道なき道なき
テストです。
嵐の夜、ドアを開けたまま立ちつくす少年の影と横たわる一つの死体があった。
少年はその場から走り去る。土砂降りの雨の中、闇に消えるように…
街の路地裏
帽子をかぶった少年(名前はピーター)が言う。
「ノエル、あいつ人を殺っちまったんだって…」
黒髪の少年(名前はノエル)は不機嫌そうに答える。
「あぁ、話は聞いた。」
ピーター
「まだ見つからないらしいぜ、警察だって聞きに来るぞ、どうするんだ?」
ノエル
「アイツとは何の関係もない。」
ピーター
「ほかっとくのか?」
「おっおい、どこ行くんだよ。」
立ち去ろうとするノエルに対して別の少年が呼び止める。
「よー、ノエル。」
見事なリーゼントの少年(名前はエドワード)だ。
ノエル
「お前はエドワード。」
エドワード
「そう言や、カイルのやつ、とうとう人を殺っちまったんだろ?」
「普段からナイフを持ち歩いてるから、ブスッと殺っちまうんだ!」
殺人容疑の少年(名前はカイル)頬にナイフで斬られたキズがある。
ノエル
「うるさい、消えろ!」イライラするノエルにエドワードは笑みを浮かべる。
「なにニヤついてやがる。」
エドワード
「なに熱くなってんだ?お前らしくもない。」
「今やってもオレには勝てないぜ!」喧嘩の事を言う。
ピーター
「ノエル、誰だコイツ?」
「なんならオレがやってやる。」臨戦態勢だ、殴りかかろうとするピーター
ノエル
「やめろ、ピーター!」
ピーター
「何でだよ!」
エドワード
「やっと冷静になったみたいだな。」
ノエル
「何でお前がカイルのことを知ってんだ?」
エドワード
「よぉーく知ってる。こないだ一緒に遊んだからな。」
ノエル
「遊んだ?喧嘩だろ。」
ピーター
「コイツ、いったい誰だ?」
ノエル
「さぁーな、右も左も知らない田舎者(よそ者)だ。」
ピーター
「知らないとは怖いねぇ、この2人とやりあうんだから、大したもんだ。」
エドワード
「で、どうすんだ?」
「とりあえず行ってみるか?」
ピーター
「行くって何処にだよ、あいつを探しにか?」
エドワード
「違う違う、見つかりたくないから隠れてんだろ?探しちゃ悪い。」
ピーター
「じゃあ何処だよ。」
エドワード
「決まってるじゃねーか、警察署に。」
ピーター
「バカ言え、昨日もスリの容疑で連れて行かれた。また行ったんじゃ本当に共犯にされかねない。」
ノエル
「お前は来なくていい。」
「あいつはオレの敵だ。」
ピーター
「何だよ水くさい、悪さはお前に負けるからな、お前が行くならオレも行く!」エドワードの提案だから不安があったようだ。
エドワード
「今日は調書を取られに行くんじゃない、取りに行くんだ。」
ノエル
「分かってる、どれだけアイツ(カイル)の事を調べ上げたのかをな。」
ピーター
「まぁ仲良くやろうぜ、エド。」あだ名で呼ぶ
エドワード
「仲良くねぇ」
街なか
言った早々、2人は喧嘩を始める。
「キャァー、ケンカよケンカ」露店のおばさんが叫ぶ
「ヤレ−!そこだ!」
「右だ、右!」「今のは左だろ。」野次馬たちも負けちゃいない。
ノエル
「おばさん、オレが止めるよ。」
「おばさんは警察を呼んできて。」
露店のおばさん
「またアンタね、待ってなさい。すぐに警察を呼んでくるから。」
野次馬たち
「おっ、ノエルだ!」
「やっちまえ、俺はお前に賭けるぜ!」凄いエール
ノエルはかるく手をあげ応える。
ノエル
「2人ともやめろ!」
エドワード
「誰だお前、外野は黙ってろ!」
ピーター
「ノエル邪魔すんな、コイツだけは…」
「オレの大事な帽子を…」
エドワード
「おぉっと、手が滑った。」
