表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/582

神は、エルフに祝福を与え賜うた①

 大地に降り立ったレイスは進み出て、仮面(マスカレード)を外しエルフ達に言った。


「よく来た。エルフ達よ」


 そして仮面を片手に両腕をクロスさせた悩まし気なポーズを取る。

 仮面を持つ右手は左の腰に、左手は指を4本立てながら額に当てるというそんなポーズだ。

 折角仮面(マスカレード)を外したのに顔がよく見えないが、レイスの中ではきっとこれが“勝負ポージング”なんだろう。

 俺的にはもう少しその美しい顔を見せた方が良いと思うんだけど、ただの樹の感想などまあいいだろう。

 それも十分素敵だし、レイスが気に入ったポーズならやっぱりそれが1番最高だ。


 一方で方舟は、再び光のゲートの中にひっそりと後退していく。

 おそらく後ろに佇むゼロスが操縦しているんだろう。見事な連携だ。



 そしてレイスは普通にポーズを解いて、エルフ達に話し始めた。

 珍しく頬の筋肉がヒクヒクと引きつっている。

 嬉しいのか緊張しているのか、何れにせよレイスが興奮しているのは間違いない。




 ◇◇◇◇◇〈ニル(エルフ)視点〉◇◇◇◇◇




 母様達に連れられ、主神様方に会いにゆくと言われた時は正直ビビった。

 だってさっきオイラは世界樹様(アインス様)と遊んで来た……と言うか、一方的に木登りしてきた所なんだから。

 父様達は何に置いても世界樹様(アインス様)を大袈裟に言って敬う。

 例えば“オイラ達がお世話している神獣様は、アインス様を守る為に存在している”とか“この世界の創造神様達と同等、若しくはそれ以上に尊い存在だ”とかね。

 流石に大袈裟すぎるでしょ? そりゃ悠久の時を過ごしてるのは凄いけど、世界樹様(アインス様)は植物だもの。神獣様達や創造神様の方が尊いに決まってる。


 ま、そんな訳でオイラ的には世界樹様(アインス様)といえば()()()()()()()()()としか思っていないんだけど、その樹に登って遊んだ事がバレたら無茶苦茶不味い感じなのだ。

 道中、真面目なルフルや、クソつまんねえ性格のシャンティの話や小言を適当に聴き流しながら、オイラは内心気が気じゃなかった。



 ◇◇



『それから、ニルとはさっきも会ったね。かくれんぼがとても上手で感心したよ』


 ―――言うなよぉ! バカァーーーーーーーー!!


 出会い頭の世界樹様(アインス様)の言葉に、オイラは思わず内心絶叫したね。

 そして案の定、父様から激おこの怒声が飛ぶ。


 泣きそうになりながらオイラが必死で白を切ろうとしていると、なんと世界樹様(アインス様)からオイラのフォローが入った。

 フォロー入れるくらいなろ、初めから言わないでよ。察してくれ。心臓飛び出しそうな程ビビったんだからな! 


 そんな寿命が縮む様なやり取りがあった後、とうとう創造神様方が来られる流れになった。

 ホント、さっきのやり取りは要らなかったよ。


 2柱の創造神であらせられる、ゼロス様とレイス様はぶっちゃけ初めて拝見させて頂くわけではない。

 ゼロス様はよく天使様達と歌の練習をされているし、ほんの数日前に勇者様の魂と戯れてらっしゃった所も目撃している。

 更にはラムガル様も一緒になって、御三方が移動の瞬間が目視出来ない速さで鬼ごっこをされてるあの御姿は、子供のオイラが言うのも何だけど、シュールだったな。

 そしてレイス様は尚更拝見の機会が多い。

 見掛ける際は大抵森の中で、聖獣や魔獣の毛をもふもふしているんだけど、母様からその状態のレイス様にはお声を掛けては絶対にいけないと言われている。

 もしその時声をかければ、その後獣達に命を狙われる事になるんだとか。……一体どんな呪いなのか、恐ろしくてこれまで声を掛けたことはない。


 そんなわけで、何度かお姿を拝見させていただいた事はあるものの、こうして顔を合わせるのは初めてだ。

 万物における創造神様と言えど、今まで拝見した姿が完全なオフタイム的な姿だった事もあって、いまいち恭しさや神々しさといった感情が湧いてこない。

 あぁ、1つだけあったな、神様らしいのが。

 父様に見せて頂いた“アルカディア”の記録映像の中の、ゼロス様とレイス様は凄かった。正に“神”だった。

 だけどそんなオフタイムばかり見てれば“あの映像って、多分何かの加工してんじゃね?”と思ってしまっても仕方ないと思う。そのくらいの差がある。

 そんな事を考えていると空が割れた。




 ―――空が割れた!?




 オイラは思わず心の中で2回言ってしまったよ。


 風もないのに世界樹様(アインス様)の枝が大きく揺れ、一層高い音をたて葉の音が響く。



 そして割れた空から光を纏い現れたのは、美しい空飛ぶ船だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