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2.最新ファッション探訪

瞼の裏に、柔らかくて温かいお日様の光を感じる。

島にいた頃は、目が見えなくて、いつも露ちゃんに手を引いてもらっていたけれど、ここに来てヨドゥバシー様が目を治してくれたから、一人でいろんなことができるようになった。

目を開けて、胸いっぱいに空気を吸い込む。

空気が美味しいという事を知ったのも、ここに来てから。

壁も床も屋根も寝る所も机も、みんな貴重な木で出来ていて、すごくびっくりした。

ここは、とてもたくさんの木が生えていて、見える場所は全部緑色をしている。家の中も木のいい匂いがして、息を吸うだけで幸せな気持ちがする。

この部屋は女の子だけの四人で使っていて、左右に二段になった寝る所が一人ずつちゃんとあって、服をしまったり、教科書をしまったりする引き出しがある。

まだ寝ていた上の段の露ちゃんを起し、顔を洗って歯を磨いてから食堂に向かう。

食堂のごはんは当番さんと料理の先生のエルフさんが作ってくれて、とっても美味しい。

食堂には、この西棟で暮らしている皆が食べに来くるからいつも賑やかで、笑う声が聞こえている。島の皆はとても大きな四つの建物に住んでいて、四つの建物はちょっと遠くて、この西棟から他の棟は見えない。

ごはんを食べ終わると、露ちゃんと一緒に裸足のまま運動場に行く。

運動場は石が取り除かれて、小さな石の一つも落ちてなくて、足の裏がペタペタして気持ちがいい。運動場の東の端に建っている二本の柱から、山の中をぐるりと石の取り除かれた土の道が続いていて、運動場の西側に繋がっている。足の速い大人でも、この山道を一周するのに三十分くらいかかる。

お屋敷で働いている、オレンジ色の髪が綺麗なエルフのピリカ先生が、ひとりひとりの顔を覗き込み「走って良し」と言われたら、出発地点に四人そろってから山の中に走り出す。

今日は露ちゃんと、背の高い槐君と、もっと背の高い知らない男の子がいた。

その子は目が合うと、片目を瞑って笑い掛けてきた。

片目を瞑ることが、どういう意味か分からないけれど、とてもカッコいいような気がして、今度真似してみようと思った。

先生が「用意、走れ!」と声を掛ける。

四人並んで一斉に走り出す。

ピリカ先生は、他の子との競争ではなく、昨日の自分との競争だと言っていた。昨日より楽しく、上手に走れるようになることが大事なことなんだって。

最初は、走るという事が出来なくて、歩いて一周するのも大変だった。でも、今は走れるし、それに走るのが楽しい。途中で流れている小川を飛び越えるのもワクワクするし、最後の方の下り坂を転ばないように全力で走り切るのが最近の楽しみの一つ。

足の裏が、ペタペタと土を踏む感触も楽しい。

前を見ると、さっきの男の子が、岩を飛び越えたり、木の枝から枝へ手を伸ばして体に反動をつけて飛んだりしながら、移動している。

先に走っている人たちを抜かさないよう、時間を潰しているようにも見える。

男の子を見ていると、後ろから大きな声が聞こえた。

「おい!なんで置いて行くんだよ!お兄ちゃんと今日一緒に行くって約束したじゃん!」

振り返ると、なんとヨドゥバシー様が靴を脱ぎ捨てて、コースを走って来る。

私の横をすごい勢いで通り過ぎたかと思うと、先を走っていたあの男の子を追いかける。

男の子が振り返り「お前、寝てたんだもん。それよりも、せっかくだ、競争しよう」と、ヨドゥバシー様がその肩に触れる直前に勢いを増して走りだして、二人はあっという間に見えなくなってしまった。