わざとエドワードはノエルを殴り、ノエルも殴り返す。
盛り上がった野次馬たちも混ざり、騒ぎは大きなものとなる。
そこへ警察たちがやって来た。
警察1
「何だこの騒ぎは。」
警察2
「そこのガキども何やってる。」
野次馬たち
「見りゃ分かるだろ!」
警察1
「またお前か。」ノエルを睨む
ピーター
「やっと来てくれたか…」この2人は演技なのか?と思い呟く。
警察2
「お前達がこの騒ぎの元凶だな、クソガキども署まで来い。」
「ゆっくり話を聴いてやる。」わりと素直に捕まった。
ボロボロな小屋
そこには夕日で赤く染まる少年の姿(抜け殻)があった。
カイルだ。
カイルはあの晩の出来事を思いかえしていた。
あの日の夜、そこにはもう一つの影があった…
カイル
「誰だ!?」
謎の男
「シー!」口に指を当てる男、目を凝らすカイル
カイル
「レスタさん?」カイルとノエルを可愛がっていた先輩。右の眉に銃の角で抉られた傷がある。
レスタ
「久しぶりだなカイル。」
「大きくなったな…」
カイル
「何でレスタさんがここに居るんだ?」
「死んだって…」
レスタは死体に刺さった血のついたナイフを拾う。
レスタ
「何か言ったか?」死んだはずの人がここに居るということは良くない力が働いていそうだ。
「もっと利口に生きるんだな。」
カイル
「まさかレスタさんがこんなことを?」
「ここまでしなくても…」
レスタ
「生きるためだ。」
カイル
「オレやノエル達はあんたを尊敬してるのに…」
レスタ
「ノエルか…懐かしい。」
「よろしく言っておいてくれ。」
カイル
「…。」ノエルには言ってもいいのか?
レスタは2人が敵対している事を知らない。レスタがいたら昔みたいに、と思い言葉に詰まる。
カイル
「もう戻れないんですか?」
レスタ
「戻る?どこにだ?」
「早く逃げろ、お前が捕まるぞ。」
カイル
「…。」自分の知らないレスタを見るように嫌な目をする。
レスタ
「後悔してるのか?オレと出会ったことを?」
カイル
「何で?」出会ったことよりも出会したことかな?返事が出来ない。
「レスタさんは?」
レスタ
「していない。」
「分かったか、早く行け!」
カイル
「…。」立ち去らないカイル、やはり納得していない。
昔の優しいレスタを思い出し寂しい気持ちになる。
レスタ
「そんな目をするな、お前には似合わない。」
「もし捕まったらオレの名を出せ、分かったな。」立ち去るレスタ
カイル
「…。」
「分からねぇよ。」闇に消えるレスタを呼び戻すいきおいで叫ぶ。
警察署の前、少年は腹を括る。
カイル
「オレ知ってるよ。」
「今回の事件の事…」
その頃3人は取り調べを受けている最中である。
ノエルはうすら笑いを浮かべ警察1を睨み、
エドワードは眠っている。
ピーターはタバコに火を付けようとする。
警察1
「お前ら警察を舐めてるだろ。」
「そこの帽子のヤツ、タバコを吸うな!」取り上げる
警察2
「全く、親の顔が見てみたいものだ。」孤児も多い時代なので煽る。
ピーター
「何だと!」ムキになるピーター。親を尊敬しているのだ。
ノエル
「子を見れば親がわかるのか?」冷静に質問に変える。
ピーター
「オッサン歳いくつだ?」警察2にむかって言う。
ノエル
「コイツと同じ顔をしてるんだって、子供も可哀想にな。」
ピーター
「きっと鏡見たら自殺するぜ、どの顔下げてんだ?」
警察1
「黙れ!」
「どうも状況が分かってないらしいな。」
警察2
「口の利き方を教えてやる。」
するとドアを開け他の警官が入って来た。
警察3
「少しいいですか?」
「実は…」こちらに聞こえないように話す。
警察1
「んー、何ぃ⁈」
「お前らカイルと言うガキの仲間か?」
