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ミッドナイトエスケープ-Another-

・・・ある国の城内でおこるとある話。

------「君はなんで此処にいるの?」


------「知らない。でも・・・きっと王子様が来てくれるから怖くないの!!」


------「そう。じゃあまた明日」


------「うん、おやすみ。シアン」


------「おやすみ。ルージュ」



 彼の住む城から繋がる塔の一番上


そこに、私は一人捕らえられていた


 幼い私には何もわからないし


全然外へ出たことが無いから


外の世界がどのように動いているか


私を照らす太陽と月は何所から昇るのか


私は何も知らない。


 幾夜も彼は私の元へ来てくれて


少ない会話をしてくれた。


 彼はとても頭が良いから、私に多くの事を教えてくれる


だから私は彼に負けないように教えてくれた全ての事を覚えようと努力した


きっといつか私は彼と会えなくなってしまうから


きっと彼はもう忘れてしまっていると思うけど


覚えたてのラテン語の歌を小さな声で歌ってくれた事があったよね


あの歌の歌詞、一言一句全部覚えてるんだから


こないだラテン語を教えてくれた時あの歌の意味がようやくわかったんだ


ありがとう


 そんな事を繰り返すうちに私は大きくになっていた仮にも幼女とは言えないくらいに


彼も城の中でどんどんと成長していった


 ある時


「シアン。私はなぜ此処にいるの?」


「ずっと前に僕が君に質問したよね?」


「その時私はなんて答えた?」


「知らないって」


「他には?」


「覚えてない」



「おやすみ。ルージュ」


そう言って彼は駆け出す


私が覚えていないはずないじゃない


あなたに向けて言った初めての愛の言葉


きっと私の事なんて、多くの事を知っているあなたの眼の中に入らないのでしょう?


 鉄格子が隔てる私とあなた


近づきたくても冷たい鉄が許さない


暑い夏の夜も


凍える冬の夜も


鉄はいつでも冷たく


互いを抱擁することも許さない


 私を捕らえる塔の下で多くの怪盗事件が起きていた

痕跡を全く残さない怪盗の事を人々は


“mysterious thief・sumac(知的な怪盗)”


と呼んだ


盗るものは金や宝物ではなく


ただの本


古いものから新しいものまで


町の人々はこの事からもあの呼び名で呼んでいるのだ


犯行時間は明け方


家の主人が寝ている隣の本を盗っていった事もあるという


 「ねえシアン?」


「なんだい?」


「なんでこの頃悲しい顔をして此処へ来るの?」


「僕の町に怪盗が現れてね。僕の本が盗まれるか心配で・・・」


「本を盗るの?素敵!!!とても本が好きなのね」


「他人事だと思って!!僕の心配もしてくれよ・・・

 そんな事言ってると君の事を攫いに来るかもよ?」


「こんな高い塔に来れるのはあなただけよ?

 私は此処で死ぬまで居るんだから・・・おやすみシアン」


「おやすみルージュ」


教会の12時を知らせる鐘が町に響く


“やぁ 君を攫いにきた怪盗だけど”


「随分と高いところまで登れるのね」


“君を攫って良いかい”


「どうかわたしを、攫っていって」


“ではご要望の通りに”


“でも、一つ言わせて頂けるかな?”


「どうぞ?一つといわず幾つでも」


“君は王子様を待っていたようだが・・・怪盗でも受け入れてくれるかい?”


「私、おおざっぱな所が取り柄なの」


私は怪盗を見つめる


“もう、バレたかな?”


「何?その格好 あなたらしくないわシアン」


“やっと鉄格子の向こう側に来ることが出来た”


「物知りな怪盗サン?私は攫われるのよね?」


“あぁでも、最後に一つ”


王子様のように傅いて私の手をとる君が


“ここから逃げよう 愛してる”


 君はそっと私を抱きかかえると


私は意識を手放した

読んでいただきありがとうごさいます。

ショートストーリーで申し訳ないです・・・

対になる話をかいてみたかったんです!!

今後ともよろしくおねがいしますー

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