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都市開発スキルで楽々異世界街作り!  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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宿に泊まりたい 46

 頭を下げてお礼を口にすると、門番たちは顔を見合わせ、小さな声で話し合い出した。


「……けっこう良い育ちじゃないか?」


「……下手したら貴族だぞ。多分だけど……本当に記憶がないのか?」


 二人はそんなやり取りをすると、先ほどよりも少しキビキビした動きで門を開く。


「ようこそ、プレト村へ」


 門番がそう言って扉に手を当てたまま左右に退くと、景色が一気に広がった。


 塀の向こう側は白い石で作られた石造りの建物が並んでいた。一階建ての建物ばかりだが、綺麗で可愛らしい村に見える。思ったよりも広そうだが、それでも数百人の村といった規模だ。地面はむき出しの土や草花の部分が多いが、中心を走る大通りだけは石畳が敷かれていた。


「へぇ、綺麗な村だね!」


 一気に観光気分だ。旅行に来たような感覚で盛り上がっていると、レフターが近くの建物を指差して口を開く。


「あそこが宿だ。とりあえず、俺たちは今日泊まれるか確認してくるが、どうする?」


「お金がないからなぁ」


「お、俺たちもそんなに裕福じゃないからな?」


 レフターに無意識に金がないと答えてしまい、警戒されてしまった。いやいや、流石にこれ以上お世話にはなれない。もう十分過ぎるほどの恩義は受けたのだ。


 そう思い、苦笑しながら手を左右に振った。


「いや、お金をたかったりしないよ。ありがとう。お陰で村まで来れたし、命も助かった」


 レフターの目を見て、頭を下げてお礼を言う。それに、レフター達は顔を見合わせた。


「……どうする?」


「まぁ、一泊だけなら良いんじゃないか?」


「……本当にお人好しね、あんた達」


 三人はこそこそと何か会話をし、軽く咳ばらいをしながら振り返る。どうしたのかと思っていると、レフターが宿を指差して口を開いた。


「仕方ないから、一泊だけ一緒に泊めてやろう。監視という意味も込めてだからな?」


「おお、ありがとう! それは助かる!」


 レフターの言葉に、一も二もなく感謝を返した。正直、ちゃんとした場所で眠れるなら有難い。ついでに風呂にも入りたいのだが、それに関しては普通のことではないと学んでいるので黙っておく。


「宿で一泊って嬉しいね」


 そう口にすると、セルカが目を細めてこちらを見た。


「言っておくけど、入浴なんてできないからね?」


「了解っす」


 釘を刺されてしまった。まぁ、元から期待していないので残念ではない。本当である。


 ちなみに宿は思いのほか綺麗だった。宿というか、昔の長屋のような雰囲気だ。もう少し発展した町に行くと二階建てになったりするらしいが、小さな村ではこんなものとのこと。部屋は四つあったが、二部屋借りてセルカ個人用と残りの三人用で分けることになった。


 宿を予約した後、レフター達は村の中にある小さな商店や行商人を訪ねたりした。ちょうど買い忘れたものもあるらしく、レフターは上機嫌に歩き回っていたが、その間も馬車には巨大な赤い猪の肉が乗ったままである。皆の注目を集めたのは言うまでもない。


 その間、十数人の村人や商人とすれ違ったが、確かにダークエルフはおろか、通常のエルフと思わしき種族も見当たらなかった。やはり、人間以外の種族は珍しいのかもしれない。そういえば、人間以外の種族は亜人と呼ばれていて、人間より下に見られているんだったか。


「エルフとかって少ないんだね」


 そう言いながら周りを見ていると、サーディが肩を竦めた。


「大きな街ならよく見るが、正直なところ見つけたとしても半分近くは奴隷だと思うぞ」


「半分!?」


 驚いて振り返ると、セルカが溜め息を吐く。


「半分は言い過ぎでしょうね。三割くらいかしら?」


「……それでも多いよ」


 人間以外の種族への差別は想像以上に酷いのかもしれない。そう思っていると、レフターが首を左右に振った。


「エルフやドワーフは自分たちの国を持っている。獣人達は戦闘力が高いから、一部は森や山で暮らしているだろう。人間が治める国にいる奴らは、それなりに訳ありなんだろうさ」


 レフターのその言葉を聞き、僕は何も言えず、ただ頷くことしかできなかった。通常のエルフやドワーフという種族ですらそうなのだ。ハーフダークエルフや鬼人族は聞くまでもないだろう。


 ミドとカラビア、マルサス達のことは絶対にバレないようにしないと……。


 そんなことを考えながら歩いていると、気が付けば二階建ての大きな建物の前に立っていた。


「着いたぞ」


 そう言って、レフターが馬車の方へ向かう。


「ここは?」


 聞き返すと、建物の上部を指差した。そこには剣と弓、羽が描かれた看板がある。


「せっかくだから、身分証も作っておこうか」


 そう言って案内され、建物の中に入る。中は外の石造りから雰囲気が変わり、木の床や壁、ランプの照明が吊るされた場所だった。少しだけ薄暗いが、酒場のような感じで面白い。


「もしかして、ここが冒険者ギルド?」


 尋ねると、レフターは口の端を上げて頷いた。


「その通りだ」

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