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世界樹の呟き 〜チートを創れる可愛い神々と、楽しく世界創造。まぁ、俺は褒めるだけなんだけど〜  作者: 渋柿
最終章 起点回帰【邪神と呼ばれた少女は世界から溺愛される】
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初めての戦闘訓練

 《シアン視点》


 オレはクロを連れて、イヴに手を引かれるようにして【ハウス】を後にした。

 ハウスから階段を降り【樹】の根本についた時、今度はオレがイヴ達を少し開けた広場の一角に誘導した。

 そして広場の一角に作っておいた、木組みの枠にぶら下がった、人間の大人くらいのサンドバックを手を広げて紹介する。


「じゃじゃーん。イヴの為に夜なべしてサンドバックを作ったのですー!」


 すると二人はノリよく手を叩いてくれた。


「父ちゃんが夜なべしをて、サンドバック作ってくれたー」

「うんー! ありがとうシアン! でもね、イヴもヨナベ食べたかった」


 ……。


「……うん。でもなイヴ、夜なべとは“夜寝ないで起きてる事”であって、鍋の種類では無いんだよ」


 この時オレは、“食いしん坊”に“勘違い”と“懸命さ”を足せば、“超絶可愛い”が出来るという事を初めて知った。

 オレは目尻をおろしながらイヴを撫でる。


「イヴは本当にいちいち可愛いなぁ」

「……? うん! シアンもかっこいいよ!」

「―――がはっ……」


 もう駄目だ。

 中身や元の云々関係なく、可愛すぎる……っ。

 ふとその尊さに視線を反らせば、クロがキラキラした目でオレを見上げていた。


「どうしたクロ?」

「おれもね、父ちゃんみたいにカッコよくなりたいっ!」

「……」


 っなんなのこのいい子達はっ。ちょっとほんとにさぁっ、……オレ褒められ慣れてないんだから!

 ……あぁ、もう駄目だ。

 戦闘訓練やめて、おやつパーティーとかにしていいかな。モチベーションが崩壊なんですけど。


 オレが優しい目で二人の頭を撫でていると、リリーの店からカップケーキを抱えたロゼがやってきた。


「あれ、ロゼ。珍しいな。戦闘訓練とかロゼは嫌いじゃなかったか?」

「うん。好きじゃない。だけどこっちでは、それをしないと生きていけないんでしょ? なら見学くらいしておこうかと思って」


 ロゼはそう言うと、当たり前のようにクロの頭にぽすんと座った。

 そこはオレが何かをしてる時の、ロゼのいつもの止まり木となっていて、クロも気にする風もなく乗せていた。

 オレはロゼを頭に乗せたクロに、木陰に座っておくようにと言ってイヴに向き直った。

 そして背筋を伸ばし、イヴに言う。


「よっし、じゃあ始めるぞ。だがな、何かを習う時は“礼節”ってものをキッチリするんだ」

「れいせつ?」

「そう。“教えて欲しい”や“教えてもらってありがとう”って言う気持ちを体で表す事。いくら心の中で思ってても相手に伝わらないから」

「ふーん」

「まあ今日は簡単なところからな。背筋を伸ばして『よろしくお願いします』って言うんだ」

「うん! よろ……」

「あと返事は『はい』な」

「う……はい、よろしくお願いします!」

「はい、よろしくお願いします」


 オレも頷き頭を下げ、イヴの訓練を始めたのだった。



 ◆



 《イヴ視点》


 待ちに待ったこの日が来た。

 シアンに言われた通り始まりのご挨拶をして、始めに一緒にストレッチをする。

 身体が柔らかいと褒めてもらった。


「よし、じゃあ先ず型から教える」

「サンドバックは?」

「それは後だな。まずは基本の型を覚えておかないと、無理をすれば身体を傷めちまうから」


 シアンが言うには、打ち込みの際にきちんとした角度で力を入れなければ、威力が出ないどころか身体を傷めるんだそうだ。

 それについてはジョーイさんから【人体の仕組み】のお話を聞いていたからイメージはついた。


 その日シアンが教えてくれは、たった一つの打ち込みの型。

 踏み込みの脚使いと、正拳の打ち込みだ。

 何度か動きを確認した後、シアンは言った。


「よし、やってみろ」


 私は頷くとワクワクしながら、シアンがお鍋を食べながら作ってくれたサンドバックに打ち込んだ。


 ―――パフン……


 私の拳はサンドバックに当たり、それをゆらりとも揺すこともなく、気の抜けた音だけを上げた。


 私は驚いて自分の拳を見る。


 ―――……思ってたのと全然違う。

 スピードも出ないし、力も乗らない。思った様に体が動かない。……全然違う!


