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【完結】女神様といっしょ!【1000話達成】  作者: ノノノ
第二章 新人冒険者編
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第19話 お持ち帰り

 冒険者登録を済ませた僕たちは宿を取ることにした。


「宿屋は大まかに二種類ありまして、

 商業街の方の高級宿とこの冒険者ギルド管轄の宿の二種類があります。

 私は基本的に冒険者ギルドの方しか泊まったことはありません」


 後者は値段が安い上に即日で泊まれるため、冒険者ギルドの宿を選ぶことにした。

 冒険者ギルドに加入しているとギルド直下の食堂で少し割引して貰えたり、

 武器や防具屋で注文の品を取り寄せてもらえるようなサービスもあるらしい。


「すみません、4人空いてますか?」

 とエミリアは入り口に入ると同時に宿の人にオーダーする。

「いらっしゃい、空いてるよ。一人それぞれ一泊大銀貨1枚、金貨1枚なら7日分だよ」

「それなりにお金もありますし、金貨1枚で7日お願いします」

「あいよ、ここに名前書いてね」


 特に異論も無かったので、話がスムーズに進んでいく、

 と、思っていたのだが……

「あ、あの、レベッカは持ち合わせがなくて…」

 忘れてた。レベッカは僕たちみたいに報酬を貰ってるわけじゃないんだった…。


「あ、それなら私が払って…」とベルフラウ姉さんは言うのだが、

「待った美人のねーちゃん。それじゃあ駄目だ」

 と宿主は言葉を遮る。駄目っていうのはどういうことだろう。


「あんたら冒険者だろ?

 それなら自分が泊まる日銭くらい稼げないんじゃあ、泊まらせてやれねぇ。

 ここに居る奴らはロクな連中じゃねーが、その程度のルールは守るぜ?」


 レベッカは今日初めて冒険者になったのに、いくらなんでもあんまりな言い方だ。


「そんな言い方…!」

「まってください!」

 と、怒りそうになった僕を止めたのはレベッカだった。


「レイさま、私の為に怒っていただきありがとうございます…

 …小銀貨一枚で泊まらせてもらえませんか?どんな場所でも良いですから…」

 とレベッカは頼み込むのだが…。


「……悪いねお嬢ちゃん、流石に大銀貨を払ってくれないとダメだ

 それに、この街の宿で一番安いのはここだ。逆に言えばここが最低レベルなんだよ」

 つまり、ここがレベッカの言う『どんな場所でも良い』のラインということか。


「あの」と僕が前に出る。

「ベッドが一つの部屋でいいので二人泊まらせてもらえませんか?

 それだとお金が無くても大丈夫なのでは」

 かなりムシの良い話だが、流石にレベッカを外で寝させるわけにはいかない。

「レイさま、お気持ちはありがたいのですが……!」

 レベッカは気を遣われてかなり申し訳なさそうだが、流石にここは折れるわけにはいかない。


 宿主は深くため息をついて言葉を吐く。

「……はぁ、子供二人に泣かれたんじゃあな…

 ……この宿で一応朝食が出るが、その時の朝食二人ともなしって条件なら良いぜ?」

「本当ですか!?」

 それくらいの条件なら全然大丈夫だ。

「ただし、一日だけだ。それ以上は同じ条件で二度と泊めさせるつもりはない」

 …一日だけか。

「レイ、ここは条件を呑みましょう」

「エミリア…」

 でも一日だけって言うのは…

「レイ、今の私たちの立場を忘れましたか?」

「僕たちの立場?」

「ええ」


「私たちは冒険者ですから」


  ◆


 ―――その日の夜


 借りた部屋はロクに物が置いていない質素な部屋だった。

 結局、僕とレベッカが同じ部屋で泊まることになった。言い出しっぺだから仕方ない。

 勿論、ベッドは一つしかない。


「「…………」」


「それじゃあお休み!」

 僕は即座に床の上で寝ることにした。

「れ、レイさまっ?」

 いくらなんでも一緒に寝るわけにはいかないだろ!お姉ちゃんじゃあるまいし!

「だ、ダメですよ!本来ここはレイさまのお部屋なのですから!」

「いや、そう言われても…」

「ならば、せめてレベッカが床に…!」

 いやいやいや!それだと僕の部屋にレベッカを入れた意味ないから!

