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第20話 決戦・前編…発進!宇宙戦艦 20210906・加筆修正

3689文字 → 3708文字




 今夜は、満月である。


 そして月食は満月の晩に起きる。

 月食は平均して年に2回、内1回は皆既月食であることが多い。

 魔力を司ると言われる月が闇に染まる時、魔術的なイベントが発生するのも必然と言えるのだろう。

 年に一度の皆既日食の時は、絶好のお祭り日和となる訳である。


『そんな事は良いから、早く始めろ!』と、諸氏はおっしゃるだろう。


 祭りは、既に始まっていたのだ。

 闇の中、深き海底で……。

 

「プラズマソード改造型ドロイド(以後ソードマンと呼称)500機、深きものどもの先鋒と接触します。敵の数およそ3000!」


「まず、フウセン弾で迎撃、数を減らせ!」


「了~解、各自迎撃開始だよ~、イッケ~~」



 フウセン弾を3連射したところで接敵したソードマンは、その4本のプラズマソードで敵を切り裂いてゆく。

 着弾してフウセンが膨らみ、浮上して行く敵には目もくれずに残りの半漁人を刺身にする。

 ドロイド達は、6倍以上の敵を圧倒して殲滅した……のだが……。


 リーフの集中制御室。

 所謂メーンブリッジでは、空中投影型の大スクリーンに青い点と大小の赤い点による潰しあいが写されていた。

 後方に巨大な二つの円があり、その周りから小さな点が湧き出すように増えている。



「ダゴン及びハイドラの周囲から数え切れないほどの敵が発生しました。その数、およそ5万!」


「うわっ、海中ではやっぱり分が悪いかな~。パイルバンカー装備ドロイド(以後パイルマンと呼称)1000機で、敵の足を止めろ。……このままじゃ取り付かれるのも時間の問題か……」


「海中では、ビーム兵器、レールガン共に使用できません。浮上して海上で迎撃した方が良いかと思います」


「時間を掛ければソードマンとパイルマンで何とかなると思うけど、親玉はこっち来るだろうね」


「よし、各ドロイドは以後オートにて敵を殲滅。リーフは急速浮上、浮上と同時にミラーコーティング開始!」


「リーフ急速浮上開始します。機関出力70%へ……」


「ドロイド、オートパイロット・オン。各機、敵を殲滅せよ!」


「ミラーコーティング用ナノマシン準備完了。」


「浮上と同時に高度25メートルまで上昇。オールウエポンFree。」


ウ「浮上と同時に全武装解除します、オールウエポン・フリー」


「ソードマンは健闘してるけど、パイルマンの損耗率20%越えました。数に押されてる……」


「浮上まで後8分、海上より爆雷と思われる物体を多数確認、上面水流シールドの出力120%へ」


「そのまま爆雷を弾き飛ばせ!」


「接触します」


 ……ドゥ……ドドゥ……ドゥ……ドゥン……


「海上に複数の艦船が確認できます、大小合わせて35隻です。艦種照合・イリス及び先日の魚雷艇10隻。詳細不明艦2隻。その他22隻は、アメリカ第七艦隊と思われます」


「おおぉ~、ゲイリーのヤツ張り込んだな~♪ アメリカさんとイリスは沈めるなよ」


「この間から五月蝿かった魚雷艇は、沈めちゃってもいいよね~?」

  

「許す! 派手にやっていいぞ、どうせシシリーのサイボーグ部隊だろう」


「それじゃチョッと準備に行ってくる、ここはよろしく~」


「んっ、スクルドはどこに行くんだ?」 ……知ってるんだが、知らないふり知らないふり……


「うふふふww、こんな事もあろうかと超弩級打撃宇宙戦艦を造っておいたのよぉ~」


「ウオ~、すごいな~!」 ………おうおう、喜んでる喜んでる………


「ミラーコーティング終了と共に発進するよ~、お兄ちゃんも行こ~みんなも~」


「よし、みんなで行くか。ウルズは火器管制と航行、ベルは守備管制とダメージコントロールを頼む。離れててもコントロール出来るよな?」


「はい、問題ありません」


「大丈夫ですよ」


「それじゃみんなで繰り出すか、派手にいくぞ~♪」


「「「オォ~~!」」」




 ◆




 一方、イリスの甲板には、首領ダアトと東雲を除く11使徒がそろっていた。

 6人は、立体映像のヴァーチャルでの出席ではあるのだが……。

 シシリーが無線機に怒鳴っている。

 配下の魚雷艇からは、ありったけの爆雷が投下されている。

 第七艦隊は、静観の様子である。



『巨大円盤が浮上してきます。衝撃にお気をつけ下さい』



 ・・・ゴ・ゴ・ゴ・ゴォ~~ザザザザッ~~

 ・・・・・・・・ゴゴゴゴォ~~ザバッ~~ン~~・・・・


 浮上に巻き込まれて、魚雷艇が3隻転覆した。

 しかし、水中から飛び出してくる兵士たち……ロケットパックを装備しているようだ。

 後方にいた2隻の大型船に飛んで行く。

 

 

