一話 生命保険は出ない
「ダンジョン発生から今年で13年となりましたが未だに分からない約半分の人類の行方今回はこ―――」
テレビを切る
「行ってきまぁーす」
返事はない。そして家を出る
地下鉄の駅から出るとすぐ目の前に巨大な壁に囲まれた建物が目に入る。巨人が来ても大丈夫そうだと思いながら入口へ向かう
「入場申請お願いしまーす」
「はい!ではお名前をどうぞ!」
『声がでかいな』と思い名前を見ると新人マークがついていた
『だから元気なのか・・・』そう思ってるいると
「どうかしましたか?」
『しまった!』と急いで答える
「すいません!岐美 命です!」
大きな声で答える
一矢報いてやったぜ
「はい、確認しました!本日は新人探索者の実習でいつもより人が多いので気を付けてください!」
「わかりました!」
『かっこつけるチャンスだな・・・』
どうかっこつけようか考えながらダンジョンへと続く階段を下がる。
「いやほんとに多いな!」
思ったよりも多かった。うん多いな。まぁでも何人が続くかな
『てかかっこつける前にモンスターがいねーわ!』と考えていると入ってすぐのモンスターが入ることのできないセーフティーゾーンで
「いいですか皆さん。この世界に5つの11階まであるダンジョンがあり、攻略されたのは今までで一本のみです。それぞれには特徴がありここ日本のダンジョンは、、、君特徴言えるかな?」
「はい!日本はアンデッド系統のモンスターが多いです!」
「はい、そのとおり。ちなみに現在は5階までは攻略されています。なので6階までは行けるのですが、今回は一階で能力などを使うのに慣れてもらおうと、、、、、」
『懐かしいー!おれも16歳の講習受けれるようになった瞬間行ったんだよなーもう二年前かー、、、え?』
寒気がした。新時代がこわい
とか思いながら先に進み階段・・・ではなく魔法陣のある部屋に着く
魔法陣を通ると景色は変わらないがどこか重苦しい雰囲気の場所へと辿り着く
「やっぱこの今まで行った階層にすぐ行けるの便利ー!」
と感動しながら後ろを振り返る
「よーし今日は、、、、、ここだな!」
スマホの地図を見ながら歩き出す
辺りは一階からかわらず誰もが想像するザ・ダンジョンという雰囲気であった
若干薄暗いのでダンジョンを出ると目をやられるのだけはどうにかならないか?と考えているうちに目的地に着く
「おーいるいる」
壁からひょこっと顔を出す
すると少し奥の方に重そうな鉄?の鎧をまとい剣をもっている骸骨の姿があった
いやー毎回思うがどうやって鎧支えてるんだ?ん?
「こっち見てね?てかこっち来てね?」
鎧が重いのか歩き程度のスピードしか出ていないが明らかにこっちに来ている
どうやら口に出ていたらしい
・・・・・。
「毎回思うけどお前耳ないだろォ!!」
戦闘が始まる
骸骨が剣をゆっくり上に振り上げる、振り下ろす。それを軽くよける。よけた剣が地面とぶつかりひびが入る
「相変わらず振り下ろす速度だけ早いようでッ!」
すかさず短剣を取り出し鎧の隙間に刺す。そして魔力を加えると
ドゴォ!
と鎧の中で爆発が起こる。すると骸骨は鎧とともに砂のように崩れて消えていき、飴玉サイズの石のみが残る
この石は魔力石これを売ってお金にしたり、砕いて自分の魔力にしたりできる。今はこれで発電したりしてる。綺麗だからといって食べちゃだめだぞ?お兄さんとの約束だ。ちなみに嚙んだら消えました。返せよ!!オレの稼ぎ!!