私がゴールした時は、二人は大の字に地面に転がっていて、西棟の皆が、男の子とヨドゥバシー様を取り囲んでいた。

「あの男の子、誰なんだろう?」

露ちゃんに聞いてみた。

「紫ちゃん、ソゴゥ様だよ?」

「え、そうなの?ソゴゥ様はエルフかと思っていたから」

「エルフだよ、ヨドゥバシー様の弟だもん、魔法で髪の色や耳を変えているんだって」

「そうなの?ソゴゥ様のお声は聞いたことがあったけれど、あの時は目が見えなかったから、でも本当だ、ヨドゥバシー様にすごく似ているね」

「ねっ、この国の王様と同じくらい偉い人になるんだって」

「へえ、すごいね」

ソゴゥ様がこちらに来られてしゃがみ、目線を合わせて話しかけてこられる。

「疲れた?」

「はい、疲れました」

「辛い?」

私は首をぶんぶんと振った。

「楽しいです」

「そうか、よかった。でも、あんなふうに無理しちゃだめだよ」とソゴゥ様が、まだ横たわっているヨドゥバシー様を指さして笑う。

「君は紫御殿、そっちの君は露草だね」

ソゴゥ様は私たちの背中を見て仰る。

「はい、アサ様が付けてくれました」

「そう、いい名前だね、僕はどちらの花もとても好きだよ」

露ちゃんも私も真っ赤になって、どうしていいか分からなくなった。

「ここは大浴場があるんだよね、僕はそれが楽しみなんだ。皆も早くお風呂に行くといいよ」

朝の運動が終わったらお風呂に入って、その後休憩する。今日はエルフの先生の授業のある日なので楽しみ。ごはん当番や、畑当番、狩猟採取の日、エルフの先生が教えてくれたことを、他のクラスの人に教える日、他のクラスの人から教わる日がある。

学ぶという事はインプットだけでなく、アウトプットが習得の近道なんだって。

アウトプットと言うのは、習ったことを実際にやってみたり、他の人に教えたりすること。先生に習ったことを、他の人に教えるのは、ちゃんと習ったことを覚えていないとできないし、それに間違わないように教えなくちゃいけない。あと、分かりやすく話したり、工夫したりするのがとても難しい。

ソゴゥ様はヨドゥバシー様を置いて、大浴場の方に向かわれ、暫くぼんやりしていた私と露ちゃんも、その後を追っかけるように走った。

お風呂は男の子と女の子で別になっていて、どちらのお風呂からも遠くの山が見える。今は夏だから雪がないけれど、春先までは雪を被っていてとてもきれいなんだって、ピリカ先生が教えてくれた。

ピリカ先生のお兄さんは、王都で警察官をしていて、ヨドゥバシー様のお兄さんと一緒に働いているのが自慢で、兄妹ともに背が低いことを気にしているって、同じ部屋のタビちゃんが言っていた。

タビちゃんはピリカ先生が大好きだから、ピリカ先生のこと何でも知っている。

お風呂からあがって、道場としてもつかわれる畳が敷いてある休憩室に向かう、ここは大人も子供も、男の子も女の子も関係なく、好きな場所に寝っ転がって休憩する。

休憩の時間はお喋り禁止。体を休める大事な時間は、口もお休みさせないと駄目なんだって。

でもみんなすぐ寝ちゃって鼾をかくから、口は休めていないと思う。

ヨドゥバシー様が収めるノディマー領は、夏でも涼しいから、まだ体力がない私達でも過ごしやすいと、地理の先生が教えてくれた。

他の場所だと、冷却魔法装置なしではこの時期は過ごせないくらい暑くなるらしい。

お腹にタオルを掛けていないと、先生やお世話をしてくれるエルフの人、それに西棟の監督を任されている馬酔木様や満天星様が「お腹は冷やしちゃだめだよ」と言って、タオルを掛けてくれる。

それがとても嬉しくて、わざとタオルを掛けなかったりするのは、露ちゃんやタビちゃんも一緒みたいだ。

いっぱい走って疲れて、気持ちよく幸せに微睡む。起きたら、どうしていいか分からないくらいワクワクしてしまう。

毎日が楽しくて仕方がない。アサ様にも見て欲しかったな、皆が笑っているところを。


西棟の白虎館と呼んでいる建物に視察と称して風呂に入りに来て、ヨドゥバシーに見つかった。屋敷に寄って母さんに挨拶し、西棟の館内着に着替えて、寝ていたヨドゥバシーを起さず、そのままここへ来た。ヨルには、第九領で起きている行方不明者の事もあり、ノディマー領全域に何か異変はないか父カデンと一緒に調査に行ってもらっている。

西棟の館内着は生成色で、ソゴゥが着ているものには、背中にノディマー家の家紋の三つの三日月が描かれている。

風呂に入る際に新しい一着を用意しておいて、着ていた汗で湿ったものは、自分で洗濯するのがここの決まりだ。

亡国の母と呼ばれていたアサさんは、島の皆の出産に立ち会い、生まれた日にちなんで花の名前を名付けていた。アサさんの側にいたヨルから聞いた話だが、アサさんの若い頃は、まだ島に古い書物が残っていたようで、その一つに誕生花を記したものがあり、日付で花の種類、暦で色などが複雑に決まっている様だった。アサさんは見たものを忘れることが出来ないため、一度読んだ本も、ずっと覚えていたようだ。

第二貴族のトーラス家の者に、特殊能力で三日間記憶を完全に保存できる犯罪者がいたが、アサさんの能力は保存する記憶を選ぶことも、一生忘れることもできず、悲しみや苦しみといった、忘れてしまいたい記憶も褪せることなく、その胸に圧しかかっていたのだろう。

