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都市開発スキルで楽々異世界街作り!  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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冒険者ギルド 47

 レフターを先頭に建物に入り、すぐに声が掛けられる。


「おぉ、レフター達じゃねぇか!」


「セルカ! こっちで飲もうぜ!」


「はっはっは! サーディ! お前も飲めよ!」


 いや、やはり冒険者ギルドじゃなくて酒場だったようだ。下品な酔っ払いの笑い声がそこかしこから聞こえてくる。


「相手にしなくて良いぞ」


「了解」


 小さくアドバイスされたので、浅く頷いて答えた。ちょっかいを掛けようとする酔っ払いを放置して、四人でさっさと店の奥に移動する。奥はカウンターになっており、そこには民族衣装っぽい服を着た女がいた。


「いらっしゃいませ! 冒険者ギルドにようこそ! 私は受付嬢のニナです! 宜しくお願いします」


 そう言われて、ようやくここが酒場ではなく、冒険者ギルドなのだと実感できた。


「いや、俺たちにそんな挨拶はいらないだろ」


 レフターが半眼になってそう言うと、ニナと名乗った女は小さく笑って頷いた。


「冗談ですよ。でも、そこに見えるのは新人では? 偶然ですが、挨拶して正解でした?」


「確かに」


 ニナの言葉を聞き、レフターは笑いながらこちらに顔を向ける。


「ソータだ。初めて会った時は一人でレッドボアに追いかけられていた」


「レッドボア! それは大変でしたね」


 レフターの説明を聞き、ニナは口に手を当てて驚いて見せた。心配してくれているようだが、少し独特な雰囲気だ。天然な性格かもしれない。


「ソータはそのせいで荷物を全て失ったし、記憶も混乱しているようだ。今後のこともあるし、今日は魔力量の調査と冒険者登録ができないかと思ってな」


 そう言われて、ニナは目を瞬かせる。


「記憶がないのに、ですか? 一応、筆記の試験もありますよ?」


「大丈夫だろ」


「まぁ、そうですね……あちらの方々も合格してますし」


 そう言って、ニナは下品な笑い声をあげる酔っ払い達を遠目に見た。若干失礼な発言だが、まぁ良いだろう。


「そうそう。どうせ記憶が戻るまでの仮の身分証だ。まぁ、名前は覚えていたから、もしかしたらその後も冒険者を続けるかもしれないが」


「……冒険者カードを仮の身分証などと呼んでほしくはありませんが……まぁ、記憶を失ってしまっている方にはそれしかないかもしれませんね。それでは、こちらで簡単な試験を行います。どうぞ」


 ニナはレフターの言葉に溜め息交じりに頷き、こちらを見てそう言った。


「あ、はい」


 よくわからないが、言われた通りにしておいた。レフター達に見送られながら、カウンター横の通路から右手の奥へ向かう。


「すみません。ちょっと受付をお願いします」


「はいはーい」


 ニナは廊下ですれ違った自分と同じ服装の女にそれだけ言って、二人で奥へと向かった。突き当たりに辿り着き、扉を開く。


 扉を抜けると明るい日差しを感じ、目を細めた。周りを見ると、柵がされた庭のような雰囲気である。どうやら建物の外に出たらしい。その場には三人の男女がおり、地面に突き立てられた丸太に向かって剣を振ったり、弓を使って矢を放ったりしている。


 練習場だろうか。


 そう思った矢先、ニナが口を開いた。


「ギルド長! 冒険者ギルドへの登録希望です!」


 その言葉を聞き、剣を振っていた男が手を止めて振り返る。


 暗い茶髪の細身の男だ。背が高いせいか、全体的にヒョロリとした印象を受ける。しかし、露出した腕の筋肉はしっかり鍛えられていた。顎髭は生やしているが、意外と若い。三十代前半だろうか。


「登録希望? 名前は?」


「アンド・ソータさんだそうです」


「そうか」


 そんな会話をしながら、ギルド長が歩いてくる。細いのに、不思議な迫力があった。


「……見た感じだと剣や槍じゃなさそうだが、武器は使えるのか?」


 こちらを一瞥し、そんな質問をされる。


「武器は使えません」


「ん、魔術師か? それは助かるが」


「いえ、魔術も使えません」


「……なんなら出来るんだ」


 たった数回のやり取りで呆れられてしまった。しかし、事実である。


「でも、レフターさん達の紹介ですよ」


 そこへ、ニナが援護射撃をしてくれた。


「レフターの? 炎剣か。それなら、試験くらいは受けさせてやるか」


 助かった。というか、試験を受けられないことがあるのか。これまたレフターのお陰である。ありがたや。


「それでは、先に筆記試験を行いましょう。こちらへどうぞ」


「暇だから、俺も見に行くか」


 ニナが笑顔で再び建物の中へ案内しようとし、ギルド長も付いてきた。暇なのか、ギルド長。


 そんなこんなで六畳ほどの小さな部屋に案内されて筆記試験を行ったのだが、簡単な筆記試験というのは、比喩ではなく本当に簡単な試験だった。


 小学生で習う四則演算の基礎や、通貨についてだ。後は魔獣についての基礎知識もあったが、こちらは死の森基準より少し規模を小さく考えて答えておいた。


「……ソータさんは、商人の出ですか?」


「違います」


「そうなんですか。計算がとても速いので、びっくりしました」


 そんな会話をしていると、ギルド長が声を出して笑う。


「確かに、筆記試験の結果は最高レベルだ。魔獣に関しては未経験であればこんなものだろう。どうだ? 冒険者じゃなく、ギルドで働かないか?」


「う〜ん……やめておきます」


「そうか。まぁ、もし気になったらまた来い。冒険者ギルドの職員はいつでも募集しているからな」


 そう言って笑うギルド長。そこだけ聞く限り、どう考えてもブラック企業です。ありがとうございました。

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