「もしかして事件のことを知っているのか?」
警察2
「それで街で騒ぎを起こし、ヤツに自首する時間をあたえた。」
「立派な共犯だ!」情報をあたえるなんて間抜けな警官だ。
ノエル
「カイル?誰だそいつ?」
「知ってるか?」
ピーター
「い、いや知らないな、初めて聞いた。」
警察1
「本当に知らないのか?」少年達の顔色をうかがいカマをかける。
「嘘をつけば罪が重くなる事を知らないらしいな。」
ピーター
「…。」ピーターは黙り込む。
警察1
「後で一人一人ゆっくり聞いてやる。」
エドワード
「嘘は罪なのか?」
このままだとマズイと思ってか目を覚ます。
警察1
「当たり前だ!」
警察2
「いったいどんな教育を受けて来たんだ?」
ノエル
「へー、ならそいつに会わせろよ。」
「本人の口から聞いてみたいもんだな。」
ピーター
「脅したんじゃねえのか?」
「全く困ったオッサンだぜ。」調子が戻るピーター
警察1
「お前達、立場が分かってないようだな。」
エドワード
「立場って何だよ。」
ピーター
「オレ達も脅す気か?」
「あっ、もう脅してるのか。」
ノエル
「そいつはいけないな。」
「立派な犯罪だ!」
警察1
「黙れー!!」ブチ切れた。
3人は警察から袋叩きにされる。
警察たちの気が済んで、返された夜道。
ピーター
「本気で殴りやがった。」
「でも親を呼び出されなくて良かったな。」
ノエル
「ハハッ、これじゃ呼びたくても呼べないだろう。」
ピーター
「全くナメてるよな、人の顔だと思って遠慮なく。」警察2の顔のことをイジったからだろう。
「それに悪ガキだから親や近所の人も俺ら(警察達)がやったんだと言っても信じないだろうぜ。だって。」
ノエル
「今に始まった事じゃない。」
ピーター
「でもアイツ自首したとか言ってたな…」
「本当にアイツが殺ったのか?」
エドワード
「さーな。」
ノエル
「殺る訳ないだろ!」少し熱くなるノエル
「またひょっこり現れるさ。」
エドワード
「それにしても風が気持ちいいな。」殴られた頬を抑える。
ノエル
「ああ、いい薬だ。」
ピーター
「ちっとも効かねぇけどな。」
「じゃあ、オレ家あっちだから。」
ノエル
「またな。」
エドワード
「楽しかったな、また遊ぼーぜ。」
ノエル・ピーター
「あー。」
3人はそれぞれの家に帰る。
ノエルは家へかえり疲れて眠りにつく時、兄が部屋に入ってきてノエルの頭を殴る。
ノエルの兄、レスタと同級生(名前はクリス)
ノエル
「テメェー。」
クリス
「何だその目は…」
「学校にも行かず、また悪さをして来たらしいな。」
「進路を決める大事な時に、そんな事でしか自分の存在を確かめられない生き方はやめろ!」
「父さんが生きていたらどれだけ悲しむか…」
ノエル
「関係ないだろう。」
クリス
「お前はこの家の恥だ、出て行け!!」
ノエル
「フッ。」鼻で笑い立ち去る。
ノエルは家を出てピーターの家に行き、そこの家畜小屋で眠る。
3年前の2人のケンカとカイルの頬の傷。
カイルが一方的にノエルを殴る。
カイル
「お前がいけないんだぞ。」
「アイツ達はオレを殺す気なんか無かったのに喋りやがって、」
「アレはオレ達だけの秘密だったろ!」
アレとは拾った拳銃の事で、普段は2人だけの秘密の場所に隠していた。
ノエル
「…。」
カイル
「どうした?かかって来いよ!」
「助けてやったんだ?英雄気取りか?」カイルはノエルを殴るがやり返さない。
カイル
「何だテメェ、かわせるものもくらいやがって。」ますます腹を立てる。
ノエル
「…。」
カイル
「フヌケたな貴様も。」
ノエル
「すまなかった。」
カイル
「すまなかった?」
