プロローグ2 オージンとの出会い 20210904・加筆修正
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……俺は死んだのか?
俺の名は 東雲 瑛 、今世紀最高の天才科学者だ。
……死んだ後だし、だったが正しいのだろうか。
量子コンピューター研究の権威として若干28歳で光量子コンピューターを完成させた。
ちょっと危ない研究もしていたからだろう、人によってはマッドだの鬼才だのキチガイだのと、マ~散々色々と言われていたけれど、まさか30歳前にして死ぬとは俺も思ってなかった、滅気る……。
俺を殺したのは、生命の樹って言う秘密結社なんだけど、俺が結社の資金を使い込んだのがバレたんだろ~な~。
研究していた光量子コンピューターは一応の完成を見たんだけど、その後に研究しろって言ってきたのが自立型戦闘ドロイドの開発だった。
やりたい仕事でもなかったから資金だけパクって適当に流してたからな~、バレても仕方がない。
俺の完成させた光量子コンピューターって言うのは 量子ビット演算を行うのに光子を使うんだけど、クォーツの圧電振動によるクオンタム屈折を利用して実現したんだ。
しかし、出来上がったのが膨大な電気食いで本体の大きさが高さ100メートルのビルくらいある。
まともに稼働させるには、原子力発電所をひとつ食いつぶす位の電気が必要なんだ。
それでも今までなら何年もかかる様な計算がほんの数秒で終わるって言うんだからすごいだろ。
実はホントのところ、実用的な小型化にも成功していたんだがそこの話はまた今度にしよう。
実際、隠れてやってた助手用アシスタント・ドロイド3体のバージョンアップにハッチャケ過ぎて、湯水のように金を使っちまったんだよな~。
途中からドロイドの範疇を飛び越えて、これ1体で国落とせるんじゃねっ? って くらいの代物になってたのは秘密だ……。
アッ!
自立型戦闘ドロイドって、そのまんまうちの助手を見せれば良かったのか?
いや、それは駄目だ!
彼女たちは俺のもんだ……誰にも渡さん。
当然助手は女性型……男なんかと一緒に仕事が出来るかよ、ケッ。
(それで死んでたら 意味が無いと思うぞ……)
うんっ?
今なんか聞こえたような……キョロキョロ。
彼女たちも暗殺部隊が雪崩れ込んできた時に撃たれていたし、性能はSSS級だけど強度はそれなりだったからな~、多分壊れちゃっただろうな~。
本物の人間以上に、スンバらしい体に創り込んで苦労したのに、残念だ~……。
それにしても何で俺は、意識が有るんだ?
死んだんだよな??
ンッ!
そこに 誰かいるのか?
気配のするほうに振り返る……アッと体がなかった……でも見えるな?
目の前には、黒ずくめの片目の爺さんが居た。
(やっと儂に気がついたかよ……、久しぶりじゃな……ロキ…よ……)
(……あんた誰だ? それに俺はロキなんて名じゃね~瑛だ)
(オオ、そうであったな。悪かった瑛よ。儂はオージンと言うジジイだ)
(エッ! オージンってたしか北欧神話の最高神だったような?)
(そうじゃ、そのオージンじゃ……)