。いつ戦いが終わっても不思議ではない。それくらいに互いにギリギリの戦いをしていた。が、若干命がおしているに見える。しかし、それが見間違いではなかった事が分かる。
その瞬間、命の蹴りが相手の腹に入った。
吸血鬼に蹴りが入った。
「がっ、、、」
吸血鬼の小さな反応からでもそのダメージが読み取れる
吸血鬼が大きく吹き飛ぶ。
『吸血鬼は再生するが傷つけつ続けると再生が遅くなるとは初発見だ。』
「前回とは立場が逆だな、、、、」
壁に寄りかかっている吸血鬼を見ながら高圧的に言う
吸血鬼は明らかにイラっとした表情に変化する。よっぽどイラっときたのか自分の手首を切る
「お前なにして、、、」
そして吸血鬼は自分の血を片手剣のような形に固める。
「あ?今更そんなもんぶっ壊してやんよ!!!」
吸血鬼に向かって剣を振りかぶる。
そして気が付く。血でできていたと思っていたそれは本物の剣に代わっていた。しかもそれは――
「おいおい、吸血鬼に日本刀とか流行らないって、、、、」
『まさか血の中に物を溶かしてるのか?それともそういう魔法があるのか?』
フルで頭を働かせる。『生命本能が反応しているそれは何か?』と。しかしとにかく生き残ることを最優先とし、『そんな暇はない!!』と急いで剣を地面に刺し、防御の体制を取る。直感か、それとも防衛本能による行動か。しかし、それも
無駄であった
時間がゆっくりと進む。相手が何をしているのかしっかりとわかる。
吸血鬼が刀に手をかける。そしてその刀を抜く。それだけだ。
しかし、その右足から出る踏み出しの速度、抜刀の速さ。そして遠くからでもわかる刀の異質な雰囲気。
防げはした。だが意味があったとはあまり言えないが。
「うっそん、、、、」
腹から切られた。しかし、それは動けるのであまり問題ではない。一番の問題があった。それは、剣が真っ二つになってしまったことだ。
体が一瞬にして冷たくなる。
『まずい、
まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい。
どうする?もうこれ以上の武器は用意できない。どうする?
考えろ、
考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ
かん、が、え、ろ?』
周りを見る。そして気が付く。
『っ!!いける!!』
私は走る。だが後ろにいる吸血鬼がまた構えている。馬鹿でもわかる。
二回目がくる!!
もう防ぐものがない。保もこっちに向かっているが、明らかに間に合わない。
『また、、、、ダメなのか?また負けるのか?またあいつに殺されるのか?
そんなの嫌だ!!!また負けたくない。あいつに殺されたくない。
勝って生き残りたい!!!
あと数秒あれば、あと少し時間があれば勝てるのに!!!
時間がほしい。勝って生き残りたい。負けたくない。
何でもいい神でも、悪魔でも、幽霊でも。
頼む勝たせてくれよ、、、、』
自分に出来ることは全てやった。そしてその時は来た。
時間が過ぎるのがとてもゆっくりに感じる。まるで時が止まったかのように。というか、、、、
『ほんとに時間が止まってる?』
自分の身体も動かない。『どういうことだ?』と困惑していると後ろから肩に手がかけられる。動かないので正体はわからない。だが、
『私が協力してあげる。』
知っている女の声だった。死んだときの声、保を助けた時にも聞こえた声。今考えれば全て同じ声だった。この女の声も。なぜ気が付かなかったのか。そんなこと考えていると
また声がする。
『それは私が気が付かないようにコントロールしていたんだよ?意外と大変だったんだから感謝してよ?』
『心が読めるのかよ、、、、』
『だって口動かないでしょ?だから必要なの。だからとりあえず、、、、私で変なこと考えるのやめよう?』
『・・・・』
お母さんにエの本を見つかった気分になった。
核の近くが固いのは魔力での身体強化に近い、と言われているけどあんまよくわからない。