アサさんのそんな知識で付けられた新ノディマー領民の名は、その背中に絵の上手な司書達に手伝ってもらい、由来の花の絵を家紋のように象徴記号にデザインしてもらったものを、服の背中に描いてあるのだ。

皆、自分の名の花が描かれた服を大事に手洗いして干して、また大事に着ている。

着心地と動きやすさ重視の、背中の絵以外に装飾のない上下別れた作務衣のような服だ。

本当なら、背中の絵も、ペイントではなく刺繍や染、または織にしたかったのだが時間がなかった。

皆には、織物などを学んでもらって、自分たちで作れるようになってもらい、ゆくゆくはそれを産業にしていけたらいい。

まあ、領民のことは、ヨドゥバシーに任せるべきだろう。

とは言え、秋冬ものはイグドラム国中を巻き込んで、他のナンバー貴族にも手伝ってもらうつもりで、コンテストの段取りを付けている。真夏に、真冬の服の選定を行うのだが、その先は大量生産が待っているわけだからそれでも時間がない方だ。

あと、靴。いまは、草履で過ごせているが、寒くなるとこの辺りはかなり雪が積もるため、暖かでありつつも外側が撥水加工されたものが望ましい。

そんなことを考えつつ、浸かっている風呂の縁に腕を掛け、この何もない大浴場の壁に、富士山を描いてみてもいいなと思う。

風呂から上がり一休みした後、洗濯場で着ていた服を洗って、物干しに干す。

数千の生成色の服が風に靡いている様は、人の営みの一部が芸術に昇華されたような美しさがある。

ソゴゥが極東に向かった日、すでに、この場所にヨドゥバシーとイセトゥアンとニトゥリーの三兄弟に、移民受け入れの大工事の監修が言い渡されており、そのほとんどを、ヨドゥバシーが仕切っていたが、途中ヨドゥバシーが王女と共に、移民を乗せる客船の方を担当することになって抜けると、イセトゥアンとニトゥリーが現職を特殊任務として抜けて、この地の建築に付きっきりになっていたのだそうだ。

建物の設計図は、湖の畔に巨大な木造建築の楼閣のような旅館を建てるという、母ヒャッカと、父カデンの予算度外視の計画によって引かれていた図面がそのまま利用された。

一棟で三千人が暮らせるだけの建物が四棟作られ、仮設テントで過ごしてもらう事を予想していたソゴゥの想像を上回り、ソゴゥが極東に向かって、移民を連れて帰ってきた一か月ちょっとの間に完成させるという大業を成し遂げていた。

ノディマー領は、木と土地だけは売るほどあるため、保管されていた間伐材全てと、開拓した土地の木も利用され、ほとんどそれで材料が何とかなったのだという。

建物にガラス窓がないのは、工期の短縮と積雪時の防寒目的であり、その代わり障子窓になっているため、日本の豪雪地帯にある老舗旅館の趣と、ファンタジー世界の異質さを兼ね備えた、結果、とんでもない建物に仕上がっていたのだ。

今日はソゴゥ達兄弟の育った園の、オスティオス園長と司書のビオラとローズが講師として、この西棟にやって来る。

オスティオス園長の魔法講座は、いずれ新領民が護身術を覚える際に必要となる知識だ。人間にも魔力はあり、人間の中には、魔力に似た清廉な力である霊力を持っている者が存在する。霊力は質がいいため、少ない量で大きな術を発動させたりすることが出来る。大陸の一部の人間がこの霊力を持っていることを、エルフの調査機関で確認されていたが、ここに居る新領民の人間のほとんど全員が、強い霊力を持っていることが分かった。

それが分かった時、ノディマー家で極秘の会議が開かれた。

「アレのせいだったらどうしよう・・・・・・」

「いや、間違いなくアレのせいだろうよ」

「俺もそう思う」

ヨドゥバシーと父カデン、そしてソゴゥは、例の蛟から龍になりこの土地を守護するアレの事を思い浮かべていた。

「不可抗力よ」

「そだね」

「え、でも・・・・・・」

「俺たちにはどうにもできん」

「そだね」

「ソゴゥ、お前、思考放棄すんなよ~」

「もともと霊力の高かった可能性もある。これからの様子を確認して、対処する他ないと思います」

「ああ、俺もそう言おうとしたんだ」とカデン。

「というわけで、ヨドは皆をよく見ておくように。あと、霊力による弊害が起きないよう、オスティオス園長に、霊力と向き合うための講習をお願いしておいて、父さん」

「おう、任せろ」

そうして実現した園長の講義に、ソゴゥはヨドゥバシーと一緒に後ろの方に紛れている。

背筋を伸ばし、目をキラキラさせているのはここにいる皆がそうなのだが、その中でもひと際オーラを放っている者にオスティオスは目を向け、そこにソゴゥがいて、その隣にヨドゥバシーがいることを発見し、思わず目頭を押さえた。


