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神は、待たせ賜うた②

 

 ■■■■■■


 種別 魔人(USSR)

 名前 ルシファー

 Lv  69


 職業 魂の導き手


 HP: 3,010/2,860(+150)

 MP: 5,520/4,410(+1,110)


 筋力:1,722

 防御:938(+160)

 敏捷:2,550(+252)

 知力:688

 器用:620

 魅力:946,322(+11,743)

 幸運:180


 装備:

 頭 :【未装備】

 銅 :【黒獅子の鬣ジャケット(防御+150)】

 右手:【ミスリルの短剣(敏捷+232)】

 左手:【装備なし】

 足 :【風竜の革靴(敏捷+20)(防御+10)】

 装飾:【白骸の翼】

 装飾:【嫁のフィギュア(HP+150)】

 装飾:【黒の魔石SSR(重力効果+30)(MP+1110)】


 スキル【魂の蘇生Lv9(MAX)】【瞑想Lv6】【パティシエLv4】【シェフLv4】【板前Lv5】【調薬Lv4】【魔法創造Lv2】【魅了Lv9(MAX)】【事務Lv3】【時空Lv1】


 称号 【冥府を統べる者】【優しい人】【悪魔**】【亡者**】【聖者**】【獣王の友】


 加護 【*****の憧憬(魅力+5000)】【*****の憧憬(魅力+5000)】【獣王の絆(魅力+300)】【天使の寵愛(魅力+777)】【悪魔の微笑(魅力+666)】



 ■■■■■■



 ルシファーが唖然と画面を見つめ、震えながら呟いた。


「……オレの翼は装飾じゃねえ。寧ろ本体だ」


 マスターもその画面をじっと見つめながら、冷めた声でコメントする。


「おかしな事言わないでよ。そんな事より【嫁のフィギア】って何? 気持ち悪いんだけど。何でHPがそれで増えるの?」

「ほらぁー、そういう事言うだろ? 御守なんだよ。折れそうになる心を支えてくれてるんだよ。ほら見ろ、今ので心のHPは−200だぞ?」

「……いや、リアルに減った……。嘘だろ? ていうか持ってる方が、寧ろマイナスじゃない。それ実は呪いのアイテムでしょ」


 数値がピコンと変わった画面を見て、的確なツッコミを入れるマスター。

 ……そう言えばかつてルシファーは、精神的ダメージにより、その命を落としかけた事があ(※1)んだ。

 Mr.ガラスのハートは口を尖らせながら、尚も自身のステータスに眉を潜める。


「うるせぇな。そもそも種別(存在)USSRウルトラダブルスーパーレアってなんだよ? 珍獣か?」

「否定はしない」

「しろよっ! ……しかも【魅力】数値がバグってるし……」

「ね。インキュバス達と並ぶと、もはや罰ゲームの顔面レベルなのにね」

「……」


 ルシファーの目に、何か輝く雫が浮かんだ。

 そして、何処か自虐的な笑みを浮かべて首を振ったあと、今度は残念そうに溜め息を吐く。


「なぁ、このスキルレベル、かなりシビアじゃね? オレさ……【料理】結構自信あったのに……Lv4かよ……」

「それはおそらくレベルMAX値が高過ぎるんだね」


 マスターはそう言うと、何もない空中をじっと見つめながらふむふむと頷く魔王をチラリと見た。

 つられてルシファーもそちらを見て、ラムガルと目があった。


「余は【Lv9(MAX)】であるぞ」

「ははっ、流石ですねラムガル様」


 ルシファーは輝く笑顔でラムガルを褒め称えた後、何かを悟ったように俯いた。


「……敵わねぇな」

「張り合う方が間違ってる」


 一通りのカフェメニューは作れるのに【料理】スキルのレベル持ちと認められなかったマスターも、ふっと笑いながら頭を振った。

 また気を取り直したルシファーが、首を傾げる。


「何かさ、心当たりの欠片も無い物があるんだが、あれなんだ? 加護【天使の寵愛】とか、スキル【魅了】って何だ? 嫌にレベルが高いのが不気味だよな……」

「……分からないなら、気にしなくていいと思うよ? かつてアインス様も仰っていた。『分からないほうが幸せって事もある』とね」

「意味わかんねぇよ。気になるから、何か分かるなら教えろよ」

「……」


 だがマスターは、それ以上の言葉を紡ぐことはしなかった……。

 そしてその時、ルシファーの背後に当たる位置で、天使長の一人イノンセラがもじもじしながらルシファーに背を向けていたのだが、結局ルシファーに気付かれることは無かった。

