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都市開発シミュレーションに命を賭ける男 1

圧倒的な力でチート街作り!

ストレスのないようにサクサク進めていく予定です!

是非読んでみてください!(*'ω'*)




 俺の名は安藤奏太(あんどうそうた)。都市開発シミュレーション、街作りアプリのプロだ。いや、正式なプロではなく、自称プロである。ちなみに、あだ名はそうちゃん、もしくはアンディーだった。


 さて、自称プロのアンディーと侮るなかれ、これまでに様々な都市を開発した実績がある。特に、世界的に人気なオンライン型都市開発シミュレーションゲームである『クリエイト・オブ・シティー』、通称『COC』はシリーズ十二作を全てプレイしてきた。


 ちなみに、オンラインでのプレイが実装されたのは五からだが、その時から自分で作った街をオンライン上で公開している。


 COC八作目までは公開された他プレイヤーの街は上空から眺めることしかできなかったが、ファンの要望に応え、COC九作目から街の中を歩き回ることが出来るようになった。


 これにはヘビーユーザーのSOTA(ユーザーネーム)も狂喜乱舞し、物凄く時間をかけて作った都市を公開している。これにより、初めてオンラインランキングで十位以内に入るという快挙を達成した。ランキングについてだが、これはダウンロード数や、他のユーザーがどれだけ高評価をしたか等が点数となっている。


 ちなみに、サーバーに公開された都市の数は百万を超えていたことから、その凄さを是非分かってもらいたい。なにせ、ランキングの上位にSOTAと表示された瞬間イスごとひっくり返ったくらいだ。あれは痛かった。


 COCは大体二年に一度新作が出るが、毎回綺麗になるグラフィックや新たな要素に大興奮したものである。公開された他ユーザーのデータを完全にダウンロードすることで、自分が作った町のように改造したり、見学して遊んだりもできるのだ。前作で世界一位の都市になったフェルスシティーは圧巻の一言だったのを覚えている。


 フェルスシティーは明らかに作成難易度が異常に高くなるような街だった。巨大な山を改造して水が上から下に流れるように作られた町だ。橋脚を高く、最小限に設置して山の周囲に道路が敷かれ、飛行場や鉄道駅も空中に浮かぶように作られている。データをダウンロードして作り方を研究してみたが、それでも自分では作れそうになかった。


 ゲームシステムの穴や矛盾を完全に把握し、全ての施設や設備を駆使して作られた空中都市だ。これがあまりにも話題になった為だろうか。ゲームの開発側もそれを可能にする近未来都市用の施設や設備を最新作で採用しているらしい。もう、ワクワクが止まらない。


 COC最新作の発売当日となり、ゲームデータがダウンロード可能となった。もうすでに予約購入は済ませていたので、自動で最新ゲーミングパソコンへとダウンロードされる。このゲームをする為に購入したハイエンドのパソコンだ。都市開発シミュレーションはデータが重くなりがちだが、僅かなラグすら起こさせないという気合いの現れである。


 そわそわしながらゲームを起動すると、画面にはCREATE Of the CITIESというロゴが浮かび上がった。黒い背景に線が走り、青白い光で十三と刻まれる。うひょー。


 数秒待つと、暗かった画面に次々と制作会社などのロゴが浮かんでは消えていき、ついにゲーム画面が映し出された。


 現れたのは何もない平野だ。そこに道が敷かれ、家が建っていく。工場や商店が建ち、駅ができると同時に町の規模はどんどん大きくなっていった。僅か一分ほどの間に、街は大きく、洗練したものへと変わっていく。


 やがて、出来上がった街の中を歩くシーンに変わり、住民たちが手を挙げて笑顔をみせた。次の瞬間には、海に面した街や湖面に浮かぶ街が映し出され、最後に山の頂上に築かれた空中都市が現れる。最新のゲームで再現されたフェルスシティーだ。


 もう、気を失いそうである。テンションは上限を突破した。画面の前で両手を振り上げて歓声を上げたその瞬間、ふわりと体が浮かぶような感覚になる。


 やばい。また椅子ごと転倒してしまう。


 瞬時にそう察した。椅子で転ぶ時に感じる背筋がぞくりとする感じに、反射的に身体を丸めようとする。視界の端にパソコンの画面が映り、オンラインプレイの文字の色が変わったように思えた。


 次の瞬間、転倒の衝撃は一切感じていないのに、視界が真っ暗になって音も聞こえなくなってしまった。


 何が起きたのか。


 これは、走馬灯か何かが始まるのか。走馬灯。あれは中学生の頃、自転車で何も考えずに交差点を曲がって、目の前に車があった時以来の……。


 そんなことを考える余裕があるほどの時間があった気がした。


 そして、ようやく視界が明るくなっていき、自分の置かれている状況を把握することができた。


 白い部屋に、黒いL字の机があり、最高級のゲーミングPCと大きなディスプレイが二つある。椅子は腰と首の部分にクッションがあり、肘置きが付いた椅子だ。ゲーム大好きな社会人の部屋だが、自分の部屋ではない。


 なにせ、その部屋の持ち主は椅子に座り、大型のスマートフォンを持って何かしていたからだ。


 真っ白な長い髪と、豊かな白い髭。細めの体型で、背中を少し丸めてスマートフォンを両手に持ち、画面を凝視している。年齢は七十以上といった感じのおじいさんだ。


「……え? 誰?」


 思わず、心の声が漏れた。すると、おじいさんは画面から目を離さずに口を開く。


「わし、神。ちょっと手が離せんから、少し待っておれ」


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