「っ、こんな巨大な物だったのか……。おい、空中に浮かんでいるぞ!」


『海抜25メートルで静止しました。推力に該当するエネルギーは検出されていませんので重力制御によるものと思われます』


「っ! 重力制御だと……、ホントに東雲なのか?」


「揚陸は難しいな、直接ロケットパックで取り付くしかないか?」


「少し引いてダゴンに叩いて貰いましょうよ。それからでも遅く無いわ、折角呼んだんだからさ~」


「よし、少し後退して出方を見よう。イリス、安全圏まで後退する」


『了解いたしました、後退いたします』


「イリス、引き続きアレの分析を頼む……」


「これだけの質量を飛ばしているエネルギーは何なんだ?」 ……知ってるが……


「こりゃ~すごいもんじゃの~」 ……ホッホッホッ……


「でかっ!」 ……ホントにおっき~……


「東雲とは何者なのですか?」 ……エイリアン?……


「………」 ………ほぉ~人類にしては中々………




 リーフは、浮上すると共にキラキラと輝いて全体が鏡のようになっていった。

 真下の海面には、ナニやら生物のようなものが多数浮上してきているが、月食とリーフの影によって判別は出来ない。

 程なく海面が泡立ち始め、巨大な生物が立ち上がった。

 全長50メートルほどもあるだろうか、二体の人型をした怪物、ダゴンとハイドラである。




「お兄ちゃん、この戦艦に名前付けてあげて、AIは女の子だよ」


「そうだな~、ヒルドはどうだ? かつて同じヴァルキュイアだっただろ」


「いいんじゃないでしょうか、戦いの女神にふさわしい名です」


「リーフのミラーコーティング、完了いたしました」


「リーフ下面兵装解除、レールガンによる雑魚の排除を行います。順次5mm・50mm掃射開始します」


「よし、君の名前は今からヒルドだよ。超弩級打撃宇宙戦艦ヒルド、発進!」


「発進イタシマス。ゲート開放!」




 リーフの下面から多数の照準用レーザーが照射され始めた。

 キュン、キュンという音が響くと共に海面に泡が立っている。

 レールガンに依る掃討が始まったのだ。

 ダゴンやハイドラなどのチカラある魔物は水を盾にしているようであまり効いていないようだ。

 水球を飛ばして反撃しているが、リーフには効いていない。

 リーフの上面中央付近にスリットが入り、銀色に輝く戦艦が姿を現した。

 姿を表したのは、全長200メートルの宇宙戦艦ヒルドである。


 ここで、スクルドがハッチャケて造った戦艦ヒルドを解説しよう。



 全  長 200メートル

 全備重量 13,000トン

 機  関 主機 1000カラット(200g)Eクリスタル ×1

      補機 100カラット(20g)Eクリスタル ×3

      大型斥力場発生装置 ×6

      小型斥力場発生装置 ×40

 武  装 艦首1000mm・BHキャノン ×2

     (平時は、大口径ポジトロン・ブラストとして使用、屈曲射撃可) 

      3連装200mm荷電粒子砲塔 ×3(屈曲射撃可)

      3連装150mm電磁投射砲塔 ×2

      対空30mm高エネルギーレーザー ×30(屈曲射撃可)

      ミサイル発射管 ×10

 装  備 全面鏡面装甲

      重力場シールド

      可変戦闘機ヴァルキュイア 5機

      重可変爆撃機 トール 1機

      無人戦闘用プローブ 30機

      無人万能プローブ 5機

      万能ランチ 2機


 ある意味バケモノである。

 地球征服出来るぞ!




『ダゴン、ウォーターボールで攻撃を開始しました。巨大円盤の下面より高速で質量弾が発射されています。深きものどもが掃討されているようです。続いて上面より戦艦の様な物体が出現しました」


「何だ! あれは? 艦隊は、THELの用意を開始しろ……」


「儂は、手を出さん方が良いように思うんじゃがの~……」


「イリス、ダアト様からは何も言ってきていないのか?」


「はい、その後の指令は送られてきておりません」


「どうしたら良い? あんなのとどうやって戦えと言うんだ……」


「私の部隊で攻撃してみよう、空を飛んで居ようと、どうせ虚仮脅しだ……」


「ダアト様は、我々の力を信じておるのだ。シシリー殿、お願いしますぞ」


「分かった。サイボーグ部隊は、攻撃を開始せよ!」


 シシリーの部隊、残っていた魚雷艇からは小型の対艦ミサイルが発射された。

 後方に居た2隻は、強襲揚陸艦の様で小口径だが、艦砲の砲撃が開始された。

 そして揚陸艦から4機の戦闘ヘリとロケットパックによりサイボーグ兵士が飛び立って行くのだった、その数800。

 一斉に発射されたミサイルと砲弾によって 一瞬真昼のように明るくなった。


「ほぉ~、アレだけの攻撃に傷も付かんか……」


『空中の戦艦に損傷は認められません。シールドの様な物が存在するようです』


「なんだと? 小癪な、攻撃を続行しろ!」



 それは、一瞬の出来事だった。

 ビカッビカッっと大量の光の粒が走り抜けたのと同時に、戦闘ヘリとサイボーグ兵士は火達磨となって海に落ちていった。






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