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はじまり

豊かな自然に囲まれた町ハバノル。小さな町ではあるが、観光客や商業人が訪れる。中心街は商店が並び、人々のにぎやかな声が飛び交う。少し離れた所には、民家と畑があり、農作業に汗をながす人々。

16才の少年サングは、本日の仕事木材運びの手伝いをしていた。依頼主のリガロが切り倒した木を、運び安い大きさに切って荷車にのせ、近くにあるリガロの家へ運ぶ。 体力に自信のあるサングは、リガロの作業を手伝いつつ、木材を次々と運ぶ。明るいオレンジ色の断髪で、上下黒の半袖にズボンを着ている。

「サング、ありがとな。今日はこれで終了だ。助かったよ。」

リガロはそう言って、今日の報酬金をくれた。

「ありがとうございます!」 

笑顔で受け取るサング。

「あと、俺の作った物から好きなの一つもっていけよ。」

二人は家具作りを仕事としているリガロの家へ向かった。 

机や椅子等の家具が並んでいる。サングは今特に欲しい家具はなかったし、あまり大きな物を貰うのは気が引けた。サングが手に取ったのは、薄い板を丸く切り、リネの花が彫られたお守りだった。

「リガロさん、家具だけじゃなくて、こんな繊細なのも作れるんスね!」

サングは尊敬と驚きの眼差しでリガロを見る。体格の良い中年男リガロが、かわいらしい小物を作っているという意外性にも驚いた。

「まぁな。こういう細かいことも得意なんだ。 」

少し照れるリガロ。

「好きな女にでもやれよ。喜ぶぞ。」 

「ああ、…じゃあこれにするよ。どうもありがとう!」

サングはリガロの家をあとにした。夕暮れ前に仕事が終わったので、近くの森を散策することにする。

お守りは母さんか妹のサラにあげようか、などと考えながら歩く。今日は天気が良く、風が気持ち良かった。

しばらく行くと小川がある。サングは寝転んで休憩する。ここは彼が時々来る場所であった。今日も良く働いたなぁ、と伸びをしながら横に目をやると、少し離れた所にリネの花が群生していた。リネの花はこの地方に咲く花で、サングの好きな花であった。丈が1メートルあり、上に大きな水色の花びらが5つ。美しくまっすぐ立つその姿を見ると、自分の背筋がのび、頑張ろう、と思えるのだ。摘んで帰ろう、花好きな母も喜ぶだろうと思い、花へと近づく。

サングは そこで思いもよらぬものを見た。リネの花に囲まれ、少女が横たわっていた。

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