神は、咎人に罰を与え、強欲の邪竜を創り賜うた③
こんな時間にテロ投稿!
誰か見てくれるのかな?
今年で26歳を迎えたオイラだけど、このルボルグとは、もう二十年来の付き合いになる。
昔はチョンマゲのようだったドレッドヘアは長くなり、もう腰ほどまである。口の周りには、立派とは言い難いが、O型に丁寧に整えられた髭が生えている。
オヤジさんのガーランドおじさんは、まさに“ダンディー”と言った感じだったが、ルボルグは、ちょいワルおやじな感じに成長した。
酒瓶片手にしゃがんでいても、絵になるナイスガイだ。オイラが女だったら、きっと惚れてたね!
だけど、あえてもう一度言っておこう。コイツは女だ。
低い声で、ニヒルな笑いを浮かべ、髭をはやした、男のオイラでも憧れてしまうような、どっからどう見てもカッコいい男のコイツは、ドワーフ族の中でトップクラスの美女としてモテモテなんだ!
……うーん、ドワーフの好みは、わからん。
そう言うオイラはというと、以前街で知り合った、熊のアニマロイドのベティーと結婚をした。16で知り合い、18歳で結婚して、今ではもう、6歳になる息子と、4歳になる娘がいる。
いや、結婚するまでは、ルボルグのやつとあちこち冒険の旅に出かけては、ヤンチャしたけどね? 今じゃメッキリ、落ち着いた二児のパパだよ。
ベティーは、黒髪の美人で、おっとりした性格の女だった。アニマロイドの種族にしては珍しく、商人としてこの街にやってきた。考えることが苦手で、力が強いから、たいてい冒険者や、そういった仕事につくんだ。
だけどベティーは、さほど好戦的ではないタイプで、……というか、当時おっとりしたその性格のせいで、商談がまとまらず、それどころかスリに遭い、途方に暮れてたところでオイラと会った。
オイラは親切のつもりで助けただけだったんだけど、惚れられて、ベティーはオイラに色々尽くしてくれた。
で、可愛いし優しいし、いつの間にかそういう仲になって、結婚したというわけだ。
まぁ、普段おっとりしてるけど、怒ると無茶苦茶怖い。B級の魔物“デスベア”と張り合うくらい怖い。
かつてベティーが二人目の子を妊娠してる時、オイラがドワーフ達と飲んだくれて、3日間音信不通で家を空けてしまった事があったんだな。
ーーーあん時のベティーの怒り様と言ったら、ディウェルボ山脈ごと、家が吹き飛ぶかと思った。死ぬかと思ったどころじゃない。それほどの怒気を、オイラ一点に集中で浴びせられたんだ。殺してくれと願ったよ。
それ以来、オイラは優しい嫁の顔色を、常に伺い過ごすようになった。
酒を飲みに誘われたらちゃんと言うし、仲間内での小さな寄り集まりの場合は、オイラの家で宅飲みってやつにしている。
オイラは、酒瓶片手に宅飲みにやってきたルボルグに、ニヤリと笑い返事した。
「あぁ、暇だよ。オイラの研究は、オイラの自由にするんだ。どんなに発注の期日が迫ってようと、オイラが暇だといえば暇さ!」
「はぁー、寝る間も惜しんで、研究に明け暮れる、偉大な錬金術師様が、実は、こんなすっとぼけた、適当な奴だったと知れたら、大問題だな。ーーーまぁ、なんだ。研究もいいが、ちゃんと寝ろよ?」
「ちゃんと寝てるよ。オイラの睡眠は特別仕様なんだ。知ってるだろ?」
「まぁな。だが傍から見てると、不安になるんだよ。……まぁ、お前が平気ならそれで良い。それより、お前の嫁さぁ……」
「ん?」
「こんな夜中に、オレをお前の部屋に上げるとか、夫婦仲大丈夫か? オレ、ダメ元で訪ねたんだぞ?」
時間は、夜11時を回った所だ。チビ達はとっくに寝てる。
「え? なんで? お前だって仕事忙しくて、日中とかそれこそ無理だろう」
「や、オレ女だし」
ふん、と視線を逸らせながら言うルボルグの、その言葉をオイラはよくその意味を考え、数十秒後にようやく1つの結論に至った。
「ーーーふっ。無いな。そして、ベティーも同意見と言うことだ」
オイラは鼻で笑いながら、どこかの博士のように言い放った。いや、実際、闇魔法使いとしての博士号は頂いてますがね?
「おう、嫁共々ぶっ潰して欲しいようだな」
眉をひそめながら、不機嫌に言い放つルボルグに、オイラは慌てて涙声で懇願した。
「ヤメて! 次期族長様の言葉、洒落になんねぇから!」
「おー、次失言吐いたら、里の住居没収な」
「ははーーっっ!」
そんな寸劇の後、オイラ達は声を上げ笑い、いつもの様にテーブルの書類やゴミを床にガサっと寄せ落とすと、ルボルグの持ってきた酒を開けた。
ヤッパリ、番外編にすべきでした。……世界樹が呟かない!_(_^_)_
しかしまぁ、後3話ほどで多分、恐らくはエルフ編も終了するだろう見込みかも知れません……




