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5.目撃 ティファニー
ラルキニアの森の鬱蒼と茂った緑の中を歩きながら、ティファニーは溜め息と独り言を漏らしていた。
「ミクトの奴、ホントは嘘だったとか言うんじゃねぇだろうな……何にもいねぇし。ホントに化け物なんていんのかね……」
森はいたって静かで、たまに聞こえてくる鳥の声以外何も聞こえない。所々に木漏れ日が射し込んでいてとても心地いい。自分がイメージしていた森とは全く違い、余りにも平和だ。とても人喰いの怪物がいるとは想像できなかった。
ずっと歩きっぱなしで疲れてきた。面倒臭くなってきて、帰ろうかな〜なんて考え始めた時。
近くで少女の話す声が聞こえてきた。
「は……?」
ティファニーは耳を疑った。空耳かと思ったが確かに少女が誰かに話しかけている。それにこたえるように獣の唸り声らしきものが聞こえる。
こんなところで何やってんだ? そう思い、声のする方に向かう。少しすると突然目の前が開け……
ティファニーは信じられないモノを見てしまった。