園の卒業生は、いくつになっても最高に可愛いものだ。

親友のカデンの子供で、実の親であることを明かして堂々と、親らしく振舞うことが出来るようになってから、カデンがソゴゥの頭を撫でまわし、ソゴゥが死んだ魚みたいな目になっているのを見た時は、お節介にも止めるべきか悩んだものである。

園の子供はどの子にも思い出が沢山あるが、問題児だったソゴゥが、立派にイグドラシルの司書としてやっていっている姿には、こみ上げてくるものがある。

本人は気付いていないであろうが、毎晩のように寮を抜け出しては、魔術の開発に勤しんでいる彼を監視していたもの懐かしい。時々、ソゴゥが瞬間移動を使い見失ってしまうことがあったが、まさか空壁の外に出ていたと後から知った時には肝を冷やした。

もともと何もかもが規格外の子供ではあったが、イグドラシルの巫覡という星に影響を与える存在になるとは。


ソゴゥは時折、何やらオスティオス園長から向けられる生温かい視線に首を傾げながらも、懐かしい授業を楽しんでいた。

皆が静かにオスティオス園長の授業に耳を傾ける中、突然、非常警戒音が館内に鳴り響いた。

「園長先生、俺とヨドで確認してきます、ここをよろしくお願いします」

オスティオスが頷くと、ソゴゥはヨドゥバシーを掴んで瞬間移動でその場から消えた。

周囲が驚いて、「ソゴゥ様たちが消えちゃった」と騒ぐのをオスティオスが制する。

「全員整列し、避難準備行動を開始せよ!」

皆は訓練通り逃げやすいように出口に一列になったあと、その場でしゃがんで次の指示を静かに待った。


『ヨル、聞こえるか?西棟で非常警戒音が鳴らされた。周囲に怪しい者がいないか確認してくれ』

『了解した、一分で到着する』

ソゴゥはどこの非常警戒装置が作動したのかを確認するために、各所の設置場所を瞬間移動で確認して回り、食堂の調理場付近にある装置の前に幼い子供がうずくまっているのを発見した。

「どうした!怪我は、何があった、誰か連れ去られたか?」

矢継ぎ早のソゴゥの質問を復唱するように、ヨドゥバシーが優しく尋ねる。

「怪我はないかな」

子供は首を振る。

「誰か、連れていかれちゃったりしなかった?お友達は一緒にいた?」

子供は首を振る。

「誰か、ここに来た?」

子供はやはり首を振る。

「君がこのボタンを押したんだよね?」

子供は頷く。

「君は楓君だね、もしかして寂しくなっちゃった?」

楓は顔を上げて、ヨドゥバシーを見上げた。

「お兄ちゃんが抱っこしてあげよう」

ヨドゥバシーが子供を抱え上げ、怪我がないか確認している間、ソゴゥは視界を切り替えて、周囲に脅威となる何かが存在しないかを確認する。

「クリアだ」

ヨドゥバシーは頷き、子供の背中をポンポンと叩く。

「お母さんが・・・・・・あっちに、行ってて、言うから」

泣きながら訥々と話す子供に、だいたいの事情を察して、ヨドゥバシーとソゴゥは安堵の息を吐く。

「お母さんはどうして、楓君にそんなことを言ったのかな?」

「包丁が、危ないからって」

「包丁は危ないね、当たったら怪我しちゃうもんね、楓君はお母さんが怪我したら嫌だよね?」

子供は頷く。

「きっと、お母さんは楓君に怪我して欲しくなかったんだね」

「小僧、だからと言ってこのボタンをいたずらに押しちゃダメなんだ、これはこの建物に住む皆を守るためにある。誰かがいたずらで押したら、次も誰かのいたずらと思って、誰も本気にしなくなる。そうしたら、本当に怖いことが起きた時、誰も逃げることをしなくなってしまう。わかるか?」

ヨドゥバシーが飴役となっているため、ソゴゥは鞭役として厳しめに話す。

「うう、ごめんなさい。お母さんに探しに来てほしくて」

「お母さんには、自分から会いに行けるだろ。邪魔しないから、邪険にするなって抗議してやれ」

子供は意味が分かっているのか分からないが、こくりと頷いた。

ヨドゥバシーは、装置のすぐ横にある館内に音を伝える装置を起動させる。

『ヨドゥバシー・ノディマーが伝える。西棟一階食堂脇通路にて非常警戒装置が押されましたが、危険が無い事を確認、避難準備行動は解除してよし、繰り返します・・・・・・』