 私が唖然としていると、ふいに手を叩く音がすぐ側から響いた。振り返って見れば、シアンが嬉しそうな顔で手を叩いていた。


「いいぞ。軸もブレていなかったし、踏み込みもスムーズでタイミングを合わせられていたな」


 ……何言ってるの? 全然駄目だったよ。

 私が困惑をしていると、シアンは笑顔で言う。


「後十回打ち込んでみろ。型の確認をする。今日はそのくらいにしておやつにしような」


 私はそれから、自分のあまりの駄目さに焦燥すら感じながら、言われた通り打ち込んだ。


 ……やっぱり全然駄目だった。

 でもシアンはやっぱり笑顔で言う。


「うん、いい感じだ。流石筋がいいな。もっと練習して慣れていけば、直ぐに次の型を教えられそうだな」

「……練習?」


 私は泣きそうになりながらシアンに尋ねると、シアンは頷き、私の頭を撫でた。


「そう。このサンドバックは今後ここに吊るしておくから、イヴの好きな時に使っていい。しっかり練習するんだぞ」


 “練習”……その時ふと、リリーの言っていた言葉が頭の中で響いた気がした。



 “―――出来るまで、繰り返す事ですわ”



 ……そうだ。練習とは、出来るまでやる事だ。


 私は頷いた。


「うん、練習するね」

「おぅ。じゃ、おしまいの挨拶だ。“ありがとうございました”」

「……ありがとうございました」


 ……本当は、もっと教えて欲しかった。

 教えてくれてる時のシアンは、真剣に私だけを見てくれてたのだ。

 いつもクロにばっかりつきっきりだったから、この時間がとても楽しかった。


「しかし、流石イヴだ。まさに天賦の才の持ち主だな」


 そう言って笑うシアンを見て、私はふと気付いた。


 ―――あぁ、そうか。シアンは私に気を使ってくれてるんだ。

 優しいシアンは、いつもクロにばっかり付き添ってる事を気にして、私をこうやって無理して褒めてくれてるんだ。


 私はやりきれなくなって、シアンの足にしがみついた。


「どうしたイヴ?」


 ……シアンは私が弱いから、そんなこと言うんだ。

 もっと強くならないと。……もっと上手にならないと。

 大きくなったら私は体が弱いシアンや、クロや、ガラムおじさん、それにか弱いリリーをお世話して守ってあげなくちゃいけないんだから。

 シアンに気を遣わせないように、お姉さんにならなくちゃ。

 もっと強いお姉さんに……。


「でも抱っこ……」


 ―――……しまった本音が。

 だけどシアンは、笑いながら直ぐに私を持ち上げてくれた。


「はいはい。イヴは甘えん坊さんだなぁ。いいよ。初めての訓練、頑張ったもんな」


 私はこくこくと頷きながら、シアンの胴回りにガッシリとしがみついた。

 シアンはクロにも声をかける。


「クロもくっつくか?」

「んーん、おれは自分で歩く」

「そうか」


 シアンはクロの手を繫いでまた歩き出した。

 すると歩き出してすぐに、背後から声が掛かった。


「あ! クロくん!」


 振り返れば、そこにはジルさんとロロノアさんが居た。


「ようクロー! それにシアンとイヴちゃんも」

「そうですね、教授とイヴちゃんもこんにちわ」

「こんにちわー」

「こんにちは」

「よう、ジルにロロノア。オレ達をおまけみたく言うなよ」


 シアンが冗談混じりにそういえば、ジルさんとロロノアさんも笑って返してくる。


「いやぁ、でも最近ではクロくんにお世話になってますからねぇ。ねえクロくん、また【獣図鑑(ジャックザビースト)】見せてくれる?」

「また読んでくれるの? いいよっ!」


 ジルさんとロロノアさんは、クロの誕生日以来数日に一度はクロの所に訪れてくる。

 クーちゃんからもらった本が読みたいらしく、クロに読んであげると言う名目で本を見に来るのだ。

 シアンはそんな二人に呆れたように声をかけた。


「またかよ。もう何周目だ?」

「まだ三周目ですよ。あれは凄いですよ! 読み返せば読み返すほどに、新たな発見があるんです!」


 拳を握りしめそう熱弁するロロノアさんに、シアンは苦笑しながら頷いた。


「そうかよ。これから二人にはおやつにしようっ言ってたんだ。お前らも食ってけ」

「おお、いいタイミングで来たな」

「あ、ご馳走になります。僕コーヒーはミルクと砂糖は無しで」

「!?」


 そんなやり取りを聞きながら、私はシアンの腕の中で考えていた。


 ―――おやつを食べたら、また練習をしよう。



イヴちゃんの性格↓

好奇心旺盛

努力家の勉強家

優しくして動物好き

不器用


いろいろ忘れていても、性格の本質は変わってません。パッと見可愛いんですがドキドキが止まらない!(゜A゜;)ゴクリ のは私だけでしょうか……?

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