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【完結】女神様といっしょ!【1000話達成】  作者: ノノノ
第五章 たまにはダンジョンを離れて
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第77話 久しぶりの冒険者活動

 僕達は冒険者ギルド支部の入り口に入った。

「いらっしゃいませ~」

 ここはギルドの中継点だけあってそこそこ人も並んでいた。

 見た目は小規模の拠点だったが、人口は思ったよりは多いようだ。


「すいません、いいですか?」

「はい?なんでしょう?」

 受付嬢らしき人が対応してくれた。支部の人は少し職員の制服が違うみたいだ。


「私たち、最近こちらの近くに来たばかりでまだあまり地理に詳しくなくて……」

「それでしたら、あちらの掲示板で依頼を探してみてください。簡単な依頼ならすぐに達成できますので」

 ありがとうございますと言いながら僕たちは示された方に向かう。

 そこには色々と張り紙があった。

 薬草採取や護衛任務などもあるようだ。この辺りはゼロタウンとほぼ同じか。


「これなんか良いんじゃないかしら?」

 姉さんが指さしたのは討伐系の依頼だった。


「ゴブリンか……初心者向けだね」

 流石に僕らはもう初心者を名乗れるレベルでは無い。こういう依頼は初心者の為に残しておく必要があるとエミリアから教わっている。

「採取系とかもありますが、これもまあ初心者向けですね」

 エミリアの言う通り、どれも初心者向けのものだった。


「これはどうでしょうか? ワイバーンの目撃情報あり」

 ワイバーン!?

「ワイバーンってドラゴンだよね?」

「はい、まぁ火龍とは違うタイプではありますが」

 流石に魔法剣が使えない今の状態で挑むのは無謀か……。


「滅茶苦茶気になるけど、今は止めておこう……」

「それが賢明かと思います、レイ様」

「ちなみにそのワイバーンの情報はどこにあるのか分かる?」

「はい、ここより東の山岳地帯で見たとの情報が入っていますね」

 東の方か……今の僕たちでも行ける範囲だとは思う。


「今すぐ行くわけにもいかないし、一旦保留にして他の依頼を受けてみよう」

 そうして僕たちは他の依頼を受けることにした。

「ストーンゴーレムの討伐依頼か、良さそうなのがあってよかったね」

「そうね、これくらいなら今のレイくんでも大丈夫だと思う」

 僕達は受付に行って依頼を受理してもらう。

「すみません、僕達本部所属の冒険者なのですが、こちらでも登録は必要ですか?」

「本部の方ですか? 証明書さえあれば……はい、大丈夫です」


 良かった……。これで問題なく受けられるな。


「ではよろしくお願いします」

 こうして僕たちはギルドカードを発行してもらい、

 一旦宿を取ってから街を出て目的の場所に向かった。


「ここら辺かな」

「そうですね、岩山近くのこの辺りでストーンゴーレムの情報が出てました」

 そうしてしばらく付近を探索してると、周囲が揺れた。

「来たね!」

「はい、おそらく」

 この地震はダンジョンでも経験してる。

 ゴーレムが土や岩から突然飛び出してくる前兆だ。



 そして周囲の地面が大きく盛り上がってくる。

「来ます!注意してください!!」


 ドッシーン……と、大きな巨体が地面から飛び出した。

 僕達はどうにか着地地点から離れて戦闘隊形を整える。


「ふぅ、危なかった」

「なんとかギリギリ間に合いました」

 僕たちが飛び退いた場所には、全長5メートルは超えているだろう巨大なゴーレムだった。


「大きいわねー」と呑気な姉さん。

 ダンジョン四階とボスと同じか、それより少し小さいくらいだろうか?


「それでは、レイ様行きますね」「うん」

 レベッカは詠唱開始する。


<筋力強化Lv9>(力を与えよ)

<速度強化Lv9>(韋駄天の力を)

<感覚強化Lv9>(呼び覚ませ)


 レベッカの強化魔法が次々と僕に付与されていく。Lvが上がるごとに強化される値も増えていく。

「よし、準備OKだよ!」


「それじゃあ行くわよ、レイくん! <魔法の矢>(マジックアロー)連射」

 最初に姉さんの攻撃魔法が連発される。一撃一撃は弱いが姉さんは今なら一秒で最大五発のマジックアローを連射出来る。一撃辺りの威力はおよそ銃弾と同程度だ。それでもこれだけの数があると、かなりのダメージになっている。


「グォオオオッ」

 しかし、その攻撃も殆ど効いていないようだ。

「硬いね……少し厳しいかもしれない」

 僕はジンガさんから借りた剣を抜いて構える。


「エミリア、防御力を低下させてもらえるかな」

 僕はエミリアに指示を出す。普段ならエミリアに積極的に攻撃してもらうが今回は僕が主体だ。

「了解です。<物防弱化Lv4>(プロテクトダウン)