 ルシファーは溜息を吐き、また画面に視線を戻す。


「……このさ、***って何だろ? 文字化け?」

「……」

「どうした?」

「いや、きっとこの世界にとって、不都合な事実だったんだろうね」


 うん。彼は無自覚に悪魔と亡者と聖者の【王】であり、【黒の創世神】と【白の創世神】が、木陰でキャーキャー騒ぐ存在であるんだ。

 学園モノだと、年下天才生徒会長が密かに憧れている、ちょっと抜けた優しい先輩的な存在だろうか……。



「一体何を……いや、待てよ? ……不都合なこと? もしかしてここに入る言葉って【悪魔祓い】とかか!? 嘘だろ……あいつらを滅するなんて出来ねえよっ。……でも悪魔祓い(エクソシスト)かぁ……響き的には憧れの職業ではあるんだよなぁ……いやでもっ……」

「……僕はルシファーの【知力】値が688もある事が、嘘だとしか思えないね」


 周りは無言で目を綴じマスターに頷いたが、ルシファーは気付かず、口を尖らせ呑気に嫌味を言う。


「えーえー、そ~ですね。そりゃ大賢者様と比べりゃ、オレなんて大した事ねーですよ」

「そうだね、大したことないね。きっと【悪魔の微笑】も実は【悪魔の苦笑】なのかもしれないね」

「あ、何気にあり得るな。絶対アイツらのほうが、オレよりいろいろスキル高いもの。ダチの情けでなんやかんや仲間に入れてくれるけどさぁ……。もう、悲しくなるよな。称号にある【優しい人】だって何よ? 称号でも何でもなく最早ただの普通の人じゃん……」

「……」


 沈黙するマスター。多分内心では『普通なわけ無い……』とでも呟いてるんだろう。

 だって“世界が認める”優しさの持ち主って、普通に凄いよね。

 とはいえ、やはりルシファーはその凄さに気付いていない。

 そして教えようとする者も、誰もいなかった。


 マスターはくるりと振り向き、ラムガルに言った。


「次は魔王、お前の番だ!」


 一同が目を見開く。


「は?」

「え?」

「なっ、馬鹿め。誰がお前なぞにっ」


 一人でこっそり自分のウィンドを確認していたラムガルが、慌てて顔を上げて言った。

 マスターはニヤリと笑う。


「そう、僕等に劣るものがあった? それとも僕らより変なスキルでも持っていた? くく、想像するだけで楽しいね」

「っ妙な予測をするでないわぁ! 【共有】!!」

「へえ。……では、クロノス様は如何でした? マナ・カイロス様への思いは、やはり片思いでしたか」

「バカを言え。想い合っているに決まってるだろう。【共有】! レディーも、その偉大さを皆に知らしめて下さいませんか?」

「……【共有】」

「おぉ!!?」

「これがハデス(阿呆)を除いたネ申の、真の実力……!!?」

「ルシファー! 私のも見せてあげるわっ!」

「え、ええ? ありがとうございます」

「ここまで来たら、神獣様のも見ておきたい……」

「クエっ!」

「わっ、悪乗りはいけません!」

「シャー……」




 ―――そうして、皆はゼロスとレイスが降りてくるまで、仲良くステータスの見せ合いっこをしていたんだ。


 





振り返りサブタイトル↓

※1 神は、黄昏を見つめ賜うた 〜心の闇〜



以前書いたマスタースキル、ルシファー比較の為に追加しました。→【調薬Lv8】【魔法創造Lv7】【杜氏Lv9(MAX)】

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