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最初の村? 10

 取水施設を設置して、水道管を引いていく。木々が邪魔だが、大木であろうと一本一ポイントで取り除くことができるのだ。あまりポイントは無駄遣いできないので、開拓は最低限にしておく。


 あっという間に川の近くに開けた空間が出来た。それを確認しつつ、水道管を伸ばしていき、川のできるだけ下流に排水処理施設を設置する。これで上水と下水が完備された。だが、まだ電力が供給されていないので動いてはいない。


「次は発電施設だけど……道路がないし、外部との物流も整備されてないから、普通の発電施設は無理だよね。そうなると、水力か風力だな」


 そう呟きつつ、画面の右下にある丸いボタンをタップした。そして、横並びに表示されたアイコンの中から、風が吹くマークをタップする。画面に風力の強いエリアが表示され、対岸の方が風が強いのだと知る。


「……午前中はこっちが強いけど、午後はあっちが強いのか。ポイントがギリギリだから、今は一つしか建てられないな」


 悩みつつも、時間経過によるシミュレーションを確認し、一番風が当たる時間が長い場所に設置することにした。風車のような絵をタップして場所を決定すると、川の対岸に風力発電設備が出現する。地震のような地響きと共に、なんと百メートルはありそうな巨大な風力発電設備が出来上がった。そうか。間近で見るとこんなに大きいのか。


 これには流石のCOCマスターでも息を呑むほど驚いてしまう。


「……っ!?」


 ミドにいたっては驚き過ぎて漫画のような顔になっているではないか。リアクションが良くて面白い。


「あとは、送電線を引くための送電塔だけど……二つ必要だな。見た目を気にするなら三つ欲しいけど、後でポイントが貯まったら引き直すか」


 苦渋の決断である。見た目は凄くダサいが、仕方がない。対岸の風力発電設備から川の上を斜めに走る送電線と、こちら側の岸に一本の送電塔を建てて繋ぐ。地中深くを通す送電線もあるが、それを選択すると消費するポイントが二倍になってしまうのだ。


 なので、更に次の送電塔を作ってからも頭上を送電線が通る形となる。


「おお、凄い凄い! 面白いなぁ!」


 送電塔が出来て、そこに送電線を繋ぐ中、空中に送電線が出現していき、まっすぐに送電塔へと延びていった。出来上がっていく過程はまさに魔法のようである。


 そこまで出来上がると、ようやくミドも声を発することができるようになってきた。


「な、なん……っ!? 何が起きているんですか!?」


「はいはい。大丈夫だから、静かに見ていなさいってば」


「え!? で、でも、だって、これは……!?」


 大混乱である。わたわたしながら空中に伸びた送電線を指差して騒ぐミド。それに笑いながら頷き、開けた空間の端に道路を設置した。幅四メートル、長さ十メートル程度の最低限の道路だ。


「み、道が……いや、それよりも、このマジックアイテムは、ど、どうなっているんですか? それに、これだけの奇跡を起こして、ソータさんの魔力は……?」


 と、ミドが混乱しながらも心配そうにこちらを見上げてきた。上目遣いは反則である。


「し、仕方ないなぁ。少しだけ教えてあげようじゃないか。今、そこに道を作ったのは、道がないと建てられない建物があるからなんだよね。だから、道自体には特に意味は無くて……」


「そ、そうなんですか……いや、そうじゃなくて、そのマジックアイテムは異常ですよ! 私も詳しくは知りませんが、普通は凄い魔術を即座に発動させたり、何かを守る防御魔術を展開したり……」


「へぇ、そんなことができるんだ。マジックアイテムも見てみたいね」


「は、はい……って、この板はマジックアイテムじゃないんですか?」


 パニックに陥っている割に、ミドは意外と鋭かった。まぁ、神様を名乗るおじいさんからもらったなんて言うと驚きそうだから、曖昧に誤魔化しておこうか。


「これはゴッタブって言うらしいよ」


「ご、ごったぶ……?」


 ますます意味が分からない。ミドの顔にはそう書いてあった。その様子を見て苦笑しつつ、出来たばかりの道の前にある建物を設置する。


 COCだと外部と道や線路を繋ぎ、生活インフラを整えた後に行う行為、住宅づくりである。


 普段なら後で作り直さなくて良いように庭付き一戸建ての高級住宅エリアを設置するところだが、今は危険な森の中で生存することが大前提だ。


 そんなこんなで最初に作った住宅は、なんとシェルターのような地下室である。


 ゴゴンという重い音が地下から響いてきて、道路の前に入り口が出来上がった。前後に動くシャッターのような床だ。草が生えた地面に黒い板のような部分が現れたが、これまでの建造物の数々を見てきたミドはそこまで驚かなかった。


「……もう、何がなんだか……」


 驚き疲れて立ち尽くすミドに、最後の一押しをしようと声をかける。


「それじゃあ、家に行こうか」


「…………いえ?」


 あれ? 断られた?


 いや、もしかしたら、Yeahというテンション高めの返事かもしれない。それなら大丈夫か。


 呆然とするミドを眺め、そんなどうでも良いことを考えて笑う。





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