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第459話 デジャヴ

 前回のあらすじ。

 レベッカの上目遣いに耐えられなかった僕は、

 深夜の森の探索の中に襲い来る魔物達相手に奮戦していた。


「三十二匹目ぇぇぇぇ!!!」

 敵を倒した数を数えながら、

 草むらから跳びかかってくるアルミラージを剣の一撃でワンパンしていく。


「疲れた……」

 はぁはぁ……と、その場にしゃがみ込んで僕は一旦休憩。

 用意してあった水筒を鞄から取り出して、水筒の中の水を口の中に流し込む。


「んぐ……んぐ……ぷはっ」

 勢い余って全部飲み干してしまった。

 僕は口元に付いた水を手で拭い少しだけ地面にお尻を付く。


「(意外となんとかなってるな……)」

 出現してる魔物はどれも強力だ。

 眠りの魔法でこちらの意識を奪い取って鋭い角で突進してくるアルミラージ。

 木に化けて旅人を油断させて突然動き出すトレント。

 モグラのように地面を掘って奇襲を仕掛けてくるアースワーム。

 それに、最初に戦ったロックコンドル。


 どれもこれも普通なら数人の冒険者で挑むような相手ばかりだ。

 なのにそれらと単独で戦えてる自分は、我ながら中々の成長っぷりだと思う。


「さてと……いい加減動かないとね……」

 僕は剣を支えにして立ちあがる。

 この辺りに魔物が集まっていたことを考えると、目的のキノコがあるはず。


 目的の素材の名称は【ヒカリダケ】。

 普段は茶色の松茸のような普通のキノコなのだが、夜になると発光し始めるらしい。

 問題なのは、このキノコの匂いに呼び寄せられて魔物が寄ってくる傾向にあることだ。


 最初の方は魔物と遭遇するたびに、作業の手を止めて皆で戦っていたのだが、あまりにも数が多すぎて採取が捗らない。


 なので、僕達は、魔物が一か所に集まらないよう手分けして探すことにした。

 そしてどういうわけか、僕は率先して魔物を狩る羽目になっている。


 なお、他の仲間は二人一組で行動しており、僕だけ単独行動である。ハブられたとかじゃなくて、暗い地面を凝視しながらキノコを探し回るのが苦痛だったため自分から言い出した。


 周りは暗いが<心眼>の技能さえあればある程度敵の場所が把握できるのは助かっている。

 それとシーフの技能を駆使すれば、単独で動くのは造作もない。


<点火>(ライト)

 僕は掌から小さな火の球を出現させて周囲を眺める。

 地面に視線を落として、地道に捜索していくが、ずっと下を見ながら歩ていたせいで途中で木の枝にぶつかってしまう。


「わっ!」

 思わず声が出てしまった。


「いてて……」

 僕はぶつけた頭を撫でる。


 心眼で魔物の気配は感知出来ても周囲の障害物には何の役にも立たない。僕は頭に付いた埃を振り払って再び地面を睨みながら歩き出す。しかし、キノコはいくつかあるが目的のものはない。


 エミリア達と一緒に探索していた時は1個だけ見つけたのだが、

 名前に反してボンヤリとシルエットが浮かび上がるだけの地味な光り方をしているようだ。


 目標の数は十個。

 薬に使うためにはキノコに含まれている成分の一部だけを抽出する必要があり、

 最低でも五個以上、十全の効果を発揮するためにはそれだけの数を要する。

 

「(僕はまだ1個も見つけてないぞ……)」

 皆はどこまで集めたか分からないけど、このままでは朝になってしまう。


 一旦仲間と合流すべきだろうか。

 そう思って、視線を地面から上に逸らした時だった。


「あれ?」

 目の前の木の上に、真っ白な何かを見つけた。

 それはぼんやりとした白い輪郭を浮かべていた。


「……?」

 よく目をこらすとそれは目的のキノコだった。


「やった!」

 僕は剣先を木の上のキノコの根元に合わせてスパッと切り取る。

 そして、落ちたキノコを手に取って確認する。

 キノコの輪郭がぼんやりと光っている。間違いなく目的のヒカリダケだ。


「(そっか、地面だけじゃなくて木の上にも生えてるのか……)」

 ずっと地面しか見てなかったため気付かなかった。


「(でもまあ、これでひとつ……)」

 僕は安堵のため息を吐いた。


 すると、背後からガサガサと音が聞こえた。

 魔物かと思い、僕は振り返ると、可愛らしい女の子が立っていた。


「ぐすっ……ぐすっ……!」

 女の子の身長は大体120センチくらい。


 緑髪で後ろでツインテールに分けられており、

 肩下よりも30センチくらい下まで垂れ下がった髪。


 身に着けているのは、髪に大きな赤いリボンと白のワンピースドレス。

 まるで人形のような可愛らしさを放っている。


「えっと……」


 何故、女の子がこんな深夜の森に?

 そう僕が疑問を感じる前に、


「うぇぇぇぇん!!」

 僕と目が合わせた少女は泣き出してしまった。


「ど、どうしたんだい!?」

 僕は咄嗟に駆け寄って、彼女の緑の髪を撫でるように手を置く。


「あ、あのね……家族とはぐれちゃって……」


「家族と……?」


「うん、それでね……ずっと探してたんだけど見つからなくて……。

 お兄ちゃん、一緒に探してくれる……?」


 女の子は、とても可愛らしい声で、僕を下から涙目の上目遣いで懇願してきた。


「……」

 僕は少し考えてから―――


「分かった! 一緒に探そう」

 笑顔で応えた。


「ありがとう……!」

 彼女は嬉しそうな表情を見せる。

 こうして、僕は見知らぬ少女の家族を探す手伝いをすることになった。


 ……なんてね。

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