ヨドゥバシーの放送と同時に、ソゴゥは最近取得した、ニトゥリーとミトゥコッシーの意思のやり取りができる能力と同じ魔法で、ヨルに先ほどの命令を解除すると送った。

やがてこの場に、ずっと子供を探していたのだと、汗と涙でぐちゃぐちゃになりながら母親が駆けつけてきて、ヨドゥバシーも泣いた。

「おまえ、ドライすぎない?」

何処を見ているのか分からないソゴゥに向かって、ヨドゥバシーが言う。

「俺は、極東で鍛えられたんだ、親子の再会くらいで泣いたりしない」

そう言いつつ、視線をぼやかして涙を堪えているあたり、やはり兄弟の涙腺強度は同じようなものだった。


極東にいた時、ヨルは黒いイタチのような魔獣の姿になっていた。

ソゴゥはヒャッカほどではないが相手の本性を見抜くところがあり、初見ではただの魔獣かと思ったが、ソゴゥに付いてきた辺りで既にヨルであることに気付いていた。

魔獣の姿のヨルから時折『悲しい』とか、『寂しい』とか意識が飛んできており、恐らくその時にアサさんが亡くなり、そしてやはり『アサが・・・・・・』とはっきりと伝わってきていたのだ。

イグドラム国に帰国し、イグドラシルの第七区画の自室で、ヨルに『聞こえるか?』と試しに意識を伝えようとしてみたところ『聞こえておる』と返ってきた。

「なにこれ、気持ちわる」

ニトゥリーとミトゥコッシーは、こんな風に意識で会話しているのかと、ちょっと引いた。

「あのさ、今までも俺の考えていること伝わっていたりしていないよな?」

「ソゴゥの案じるようなことは起きておらぬ。意思の伝達にもオン、オフがあるようだ」

ソゴゥは「ふー」と安堵のため息を吐いた。

ソゴゥは思い付いてヨルに今から意思を飛ばすから、読み取って再現するように伝えた。

ソゴゥがヨルに伝えたのは、前世で聞いていたロックやポップで、その歌をヨルに歌ってもらおうと思ったのだ。

結果、大変なことが起こった。

ソゴゥとしては、人の歌っている部分、つまりはボーカルをやってもらおうと思ったのだが、ヨルの再現はボーカルの完コピどころか、楽器演奏部分までヒューマンビートボックスを超えた、そもそもヒューマンではないのだが、楽曲そのものを再現してみせたのだ。

この時はヨルに「マジかお前!すげえ!もう二度と聞けないと思っていたのに!」と感極まって変な踊りを踊ってしまった。

「オーディオ様!どうか、他にもお聞かせ下さい!」と、床に頭をつけてお願いする。

ヨルの歌を堪能していると、ヨルの中に別の人が入っているんじゃないかと疑ったのか、ハリーがモフモフの前脚をヨルの口に突っ込もうとしているのを、慌てて止めた。


ノディマー領から戻り、夜はイセトゥアンに服飾のデザイン事務所に連れて行ってもらう約束をしていた。

コンテストで発表する新領民の服を、デザイン画を元に、生地の選定や縫合についてなど、専門家の意見を聞いておくためだ。

本当は、服飾の知識のある者や母さんに話を聞いて欲しかったのだが、先方はイセトゥアンを指名し、イセトゥアンは俺が行かないと行かない、という我儘をかましてきた。

というのも、そのデザイン事務所の所長が、イセトゥアンにしつこくモデルをやれと迫って来るそうで、その所長に勝てそうなのがソゴゥだけだと、イセトゥアンが意味不明の事を言ってきたのだ。

もともとヨルの罰ゲームに、その事務所にヨルをモデルとして貸し出そうとしていたから、俺としてはついて行くだけなら、特に問題はない。

既に図書館は閉館しており、デザイン画を持って件のデザイン事務所へ向かう。

イセトゥアンとは現地集合だ。

「おそい!」

事務所は街並みに溶け込みつつ、乳白色の凹凸のない煉瓦造りの外観に、黒い板のようなドアが填め込まれていて「ここから先、一切のダサいを禁止する」的オーラが出ていて、一回自分の服装を隣の建物のガラスで確認した。

「俺、服大丈夫?」

「問題ない」

「おいって!」

ソゴゥは往来でイチャつく一見ゲイカップルを横目に、ドアをノックする。

後ろから、騎士スタイルの金髪美人を纏わりつかせたイセトゥアンに肩を掴まれ、ソゴゥは本気の口調で「どちら様ですか?」と尋ねる。

「なんで無視するんだよ!」

「往来でイチャつくリア充撲滅委員会の会長をしているからだ。撲滅されたくなかったら、見せつけるな、羨ましくて吐血するだろ、俺を可哀そうだと俺に思わせるな、クソが」

淡々と言うところが、余計に怖いと、イセトゥアンは両腕を擦る。

「どう見ても、絡まれているんだ、兄弟なら助けるだろ普通」

「そんな美女に絡まれて、嬉しくないやついる?いやいない。なんで、男の格好をしているのかは分からないが、そこは人それぞれだと思っています」

「最後だけ、なぜ敬語」

「先方を待たせるわけにはいかない、お前には構っていられない」

ソゴゥは冷たく言い放ち「マジで、ヨドにフェロモン抑制魔術を探してもらうか」と独り言ちる。

「ごめんよ、ここは私の所属する事務所なんだ、ちょうどイセトゥアンに会って、嬉しくて。ご兄弟に亀裂が入るのが嫌だから言うけれど、イセトゥアンは私にまったく興味を示さないから、男の方がいいのかと思って、最近はずっとこの格好をしているんだ」