 エミリアの魔法が発動、ゴーレムの周囲に青い魔法陣が展開され青い煙に包まれる。

 弱体化魔法が敵の防御を下げてくれる。これで少しは斬りやすくなるはずだ。


『グオオオオオオオッ』

 ゴーレムが唸り声を上げる、攻撃してくるつもりだ。

「みんな、頑張って!<物防広域展開>(フィールドバリア)

 姉さんの上級防御魔法だ。範囲内の味方の物理防御を上げてダメージを軽減する魔法。これで更に戦いやすくなった。


「いくぞっ!!」

 強化された身体能力で一気に距離を詰める。

 ゴーレムの大ぶりな攻撃を紙一重で躱し、まずは足を狙う。


「はあぁ!」

『マジックソード』よりも威力のある剣の両手持ちの一閃、単純な威力は決して低くない。

 僕の一撃はゴーレムの足を大きく削り、ゴーレムのバランスが崩れて膝をつく。


「レベッカ、お願い! エミリア、雷撃魔法を!」

 既に詠唱していたレベッカに魔法の発動を指示。

 エミリアには追加で魔法詠唱を指示する。


「了解です! 中級魔法を詠唱しますよ!」

「はい!<守護石柱>(ストーンバレット)

 レベッカの魔法が発動する。これは攻撃魔法だ。

 レベッカの足元から大きな石柱が伸びゴーレムを襲う。


 ゴシャァアアン!!!


 凄まじい音と共に、ゴーレムは大きく吹き飛ばされるが起き上がる。

 やはり硬い…。けど、起き上がりが遅く隙だ。事前に詠唱していた魔法を自分に発動させる。


<中級爆風魔法>(ブラスト)

 対象は自分、自分の後ろから左手で自分の背中を押すように発動させる。

 流石にこのやり方だと自分も着地ダメージを受けそうだが、背中から強烈な爆風を浴びせて自身の推進力となり、僕はゴーレムの元まで一気に跳躍する。


「エミリア!!」

「はい、<中級雷撃魔法>(サンダーボルト)!」

 僕がゴーレムに飛び乗って剣を両手で振り上げた瞬間に、エミリアの魔法が発動する!

 エミリアの魔法の発動先はゴーレムではなく、僕の振り上げた剣だ。


「うおおおおおおおお!!!」

 剣にエミリアの雷撃魔法が伝わり、それを伴って強烈な一撃を放つ!


<剣技・雷魔法Ⅱ>(雷光斬)

 ドッゴオオオオオオオオオンと雷撃の衝撃と大剣による強烈な物理攻撃の同時攻撃でゴーレムの体は崩れ落ちて倒れた。ズゥンと砂埃が舞い上がり、暫くするとゴーレムは消えていった。


「ふう……何とか勝てたか……」

「お疲れ様ー」

「流石ですね、初めてながら上手くいきました」

「お見事です、レイ様、エミリア様」


 三人とも労ってくれる。まぁ勝てたからいいんだけど……。


「どうしました、レイ?」

「いや、そのね……連携はちゃんと上手くいったんだけど……」


 僕は震える両手を前に出して言った。

「エミリアの雷撃魔法の威力が高すぎて、感電した……」

 戦闘後だから問題ないけど、今はビリビリ痺れて指先が全然動かなかった…。


 ◆


<初級回復>(ヒール)

 姉さんの回復魔法で痺れた手を回復してもらう。

「ありがとう、姉さん」

「もう、今回のレイくんは格好悪いよー」

 呆れ顔の姉さんだが、僕は言い返すことが出来ない。事実だからね……。


「初めての連携魔法攻撃ですし、仕方ないかと」

「とはいってもなぁ……」

 今の状態で僕の魔法剣を補える手段はこれくらいしかないし、

 どうにか上手く連携出来ないだろうか。


「依頼は終わりましたので、それでは帰ると致しましょう」

 レベッカの言葉を受けて、僕たちは帰宅を始めた。しばらくは積極的に依頼を受けるつもりだ。


 街に帰って依頼の終了をギルドに報告した。

「ストーンゴーレムの討伐依頼終わりました」

「えっ? もうですか!?」

「あ、はい……そうですが」

 依頼を終わらせたら妙に驚かれてしまった。


「失礼しました、随分終了が早かったもので……。

 ……討伐確認できました。報酬の金貨七枚です、お受け取り下さい」

「ありがとうございます」


 流石に魔力回復がまだ万全ではないので、今日の所はこれで宿に戻ることにした。

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