「こんなヤツがよく上に立てたもんだ。」
「今まではレスタさん(少年ギャングのリーダー)がいたからか。お前はお気に入りだったもんな。」
「だから年上のヤツにナメられるんだ。」
「まあ、あの人も所詮は負け犬。」亡くなったレスタを悪く言う。
ノエル
「…。」その言葉を言いたく無いのはノエルが一番分かっていた。それだけカイルは頭にきている。
カイル
「本当に呆れたヤツだ。こんな事言われてもダンマリとはな。」
「今日からお前とは敵だ。」
「会った時はタダじゃ済まさない。」
「分かったな!」
最後に思い切り殴り、
ノエルは目を覚ます。
ノエル
「痛っ」昨日の警察のせいでイヤな夢を見てしまった。
ピーター
「大丈夫か?うなされてたけど。」
ノエル
「ピーターか、おはよう。」
「大丈夫、ただの夢さ…」
ノエルはピーターの家の仕事をし、しばらくお世話になる。
ノエル
「すまないな、何日も泊まっちまって。」
ピーター
「そんなこと気にすんな。」
「家畜小屋なんだから。」少し申し訳なさそうに小声で言う。
「それにお前が居てくれたおかげで仕事が楽になったんだ。」
「なんならここで働くか?」
ノエル
「いや、これ以上ここに居るとお前の親にもバレるだろ、お前も怒られるぞ。」
ピーター
「気にするなゲンコツの一つや二つ。」
「それにもう気づいてるよ、親もそんなに馬鹿じゃない。見て見ぬふりをしてるだけさ。」
「実際、仕事増えてるし。」積んであるワラや餌袋の量が増えている。
「にしても、お前の兄貴も呑気だよな弟が三日も帰ってこないのに警察1匹よこさない。」
「警察も仕事がなくて悪さするんじゃないか?」
ノエル
「…。」仲が悪くても兄の嫌味は気に入らない。
少し怒った目をする。
ピーター
「ゴメン、そんなつもりで言ったんじゃないんだ。」
ノエル
「何もい言ってない。」
ピーター
「目が言ってるよ。」
「まあ、それだけ兄貴に信用されてるって事だな。」上手く誤魔化す。
「そうだ、今日は天気も良いし午後から釣りにでも行かないか?」
「気晴らしにさ。」
ノエル
「いいな、バズも誘うか。」
ふくよかな体型の少年、ノエルの幼馴染(名前はバズ)
ピーター
「アイツは学校があるだろう。」義務教育なのに他人事みたいに言う。
そこへ太った少年がやって来る、バズだ。
バズ
「大変だー!」
ピーター
「噂をすれば、か。」
ノエル
「どうしたんだ?」
バズ
「あいつ、ハァー、あいつが…」慌てて走ってきたからか息を切らす。
ピーター
「アイツじゃ分からないぜ。」
ノエル
「落ち着けバズ。」心配そうに背中をさする。
バズ
「カイルが…」
「カイルのヤツが死刑だって!」
ノエル・ピーター
「…。」絶句し沈黙の時が流れる。
ノエル
「何言ってるんだよバズ、冗談だろ?」
ピーター
「バズにしちゃ面白いジョークだ。」2人とも動揺をかくす。
バズ
「冗談なんかじゃない。」2人の顔を見る。
「ほら。」
今朝の新聞を見せる。
ノエル
「…。」言葉を失う(文字が読めない訳ではない)
ピーター
「ノエル…。」肩に手を置こうとするが出来ない。
ノエル
「オレ達はアイツを殺す手伝いをしたのか?」
「まだ子供なのに、何でこんな時だけ平等(死)の裁判を受けるんだ。」
「バズ、刑はいつごろだ?」
バズ
「昼ごろって書いてあった。」
ピーター
「早すぎないか!?」
ノエル
「…。」
「昼か…。」
「無理だな、ヤツの死にザマを見たかったが。」
ノエルはピーターに話をふる。
ピーター
「あっ、ああ、釣りに行かないと行けないからな。」無茶振りしやがって。
バズ
「何だよお前ら、頭おかしいんじゃないか?」
「あいつとはよく遊んだじゃないか。」