「へえ、そうなんですね~。イセ兄は男が好きだったのかぁ、別に、個人の嗜好をとやかく言う気はないけど、ヨルは勘弁。目の前で何か見せられたらダメージ受けそう。どうしてもって言うなら止めはしないけど、俺の見ていないところでやって~」

ソゴゥは興味なさそうに応える。

『絶対ない』がハモる。

「そもそも、俺の嗜好を勝手に決めるな、一度も男がいいなんて言ってないし、そんな気はない、絶対だ」

「念押しするとか・・・・・・ね」

「そうであるな、我も気を付けよう」

「いやいやいやいや、お前ら分かって言っているだろ!」

「そうよ、ありのままで勝負しなさいな、いつも言っているでしょうダリア」

とてもありのままとは思えない、前世で言うところの整形メイクで、真逆に性別を持って来たようなエルフが、ドアの前で騒いでいたソゴゥ達の会話に加わってきた。

「こんなところに居ないで、さあ、入って」

ドラッククイーンとか、そういう感じの人だ。

長い金髪は毛先がカールしていて、まつ毛が黒々と鋭利なまでに巻き上がっている。

骨格すら隠すメイクに、まったく地顔が想像できない。

喉仏は隠れているが、胸の上が大きく空いている複雑な模様が黒一色にも見えるドレスを着ていてものすごくゴージャスだ。

ソゴゥ達は促されるままに、漸く事務所の中へと入った。

はあ、これがおしゃれな服を作る事務所かぁ。

夕飯に出たり、退社している者もいるようだが、それでもまだかなりの社員が残って仕事をしているようだ。

「私は、ここの所長をしているマグノリアよ、よろしくね」

「私は、ソゴゥ・ノディマーです」

「我は、ソゴゥの護衛のヨルである」

マグノリアはソゴゥがイグドラシルの第一司書だと知っているため、ヨルという悪魔の存在を普通に受け入れている。

「所長室はこっちよ、先ずはそこで話しましょう」

マグノリアに続いて、兄弟とヨルの三人が歩く後ろを男装の麗人ダリアも付いてくる。

所長室は一階の入口から真正面の突き当りにあり、ドアノブの意匠にさえも最先端な雰囲気がある。

部屋の中は、応接室を兼ねていてとても広く、建物の外観同様に白い大理石のような床と、白い机と白い革張りの椅子の他に、応接セットがある。ソゴゥ達が勧められたソファーは、ボルドー色の革張りで、目の前のテーブルはくもりのない鏡のような銀色のテーブルだ。

「さて、相談というのは、移民の方に選んでもらう衣装の事についてで間違いないかしら?」

「はい、今日は我々十三領で検討したデザイン画の複写を持って参りましたので、ご意見を賜りたいと存じます」

ソゴゥはテキパキと、デザイン画をマグノリアの前のテーブルに並べる

「直ぐにご意見をいただくのが難しいようでしたら、こちらの資料はお預けいたしますので、後日にでも何かアドバイスいただけたら幸いです」

「このプロジェクトはイグドラム国民の全てが協力しなくてはならないものよ、私も力を惜しむつもりはないわ」

「そう言っていただけると助かります」

「こちらは、事務員の協力も仰いで、一週間で結果をお伝えするわ。それでどうかしら?」

「ありがとうございます。それで問題ありません。よろしくお願いいたします」

ソゴゥがこれで用事が終わったとばかりに、資料を収めていたカバンを閉じて肩に掛けようとしていると、マグノリアが気配を消しているイセトゥアンに「ところで」と声を掛けた。

イセトゥアンは傍目にも分かるほど、ビクッとして、それから渋々顔を上げた。

「モデルの件は引き受けてくれるのかしら?」

「え、ああ、その」

「当然、今回のこととは別よ。交換条件と言うわけではないわ、イセトゥアン、貴方には個人的な貸しがあったでしょう?」

「詳しく」と、ソゴゥは肩に掛けていたカバンを下す。

「あら、弟さんは知らなかったのね?イセトゥアンはねえ、私の事をナンパして来たのよ」

「え、マジで?」

「ええ、隊服のデザインの件で訪れていた王宮でね、ちょっとした慰労会の様なものがあって、そこに参加していた王宮騎士たちが、皆順番に私に片膝をついてお付き合いして欲しいと告白して来たのよ、そこにイセトゥアンも加わっていて、私はイセトゥアンにオーケーしたのよ」

