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幻想奇譚

春を想う

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

幻想奇譚、平常運転です。

春の訪れを知らせる梅の花、物申す様に吹き荒ぶ嵐、それらを見聞きして、経験しても、まだ春の序盤。まだ本格的な春分は遠い。私は目の前の赤花をまじまじと見詰めながらそう考えておりました。

私の目前には、薔薇の話の様に豊かな花弁を膨らませる椿の花が御座います。幾重にも重なったそれはただ一つとして落花する事はなく、全て万全の状態で顔を合わせて下さいます。

やはり……これに敵う程の椿を私はまだ拝見させて戴いてはおりません。寒波の中にも抗って咲き誇る椿。故にまだ春本番では無いと思うのです。

しかし本日のカレンダーを拝見させて戴きますと、春分の日。私がどれだけ本格的な春は訪れないと想像しても、既に春は訪れているのです。

夜道を歩いて夜桜を探しても、衣のない剥き出しの桜花はとても寒々としております。ですので、気分を根底から変えるために、一足早いお花見をさせて戴こうと思うのです。


都内の一角、少し遠出をした先のちいさなお店。様々な造花で彩られたその中で、私は紅茶を嗜んでおりました。茶葉からとろりと溶けだした深みのある香りとお味は素朴で上品なお味が致します。

私が行っているお花見。其れは桜を模したアフタヌーンティーを嗜む事です。

金に縁取られた二弾のティースタンドには、それぞれお食事と洋菓子が少しづつ乗っておりました。下段にはレバーパテ、クロックムッシュ、パイのブロッコリー乗せ、ベーコンエッグサンド。上段には桜ケーキやムース、抹茶のブラウニー、それからクッキーが二つ程。第二の故郷で戴いた、あのアフタヌーンティーを思い出します。

ではまず、お食事から。私はレバーパテを手に取って、一口齧らせて戴きます。

薄く切られたフランスパンの上に、淡いブラウンのレバーペースト。滑らかな舌触りの後に、仄かにレバーの後味を感じさせます。奥歯で噛み潰したナツメグが味に変化を齎して、レバーのお味から一変。あっという間に口の中に溶けて無くなります。

小ぶりなハンバーガーは、ローストビーフが奥の方までぎっちりと詰まっており、鹿実の様な甘みのソースが印象的です。

此処まで戴いて思った事。思いの外、体が満足しているという事です。過不足なく、満たされた故に、これ以上欲張る事が無いのです。それだけ完成度が高いと仰られればその通り。

改めて、このアフタヌーンティーという文化の奥深さを知り得た本日で御座います。


「渡ぃ、今日何したん?」

「桜を拝むにはまだ早う御座いましたので、アフタヌーンティーでお花見気分を味わっておりました。奥深いですね、とても。過不足なく心身共に満ち足りたのは久方振りで御座います」

家路に着くと母さんが嬉々として私にお尋ねなさいます。

ティースタンドを拝見させて戴いた時には、もっと欲張ってしまうかと存じましたが、その様なことは無く、それ故に感銘の念を抱きます。

「あぁ、そうなんだ。じゃあ春分の日はちゃんと過ごしたんだね」

「? はい?」

私は常々国民の祝日は満喫しておりますよ。

「春分の日って、自然を尊ぶ日だから。まぁ、今の時期桜はちと難しい。梅の花も散ってる。だからまぁ、アンタのは粋だと思うよ」

そう思って重なるのは、あの時の椿。春分の日は既に。

宮沢賢治作 風の又三郎 の一説を流しながら書いてます。

寒いんです。春の嵐は。


春分の日って、自然を尊ぶ日でもあるそうで。

という訳で私が見た中で、最も綺麗な椿を尊ぶ事から始めました。

でもどう頑張っても寒い事には変わりないので、春という季節ではありません。

花粉だけが春を知らせます。ええ花粉だけ!! 何たる皮肉!!


なんかもっと春らしい事を考えて、ふと浮かんだのが渡にとってのヌン活だったのかと。

過不足なく満たされる事も、必要以上に欲さないのも、ある意味尊ぶ事と同等。

どう考えるのは、一種の傲慢でしょうか?


追伸

翠の池 について書こうと思って、また今度。

そろそろ腰を上げたいと思います。

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