「駄目だよ、風邪ひいちゃうから!」

「それならばレイさまも一緒です!」

 ……まずい、完全に平行線だ。

 というか普通にエミリアやお姉ちゃんの部屋に泊まってもらえばよかったじゃん…。

 何で僕自分の部屋にレベッカの名前を書いちゃったんだ…。


「くそぅ…何でこんな…」

 カッコつけてイキッた割にこれは馬鹿すぎる…。


「あ、あの…ならせめてお話しませんか?」

「お話…?」

「はい、話しているうちにお互い眠くなるかもしれませんし…」

 …なるほど、僕は思いついた。

 レベッカは僕より子供だ。ベッドで二人話しているうちに先にレベッカが眠くなるだろう。

 そうなればレベッカはそのままベッドで寝る。その後に僕は毛布にでも包まって床で寝ればいい。

(これはいい考えじゃないか?)

「うん、わかった話をしよう!」


  ◆


 それから数十分、他愛のない話を続けた。


「話の流れで察してはいたのですが、レイさまとベルフラウさまは家族なのですか?」

「うん、そうだよ。レベッカは…馬車の時に家族は居ないと言ってたけど…」

 あの時のレベッカ寂しそうだったな…。


「血の繋がった家族という意味ではいません。

 今は長老様の家に住んでており、家族として接してもらっております」

 そっか、そういう意味では僕らの関係に似ているのかもしれない。


「……一人で故郷から旅立って、寂しくなかった?」

「寂しくない…と言えば嘘になります

 故郷から離れて遠く離れたこの地にこの身一つで歩くのも辛かったです……ですが」


「…ですが?」

 レベッカは軽くこちらに背中を預けて体重を掛ける。温かい…。

「今は、レイさまやベルフラウさまやエミリアさまが近くに居てくださいます

 ……わたくしは、それが嬉しくて、だから寂しくはありません」


 と、言葉にしながらレベッカは涙ぐんで頬を紅潮させていく。

 レベッカの手が僕の甲と重なる。少しだけ汗ばんで…とても柔らかい手だった。


「……?」

 何だろう、何か変な気分だ。

 少し意識が遠のいて……いや、というかレベッカ以外目に入らなくなるような。

 もう一つの空いてた手でレベッカの頭を撫でてしまう。

「んっ……」


 レベッカの柔らかくて繊細な銀髪を軽くなでると、とても触り心地が良い。

 レベッカが更に顔を紅潮させている。重ねてる手もさきほどより汗ばんでいた。

(レベッカ…普段雪みたいに真っ白な肌なのに、少しずつ熱で赤くなってる……)


 僕の腕が動いて今度は背中に回してこちらに抱き寄せる。

 ぴくっと震える肩が愛おしい。


「あ……レイ…さま…」


 レベッカも僕の肩を掴み、二人の距離が縮まる。

 あと少し近づけば唇が触れる距離に――


「……?」

 そこで僕は正気に戻った。


 普通に泣いている女の子を慰めるように頭撫でてただけのつもりだったのに、

 何故か色々ヤバイことになってしまった。


 明らかにどんどん密着していってもうお互いの心臓がどきどきしてるのが聞こえてしまいそうになってる。ていうか、何でレベッカはどんどんこんなに接近してくるの本当にヤバいって。


「レイさま……?」


 そんな潤った綺麗な紅い目でこちらをじっと見られるとドキドキが止まらない。

 再び僕の意識が薄れていく、レベッカ以外目に入らなくなる。


 レベッカ自分より全然年下の筈なのに、凄く綺麗で将来成長したら絶対美人になるだろうなぁって思ってはいたけど、既にもの凄いえっちな感じで、何ならお姉ちゃんよりよっぽど煽情的で――


  ◆


 ―――翌朝


「………ん」

 目が醒めるころには朝日がもう差し込んでいた。

「朝か……」

 昨日は何かあった気がするんだけど何だったかな…。

「…………」

 自分のお腹から胸元辺りから下半身辺りに柔らかくて程よい重さを感じる。

「…………」

 シーツを捲ると肩が少しはだけたレベッカがすぅすぅと寝息を立てて眠っていた。

「………ん……あ、…レイさま…?」

「……お、おはよう…」

 肩がはだけてるレベッカだが、起き上がると余計危ないものが見えそうになる。


 ………何か、僕もシャツのボタンが全部取れてるんだけど…。


「……うふふ、おはようございます、レイさま……♪」

 レベッカは自分の胸元を手で隠しながら、幼さに見合わず蠱惑的な笑みで微笑んだ。


「昨日のことは……お二人には内緒にしましょうね………♪」



 え、昨日マジで何やったの、僕……。


<レイとレベッカは仲良くなった>


セーフ

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― 新着の感想 ―
[良い点] えっ…… レベッカちゃんは妹系ヒロインかと思っていたのに実はそういう路線……!?!?!? くぅ~たまらねえぜ!!!好きです!!!!
[一言] アウトォ!
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