「マジか」

「ノリでやりました」

「クソか」

「それで、二人で王宮の庭でいい雰囲気になって」

「マジかぁ」

「男だと分かった途端」

「途端・・・・・・」

「リバース」

「クソだな、家族裁判にかけて処すので、どうか気持ちをお納めくださいマグノリア様」

「家族裁判って、どんな感じなのかしら?」

「裁判で刑罰が決定されますが、おそらく今回は四男あたりが『真っ裸で逆さ吊り』を提案してくると予想されます」

「あら、それもいいわね」

「ちなみに、次男と三男は、さらに油を塗ってパン粉を塗して『カラッと揚げようや』と言い、父が『そのまま狼の群れの中に投げ入れや』って言うと思います」

「俺の想像と全く一緒だ。ソゴゥ頼む、このことは他の兄弟には内緒にしてくれ」

「ふふ、もう気は収まっているけれど、貴方あの時、何でも言う事を一つ聞くって言ったわよね?だから、ずっとモデルをお願いしているのに」

「イセ兄、モデルやろ、ヨルも一緒にやるから」

「え?」とヨルが、こちらを向くが目を合わせないでおく。

「マグノリアさん、ヨルも使ってやってください」

「まあ!実はね、最初に会った時からもう胸が高鳴って仕方なかったの!なんなら、ヨルさんだけでもいいくらいよ」

やーい、フラれてやんの!

本気でショックを受けている様子のイセトゥアンに、揶揄うのは心の中に留めておいた。

「ところでマグノリアさん、モデルってショーにでも出るんですか?」

この世界に写真の技術はまだなく、ファッション誌や広告などがないので、モデルという言葉が何を指すのかソゴゥには分からなかった。

「ショーって、サロンのパーティーのことかしら?」

「パーティーって、どういう事をするんですか?」

「モデルにはうちの事務所で作った服を着て参加してもらって、貴族や富裕層からオーダーを取り付けてもらったり、服の宣伝をしてもらうのよ」

「それって、効率的ですか?」

「え?今までずっと宣伝はこの方法よ。各事務所が主体でパーティーを開いて、貴族を招くこともあるけれど、だいたいは貴族主催のパーティーに便乗させてもらうのが普通ね。パーティーに集う貴族から一般のエルフに情報が普及していき、それが街を巻き込んだ流行になっていくのよ」

「なるほど、ちなみにファッションショーは行わないのですか?」

「ファッションショー?」

「モデルが衣装を身に着けて、ランウェイを歩いて服を見せるショーです。服のコンセプトに合わせて音楽や照明を変えたり、モデルも歩き方や表情を変え、服を観客に見てもらうための総合的に演出されたショーです」

「さあ、私はこの業界が長いけれど、見たことがないわね」

ソゴゥは顎に手を当て、暫く虚空を見ていたが、立ち上がって部屋の端に立ってヨルを手招きした。

「では、マグノリアさん、実際にお見せしましょう。イセ兄と、ダリアさんも手伝ってください」

「おう」

「私に出来る事なら」

「マグノリアさん、ちょっと家具の位置を変えさせていただきますね」

ソゴゥは言い、銀色のテーブルをマグノリアの執務机の後の壁に立てかけ、ボルドー色のソファーを壁側と、マグノリアの執務机側に離して向かい合わせに置き、中央に人が二人重なって通れるほどのスペースを作った。

マグノリアとダリアはぽかんとして、家具がもともとそこにあったかと言うように瞬間移動したのを、呆然と眺めた。

「とりあえず、ヨル以外の皆さんは、そのソファーに二手に分かれて座って下さい。これからヨルが、その端から、皆さんの前まで歩いて来ますので、その歩き方をよく見て、イセ兄とダリアさんは、後で同じように歩いてください」

