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ドラゴン対策 21

 こちらの言葉を聞き、ハウラスが顔を上げた。


「どうにかなるのか」


 ハウラスが目を丸くしてそう聞いてきたので、まだ確証はないけどと思いながら答える。


「いや、えっと……外からの外敵を防ぐことはできる、かも? みたいな……」


 あまりあてにされても困るので乾いた笑い声を上げながらそう言ってみた。だが、ハウラスたちは笑みを浮かべてこちらに振り返る。


「おお」


「森の魔術師の協力を得たぞ」


「これでどうにかなるかもしれん」


 口々にそんなことを言い出す。いや、待て。確証はないんだ。期待はしないでくれ。


 そう思いつつ、マルサスに視線を向ける。


「ちなみに、ドラゴンからどんな被害を? 農作物を勝手に食べられたりするとか?」


 そう聞いてみると、マルサスは溜め息を吐いて首を左右に振った。


「いや、食べられるのは鬼人族だ。毎年、何人か食べられている」


「お、おお……それはまた、雑食で……」


 想像以上に重い話が返ってきた。しかし、マルサスは平然とそんなとんでもない話をする。いや、静かな怒気は感じられるので、仲間を食べられていることに憤っているのは間違いない。


「我らの存在を知り、ドラゴンは時々山から下りてくる。その時に狙われるのは、子供だ。我らも応戦するが、追い払うのは簡単ではない」


「そりゃあそうでしょうとも」


 むしろ、追い払えることに驚愕する。


「……それにしても、もしかして空から襲われるってことかな? それだと、かなり大変そうだ」


 対策は幾つかあるが、圧倒的にCPが足りない。そもそも、CPを増やせないのだから、それ以外のこともできないのだ。


 困った。


 そんなこちらの気持ちを察したのか。ハウラスが目を細めて口を開いた。


「……何か、必要なものがあれば我らが手伝おう。大きな魔術には触媒というものが必要だと聞いたことがある。必要なものはなんだ」


 そう言われて、CPをくださいと答えそうになった。絶対に無理である。だから、思考する方向を転換することにした。


 CPを稼ぐには、ボーナスポイントか、通常ポイントだ。ボーナスポイントを得るにはそれなりの条件をクリアする必要があるので、この場合は通常ポイントである。人口が増えることや、公共施設によって得る利益などだ。


 そのどれかが可能ならば有難い。


「えっと、ザガン族の皆さんは全員で何人くらいですかね?」


 そう尋ねると、ハウラスが眉根を寄せて唸った。


「……我らは仲間を捨てることはない。生贄が必要というのなら……」


「違う違う。守るにあたって、人数が大事なんですよ」


 急に剣呑な空気になったので、慌てて勘違いを正す。それに、ハウラスが真面目な顔で頷いた。


「なるほど……そういうことならば良いだろう。ザガン族は今は三百人ほどいるはずだ」


 ハウラスはそう言ってこちらの返答を待つ。


「おお! 三百人もいたら色々できるな! あ、ちなみに村の場所は?」


 もう一度聞いてみると、ハウラスは眉根を寄せて口を開いた。


「……本当に、我らに害をなすつもりはないか」


「ないです」


 改めて聞かれてしまった。えぇい、さっさと白状するが良い。


 こちらに悪意がないと分かったのか。ハウラスは小さく唸って答える。


「……我らの村は川の上流にあるのだ。それほど遠くはない」


 その言葉に、思わず笑みを浮かべる。


「え? 近い? それなら、今から行って良いですか? 良いですよね? じゃ、準備してきますね?」


「……何故、そんなに嬉しそうに笑っている」


 良いアイディアが浮かんでテンションが爆上がりしてしまったのだが、ハウラスとマルサスが目を丸くしてこちらを見下ろしてきた。それに片手を振って笑いつつ、階段の下へ顔を向ける。


「ミド! ちょっとザガン族の村へ行こう!」


「え!? だ、大丈夫、ですか……?」


 心配そうにしつつ、ミドが階段を一段一段上ってきた。その姿を見て、ハウラスたちが目を見開く。


「……ダークエルフ」


「いや、ハーフダークエルフか」


 何故か知らないが、ハウラスたちは明らかに警戒した様子でミドを見下ろしている。それに、ミドは悲しそうに眉を八の字にして、俯いた。


「……ソータよ。ダークエルフを村に入れることはできん」


「特に、ハーフダークエルフは許可できない」


 マルサスとハウラスがそんなことを言い、ミドを見下ろした。


「え? なんで?」


 何も知らないからこそ、自然と疑問が口から出ていた。それに、ハウラスたちは真剣な顔で首を左右に振り、答える。


「古来より、鬼人族とダークエルフは敵対している。それに、他者と交わらないダークエルフの一族にハーフダークエルフが生まれた場合、それは悪いことが起こる兆しだと言われているのだ」


 ハウラスがそう告げると、マルサスが補足するように口を開いた。


「……我が村でも、ハーフダークエルフを村に近づかせてはならぬと言い伝えられている」


 そんなどうでも良いことを言われて、イラっとする。


「はぁ? なにそれ」


 思わず怒りをハウラスたちにぶつけてしまった。いや、知ったことか。うちのミドを馬鹿にすると許さんぞ。





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