「胸の核を鎧で隠すのはいいけど、オレからしたらむしろ楽なんだよねー♪」
そうこの骸骨は一階だと何にも持ってない上に丸裸で二階でやっと武器を持った言わばザコ敵である。攻撃は拳か剣を振り下ろすだけ。動き方が決まっているのである。
「鎧なしは爆発オレもくらうから、この楽しみ方できるのはお前だけだよ、、、」
感動したまである
―――キィ、、、
感心していると金属の擦れる音が微かに聞こえた
「お?」
爆発音のせいか骸骨たちがぞろぞろと集まってきたようだ
「楽しい上に敵お金も集められる、、、、最高か?」
今日もたくさんかせぐぞ♡
「―――いや~今日も稼いだなぁー」
『ふうっ』と一息つく
袋には大量の魔力石、思わず笑みがこぼれる。確実に数万円はある。ここ最近で一番稼いだのではないだろうか?
袋を腰に付けホクホクした気持ちで帰りの魔法陣へといどうしていたその時、
「キャー!!」
女の子の声がした
ピキンッ―――
この時命は瞬時に理解する
かっこつけるチャンスだ!
声の方に向かう。『ここら辺か?』と思い、いつも通りひょこっと顔を出す
「あー、、、、」
そこでは謎の人物が霧のようなものと戦っていた
『あれは恐らくゴースト。なぜか攻撃できる人とできない人がいるモンスター。できない人は物理も魔法もどっち使ってもダメージを与えられない。できない人でもダメージ与えられる方法はあるが、必要なアイテムが高いしその上何も落とさないのでほとんどはの人は無視しているいわばクソモンスターだ。流石に端まで追い詰められているから逃げることもできないだろう。助けるメリットもないし、、、、』
少し考えて結論を出す
「うん!見捨てよう!」
二人には悪いが俺の財布のために死ん、、、、
「ん?目が合ってね?」
なんかこれデジャブ、、、、
「すみません!たすけてください!」と男が言う
くっそ!バレた!気が付くなよ!流石にばれてて見捨てる勇気はない!
命は下唇を少しの間嚙んでから
「っ、、、今助けます!」
恩を売ったと考えよう。そうしよう!
命は自分の行動にそう理由を付けるとすぐさまバックを漁り始める
「!」
探し物が見つかったのか手を止める
しょうがねぇ!持ってて良かった!
「怒りの教会印の聖水アターック!!」
と言いながら瓶をゴーストの方へと投げる
が奴には当たらなかった
そういやオレも当たんないんだったわ
しかしそれが正解の行動であった
瓶はゴーストを通りぬけ近くの地面とぶつかり勢い良く割れ、中身がゴーストと戦っていた人物にかかる
それを確認し、命は腰に付けていた銃を取り出しそれに魔力を込め一言
「三万円の恨みぃぃぃぃ!」
勢いよく銃から半透明な何かが発射され、ゴーストとぶつかる
ゴーストは塵すら残らなかった、、、
「―――ありがとうござした!まじで死ぬかと思いました!」
息を切らしながら、若い端正な顔立ちをした男が言う。顔がよすぎて色気すら感じられる
見た目は肩にはかからないが長めの黒髪に身長は自分より小さいので160cm代と言ったところ。そしてきれいな顔
よく見ると女に見えるけど、、、いやでもオレのセンサーがこいつを男と判断している、、、
そんな中性的な顔であった
「それは良かった、、、」
命にとって助けた事実よりも大きな事実に気を取られてしまいどこか気持ちの抜けた返事をする
『今日の働きほとんど無駄になったけどなっ!』と考えているとあることに気が付く
「てか女の子は?悲鳴がしてこっちに来たんだけど、間違いなくこの場所だったと思うんだけど、、、」
「え?自分ひとりですけど、、、というかそんな声しませんでしたけど、、、」
「え?」
「え?」
「え?」
「あ、でももしかしたら女神さまの導きとか?」
「何言ってんだこいつ」何言ってんだこいつ
「え?」
「あ、」
「え?」
「まっ、まぁとにかく助かって良かったよ。死んでも生命保険出ないからね」
「ははっ、なにを言ってr」
瞬きの合間に目の前の男の首を謎の人物が嚙んでいた
この状況から考えられる可能性は一つ
みんなもいっしょにせーの!
「変態か?」
変態か?