ソゴゥはヨルに、前世のファッションショーの映像を送り、ランウェイを歩くモデルを真似して、部屋の端から皆の前まで歩いて止まり、また壁まで戻るように指示した。

「ただ、歩いてくるだけだろ?見なくてもできるが」

「ヨルの歩き方を見てから言って」とソゴゥは、イセトゥアンの隣に座った。

『じゃあ、はじめて』と、ソゴゥはヨルに意思を伝える。

ヨルが皆の前に歩いて来て止まり、その場で左側に視線を送り、右を一瞥したあと出した足を引いてそれを軸に方向転換をして壁側に戻って行く。

「できる?」

「お、おお、なんか、歩いているだけだが、人目を惹くな」

「スタイルの良さだけでなく、姿勢、歩幅、速度、そして表情。すべてで、ストーリーを作っているのね」

「話が早い。まさにその通りです、もう二三往復してもらうので、二人はイメージを頭に叩き込んで、細かな修正は、実際に歩いてもらいながらやるから」

「お前ってさあ、その発想どこからくるわけ?」

「俺の発案じゃないよ、イセ兄も知っているけど忘れているだけだ」

「いや、俺は見たことないけど、あったかな」

ヨルの見本を元に、イセトゥアンとダリアにソゴゥは指導を重ねる、

視線は誰かを見るんじゃなくて、遠くに。

顔は喜怒哀楽を乗せなくていい、見ている側が想像できるように、無表情で構わない。

反転するときに、体がブレたら台無しだ。

止まるときはピタッと止まれ。

顔を上げて、顎を引いて遠くを見て、背筋を伸ばせ。

おい、お前らやる気あるのか?そんなんでショーに出られると思うなよ?

最終的に、イセトゥアンには覚えがある鬼コーチのソゴゥの怒声が飛び「いいだろう」とソゴゥが頷いた時には、達成感の様なものまでこみ上げていた。

「マグノリアさん、何か衣装を二人に貸していただけますか?」

「ええ、あるわよ沢山!どれを着てもらおうかしら!」

「今日はもう時間も遅いので、一着でお願いします」

「ヨルと、お前は着替えて歩かないのか?」

「俺とヨルは舞台装置だから」

「え?」

「いいから、着替えてこい」

ソゴゥは衣装を着た二人を壁側に立たせ、マグノリアを観客としてソファーに座らせた。

ヨルは二人のいる壁の脇に、ソゴゥは二人とは逆側の壁に立った。

「では、いよいよファッションショーを始めますね、マグノリアさんこの部屋の照明を落としてもらえますか?」

ソゴゥは前もって、光魔法で明かりを配置しておいた上で、マグノリアに部屋の照明を落としてもらった。

「一度部屋を真っ暗にするから、その後、光が差したら、二人は練習の通りイセ兄から歩いてきて、二三往復してね。あと、何があっても驚かないように」

「え、ああ、わかった」

「分かりましたコーチ」と、ダリアはすっかりソゴゥの教え子だ。

ソゴゥが光り魔法を解除し、明かりが全て消えて真っ暗になる。

その後、スポットライトの様に壁に立つイセトゥアンに照明が当たり、イセトゥアンが歩くと同時に、聞いたこともない腹の底に響くような重低音と軽快な音楽が空間を包み、光は歩くイセトゥアンを捉えたまま、移動してくる。

イセトゥアンが、中央でポーズを決め、反転するとダリアがこちらに向かって歩き始める。

その足取りは、音楽が無かった時よりずっと生き生きとして、無表情が神秘的なのに蠱惑的だ。そして細く青白い光が何本も矢のように降り注いでは、音楽に合わせ、天上と床を貫いて広がったり閉じたりしている。

あっという間にショーが終わり、音楽が止んで辺りが明るくなる。

ソゴゥが、照明を付けたのだが、そうしないと、いつまでもマグノリアが放心していて、部屋が暗いままだった。

「どうでしたか、ファッションショーは?」

ソゴゥのドヤ顔の横で、我の主を褒め称えよと言わんばかりのヨルがいる。

「ええ、ああ、なんと、どうしましょう」

まとまらない言葉を呟きながら、まだ興奮状態から醒めやらないマグノリアに、ダリアはとにかく胸が熱くなったと、恋する少女のように目を輝かせている。

「こういう売り方も考えてみてください」

「え、でもこれは貴方の商品となるものだわ」

「いえ、僕は公務員ですので、服飾系の起業は考えていません、ああ、四番目の兄は狼の毛織物産業を始めようとしているようなので、その時は力を貸してあげてくれたら嬉しいです。それと、イセ兄とヨルはお約束の通り、ちゃんとモデルを務めるますので、時間と場所が決まったら、僕にお知らせください。首根っこ引っ捕まえて連れていきます」

ソゴゥはイセトゥアンをちらりと見て言った。

「ああ、ソゴゥ様、貴方は本当にすごいわ、普通のエルフとは全く違うのね。イグドラシルの最高レベルの司書と聞いていてもピンとは来なかったけれど、こうして目の当たりすると、その実力が奇跡のようだとわかるわ」

「そうだ、もっと褒めるがよい」

ヨルが誰よりも嬉しそうで、ソゴゥとイセトゥアンは顔を見合わせて笑った。

ソゴゥは帰り際に、衣装のデザインチェックのお願いを念押しして、家具の位置を戻してから夜遅くにようやくマグノリアのデザイン事務所を後にした。


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