「普通じゃない。」顔が絶望に変わっていく。
ノエル
「なんならバズも来るか?」
「学校なんかサボって気晴らしに。」
バズ
「そんなんで気が晴れるか!」
「見損なったぜノエル、もうお前とは友達じゃない。」
「他のやつに頼む…」でもアテなんかない。
ノエル
「止められないぜ、国の決めた事だ。」
バズ
「…。」無視をする。
バズはトボトボと帰り、後ろ姿を2人は見送る。
ピーター
「あーあ知らないぜ、お前ら昔っからの親友だろ。」
ノエル
「あぁ。」
ピーター
「お前なら何とかしてしてくれるとと思って来たんだぜ。」
「そりゃ、バズはお坊ちゃんで大人から悪ガキ扱いされたくないのは分かるけど…」
「バズは…」
ノエル
「でもバズの親や身内に悪い。」
「これでいいのさ。」
ピーター
「何か、そんな所レスタさんにそっくりだな。」
「そんな所イヤだって、あのレスタさんに言ったのは誰だっけ?」
ノエル
「分かってる。」反省をする。
ピーター
「後でバズに謝れよ、アイツが分かってくれるか分からないけどな。」
ノエル
「あぁ、いつもすまない。」
バズは途方にくれている。
エドワード
「ヨー、バズだったっけ?」
「どうしたんだシケた顔しやがって。」
「あー、悪い悪いもともとか。」
バズ
「うるせー!ほっといてくれ。」
バズはエドワードの方を見る。
バズ
「お前も釣りに行くのか?」
エドワード
「あー、暇つぶしにな。」も?まあいいか。
「お前も来るか?楽しいぞ。」
バズ
「いい、お前もノエル達と一緒だな。」
エドワード
「何が?」
バズ
「…。」無視をする
エドワード
「ところで海どっちだっけ?」
バズ
「自分で探せ!」と言い放ち立ち去る。
エドワード
『何、怒ってんだ?』
と考えながら、しばらく歩く先に2人がいた。
ノエル
「エドワードじゃないか。」
エドワード
「やー、お2人さん朝早いな。」
ピーター
「エド、竿なんか持ってどうしたんだよ。」
エドワード
「見りゃ分かるだろ、釣りに決まってるじゃないか。」
ピーター
「海はこっちじゃない。逆だ。」
エドワード
「…。」そうなのか
「知ってるさ2人を誘いに来た。」
ノエル
「嘘つけ!」
「それより、バズに会わなかったか?」
エドワード
「ああ会った。何か怒ってたみたいだな。」
ピーター
「そりゃ怒るさ、そんな格好を見たら。」
エドワード
「何で?」お前達と何かあったんだなと、伺う。
ノエル・ピーター
「…。」
ピーター
「今日、カイルが死刑にされるんだ。」
エドワード
「まさか…なるほど。」
「それでバズがココに来たが、お前達は断った。」
ノエル
「ずいぶんと落ち着いてるな。」
エドワード
「で、何を企んでんだよ。」嬉しそうに尋ねる
ピーター
「どうやって死刑を中止させるんだ?」
ノエル
「人がいるな、出来るだけ多くの…」
エドワード
「署名活動でもするのか?」
ノエル
「今からじゃ遅いだろ。」
ピーター
「でもカイルの為にどれだけの仲間が集められる?」
「アイツの場合、いない方がいいと思うヤツばかりだぜ。」
エドワード
「なら脅してやれ。」
ピーター
「そのやり方はカイルと一緒だ。」
ノエル
「オレが言いたいのはそんなんじゃない。」
「カイルは殺っていないし、証拠がないはず。」
「それなのに死刑にするのはおかしい。」
「きっと大勢の人がそう思っている。」
ピーター
「バレたらまずい事があるんだ。」
エドワード
「アイツがヤッコさん家から出てきただけなんだろ。」
ピーター
「しかしそれは決定的だな。」
「未成年が酒場で何してたんだって話になる。」
「他のヤツが現れなきゃダメって訳か…」
エドワード
