表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/39

第29話 アフリカ外遊5 20210911・加筆修正

2540文字 → 2749文字




 場末の酒場、それも明かりもろくに当たらないボックス席で悪巧みする3人組がいた。

 酒場の古臭いテレビから聞こえてくる実況中継を、横目に見ながら酒盛りをしている様である。

 

「なんか向こうばっかり楽しそうで、面白くないわよね~。でもこの後、ずっと面白くなるわよ♪」


「ほほう、それは楽しみだ。我が神の化身アトゥに乾杯!」


「彼も色々と仕込んでる様だね~、お手並み拝見といこうじゃないか。ア~ハハハ~♪」


 酒場のテレビの周りに群がっている酔っぱらい達の他にも、客が沢山居るにも関わらず不思議とこの一角に人は寄ってこない。

 その不思議に気がついている者は、此処には一人として居なかった。




 ◆




『実況のルイス・キャラウェイです。ただ今こちらの時間は、午前3時です。夜明けが近くなってまいりました』


『明るくなると、アトゥの活動時間を過ぎて、捕獲が難しくなります。夜が明ける前に、捕獲を終了したいですね』


『ジュリア・エリザベスさんは、映画女優として有名でいらっしゃいますが、現役の大学生で歴史(オカルト)や異種生命体の研究をされているとお聞きしています。今回はオブザーバーとして参加されていますが、邪神アトゥについてのコメントを頂けますか?』


『邪神アトゥについて、現在詳しい事は分かっていません。ですが、古い伝承や遺跡などに、邪神アトゥと思われる碑文や痕跡が残されています。地球が出来てから46億年、人類が地上に誕生しておよそ26万年ですから、地球の歴史から見たら人類の繁栄なんて、ほんの一瞬ですよね。太古において繁栄しただろう文明や生物も沢山居たでしょうし、もしかしたら邪神アトゥも、そんな滅びた生物の一種かも知れないですね』


『現在、人類が地球の支配者として繁栄しては居ますが、地球の方から見たら体にタカッテる蟻かダニくらいのもんだろう? 最近の異常気象や天変地異も、地球の活動からしたら身震いやクシャミくらいの事さ。星から見たら、そこにどんな生物が住み着いていようと、さほど関係はないのさ。今後も地球上に住んでいこういうのなら、地球が嫌がるような開発や環境破壊は、控えた方がいいんだろうな。まあ、それじゃ邪神アトゥが地球の使いや代弁者なのかっていうと、そんなことは絶対無いと言えるだろうね』


『それは、何故ですか?』


『それは地球が、生命の星だからさ。邪神アトゥの様な、生命その物を吸い取るような物が、地球の代弁者であるわけが無い。大いなる悪意しか感じないからね。実際に病気やウイルスといった物は、地球の環境が生み出すものだけど、全ての生物を絶滅に追いやるようなことはしていないからね』


『確かに、皇帝の仰るとおりですね。このままでは、地球上が全て砂漠になってしまいます』


『そろそろ捕獲が終了しますね。カウントダウンが始まりました。1047~!』


『1048~!』


『1049』


『ルシファー様、シールド圧力ガ急激ニ上昇シテイマス』


「何だって!? ベル、何か変化は無いか?」


『1050』


『1051』


「マスター、捕獲した時のアトゥの総質量と現在のシールド内のアトゥの質量が合いません。少なくなって来ています!?」


『1052』


「何だって? 少なくなっている……共食い……!!! マズイッ!」


『1053』


『1054』


『1055』   


「エイル、シールド最大出力! 全員緊急離脱、離れろーーーっ!』



『『了解、緊急離脱!』」


『1056』


『1057…END』


 ピシッ…ピシピシ……ドオゥーーーーーーン……



 カウント終了と共に、シールドのお釜の底が抜けた!

 結界陣で止まっているが、シールドの弾けた時の衝撃波が辺りを襲った。

 今にも決壊しそうに光が瞬いている。


『エイル、予備のシールドビットを全部出せ、抑えるんだ! ベルは状況確認、スクルドは和尚を頼む』


『「了解!」』


『なっ何があったんですか?』


『奴等、一箇所に集められて融合合体しやがった!』


『どういう事ですか?』


 ここに、ウルズが白衣に眼鏡姿で登場!!!


『それは、私が御説明いたしましょう』


『ッ!』


『邪神アトゥは、一にして千の顔を持つとされるナイアルラトホテプの化身。千だった者が1つに戻る事も、又、必然といえるでしょう。今、1つに成った事でチカラは一万倍を超えていると思われます』


『そんな……、無理です。そんな化け物を殲滅するなんて……』


『いいえ、ルシファー皇帝は、成し遂げられます。あれを御覧なさい!』




 10枚の光る翼をまとって、金色の聖人が巨大化した邪神に向かって飛んでいく。



『ウォッリャーーーーーッ!』 ……ドォッゴォーーーーーン……


 俺は今、バトルモードになって、キング・アトゥとも言える奴と肉弾戦をしている。


『ポジトロン・ブレード!』


 篭手の部分から光りが生えた。

 振り回される触手を当るを幸いに切り裂いていく。

 原子破壊されているので傷口は再生されない。

 捕縛結界が意味を持たなくなってきたので、早くシールドによる檻を完成させなければならない。

 俺は、その間の時間稼ぎに出てきたのだ。


『マスター、現在のアトゥは、通常時と比べて質量で300倍ほどですが、キルリアン強度及びエーテル圧力は、1万2千倍にまでなっています』


『小さくなってるのは好都合だ。エイル、シールドを3重に一気に張れるか?』


 ……ドゥッウーーーーーーン……


『可能デス、準備ニ90秒掛カリマス』


『ウルズ、そこに居るな!? BH砲の用意、シールドで抑えた瞬間を狙え!』


『了解しました、重力崩壊に巻き込まれないよう気をつけてください』


『お爺ちゃんは無事だよ。吹っ飛ばされた時に足を折れてるけど、命には別状はないよ』


 ……ドォッゴォーーーーーーン……


『伊達に御山で修行はしとらんわい、まだまだ若いもんには負けんぞ。痛っっ~』


『ティンカー達よ、結界域を圧縮、最大出力で囲め!』


「「「「「「「PiPiPi---!」」」」」」」


 ティンカー達が光り、五芒星(セーマン)となって捕縛結界が急速に縮んでゆく。


『エイル、今だ! シールドビットフル展開。BH砲の着弾後封鎖!』


 ティンカーの後を追うようにシールドビットが周りを囲む。


『BH砲・発射!』


『『BH砲・シュート!』』


 宇宙戦艦ヒルドの艦首に魔法陣が黒々と輝き、マイクロブラックホールが放たれた。

 邪神アトゥにブラックホールが着弾して重力崩壊を開始する。

 瞬間、シールドによって3重に封鎖された内側から縮んで行き、最後のシールドも共に砕け散って虚空に消え去ったのだった。


『ミッション・コンプリーートーーォ!』


『『『『『お疲れ様でした~』』』』』


 ……ほんと~に、疲れたよ……。




 ……ウォーー……ワァーー……ホヮーー………

 ………ワァーー……ワァーー……ワァーー……

 …ヤッタ~~…スゲ~~よ…スゲ~~よ~……


 世界中で、観戦していた人達は、狂喜乱舞してお祭り騒ぎが3日3晩続いた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