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神は聖獣の殺しの禁忌とし、絶望の呪いを約束し賜うた

もふもふ回

「ゼロス。レイスはもふもふが好き。もふもふの服がいい。もふもふと共に生きたい」


 聖剣と魔剣を勇者と魔王に渡し、再び鉱石の前で悩むゼロスに、レイスは痺れを切らして訴えた。


 ゼロスは鉱石を睨みながら面倒そうにレイスに答える。


「煩いなぁ。僕、今考え事してるんだから。そんなにもふもふが良いんだったら、神獣の毛とかで服創ればいいだろ」

「え?」

「え?」


「「……あ」」


 お互いが顔を見合わせた。


 そう。当たり前すぎて抜けていた。

 神獣は俺を守る為にレイスが本気で練り上げた肉に、ゼロスの丹精込めた、至高の芸術ともふもふが詰まっているのだ。


「ごめん。僕もなんか新素材に拘ってて忘れてた」


 ゼロスが笑いながら頭を掻いた。


「レイスももっと早く気付くべきだった」

「まぁでも所詮服なんて飾りなんだから、神獣と言わずユニコーンレベル以上の聖獣か魔獣でもそれなりに出来るんじゃない?」


「それもそう! 危険な実験のときは着替えればいい」


 レイスは頬を上気させながら一生懸命頷いた。

 ユニコーンと言えば人が定めた規定で表現すると測定不能(SS)クラスだ。


「わかった! レイスちょっと採ってくる!」


 そう言うやいなや、レイスは凄まじい速度で飛んでいく。


「はーい。行ってらっしゃ……って、ちょっとまってレイス!! 採ってくるって、まさか毟るの!? 剥ぐの!? やめっ……ストップ――っ!! 僕の聖獣達を傷付けないで!?」


 ゼロスが慌てて追いかけようとするも時既に遅し。

 レイスは影も形も見えなくなっていた。


 地に伏し涙するゼロス。


「……ぐすっ、僕の創った聖獣達を傷付けたら……例えレイスと言えど呪ってやるからなぁ……」


 地に顔を埋めたゼロスが、何やら恐ろしいことを呟いている。

 そしてこれ以降、いかなる理由があれど聖獣を傷つけた者は“神の呪い”を受ける事になるのだった。



「ただいま」


 と、レイスが両手一杯に艷やかな黒い毛と白銀のモフモフの毛皮を抱え戻って来た。


「レイス! その毛、その毛皮! どうしたの!? まさか毟ったの!? まさか剥いだの!?」


 激怒するゼロスに、レイスは不思議なものを見る様な目を向けながら淡々と答えた。


「レイスが大切なもふもふ達を傷つけるわけ無い。これはもふもふ達の抜け毛を見本に、レイスが肉で創った模倣作。……レイス、成型は苦手。でももふもふには妥協しない……!」

「え? じゃあ、聖獣や神獣は傷付けてないんだね?」


 ホッと胸をなでおろすゼロス。

 対し、レイスの表情が般若のように歪む。


「もしもふもふを傷つける奴がいたら、レイスは死より恐ろしい絶望の限りを詰め込んだ呪いをそいつに与えてやる」


 こうして、いかなる理由があれど聖獣を傷つけた者は、もう一柱の神の呪いをも受ける事になったのであった。


 気を取り直したゼロスがレイスに訊ねる。


「それで、その毛はどの聖獣の毛なの?」

「黒いのが聖獣の中でもレイスの一番お気に入の黒麒麟。白金のはフェンリル。フェンリルは毛がちょっとチクチクするから、サラサラもふもふバージョンで創った」

「―――黒麒麟? 僕、麒麟は金色で創ったはずだけど?」


 レイスの言葉に、ゼロスは突然に不機嫌そうに顔をしかめた。


 ゼロスは変異種を“異端”として嫌う傾向がある。

 四葉のハーティの時もそうだった。

 ゼロスはとても繊細で美しいものをいとも簡単に創り出す。

 だがどれ程簡単そうに創ったものでも、創り出したもの一つ一つに語り尽くせぬ思い入れが有り、ゼロスは愛していた。

 その込められた大き過ぎる愛情故に、変異種に対しては裏切りと嫌悪を覚えてしまうのだろう。


 レイスはそんなゼロスに、黒麒麟をかばうように言い募った。


「他のは皆んな金色。だけど一匹だけ黒い。産んだ母もビックリして、赤ん坊の黒麒麟を育てようとしなかった。だけどレイスはその黒麒麟の可愛さと、もふもふさ。そしてもふもふやさ、もふもふ感の全てに惚れた。だからレイスは育てて、特別な(マナ)をあげた。レイスはあの黒麒麟が大好き」


 レイス……もふもふを3回言ったね?

 レイスの推しへの懸命のアピールに、ゼロスは冷ややかな怒りを収め、黒麒への興味をなくしたように言い放った。


「そうなの? じゃあ、黒麒麟はレイスにあげるよ。僕は金色があればいいから」

「! ゼロスありがとう!」

「それよりさ、僕にもフェニクスの飾り羽を、創ってよ」

「いいよ」


 こうして其々に素材を手に入れた2柱は、いよいよ服作りのクライマックスに入る事になったのだった。





 ―――……もうちょっと。


 もうちょっとなんだけど、まだ神々は素っ裸。

この回で、ゼロスを嫌いになる読者様が増えるんだろうな、と思いつつ書き上げました。


身近な事で、例を上げると、

「大好物の酢豚を注文したよ!げ。パイナップルが入ってる。最悪だよ」「パイナップル大好き!パイナップルは正義!」「マジで?じゃぁ、パイナップルあげる。玉ねぎと、豚肉は駄目だよ」「マジで!?最高!ありがとう!」「それより、ちょっと醤油取って」

という感じなんですが。

もふもふが絡むと、本当に酷いやつに見えるから不思議です。

ちなみに私は、パイナップル否定派。



ブクマくださった方、ありがとうございました。




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― 新着の感想 ―
[一言] 気持ちは分かる 後は子供っぽい自己中心性かな 生き物だと相手も好きでそう生まれてないですしね
[一言] わたしも否定
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