「まさかオレ達もその場に居たって言うのか?」
ノエル
「共犯になってどうする。」
「死体が増えるだけだろ。」
ピーター
「じゃあ何だよ人がたくさん要るって?」
「それにそう簡単に人が集まるか?」
エドワード
「分かった。」
ピーター
「何だよ。」
エドワード
「はじめから人のいる場所だ。」
「処刑場へ移される道で、一番人通りが多い所を狙うんだな。」
ノエル
「そこで騒ぎを起こす。」
「護送車が来るまでは大人しくな。」
ピーター
「また喧嘩でもするのか?」
「エド、お前、今度は手加減しろよ。」痛いのはイヤだ
エドワード
「違うな、警察達の目の前で物を盗む。」
ノエル
「そんなんじゃ、軽くあしらわれるだけだ。」
ピーター
「じゃあ仲間を集めてお祭りだな。」
「足止めする事くらい出来るだろ。」自信を持って答える
エドワード
「さっき自分が集まらないって言ったろ。」
ノエル
「来ても30人くらいだろうな、微妙だ。」
「それにそれだけの子供達がたむろしていたら、逆に警戒されるのがオチだ。」
「オレ達の姿を見つけたらすぐに捕まえるだろうぜ。」
ピーター
「確かに、あんな騒ぎをおこした後だからな。」
「でも少人数でどうやって食い止めるんだよ。」
ノエル
「それにはお前の協力が必要だ。」
ピーター
「オレはお前のためなら何でも協力するぜ。」
ノエル
「…。」目で言う
ピーター
「まさか…」
ノエル
「あぁ、頼む。」
ピーター
「構わないさ、さっきも言ったろ。」
エドワード
「何だよ。」除け者か?
ピーター
「面白くなって来たなエド。」エドワードの肩を組む、身を任せるように。
エドワード
「あー、よく分からないけどな。」
白昼の商店街
いつもの様に賑わっている中、3人は潜む。
ノエル
「それにしても何で死刑なんだ。」
エドワード
「まだ言ってるのか?」
ノエル
「人の命はそんなに安いものなのか?」
エドワード
「まあ、奪うのは容易いな。」
ノエル
「カイルが殺ったなら、どうして他人がヤツを殺せる?」
「そいつも人殺しじゃないのか?」
エドワード
「そいつは死神さ。」
ノエル
「死神?」
「なら裁いたヤツは?」
エドワード
「ゼウスさ。」
ノエル
「随分と安っぽい神なんだな。」
「それが神だと言うのならオレは悪魔になってやる。」キレ気味だ
エドワード
「だがこんな時は神だのみだな。」落ち着かせる
ピーター
「来たぞー!」
ピーターが知らせに来る。
ノエル
「いつも時間にルーズなヤツだ。」
ノエル・ピーター・エドワード
「…。」3人はタイミングを見計らう。
ノエル
「今だ!」
一斉に用意していたカゴを開けた。
ニワトリだ。100羽以上いる。
馬車は止まり、馬達は暴れ出し警官はふり落とされる。警察は騒ぎを止めようとするがすごい人の数。
次第に砂埃が周りをつつむ。
3人は警察を殴る。
あの時の恨みを返すかの様に。
警察1
「貴様らぁ、警察にこんな事して、タダで済むと思っているのか?」
エドワード
「思ってたらしてないさ。」
警察1
「口の減らないガキだ。」
警棒で少年たちは殴られる。
エドワード
「どうした、もう終わりか?」頭から血を流し、片目を開けて警察を煽る。
警棒を振り上げた状態でかたまる警察。
砂埃が消えたのだ…。
エドワード
「顔色がすぐれない様だが。」
警察が少年たちを一方的に殴っている所だけ人々の目に映る。
ピーター
「死刑囚が逃げたぞー!」
騒ぎの中、ノエルが鍵を開けていたのだ。
民衆は騒ぎ逃げ惑う中、一発の銃声が響いた。
「パーン」騒ぎは鎮まる。
警察4
「皆さん落ち着いて、動かないで下さい。」
ノエル
「そう、落ち着いて下さい。」
「囚人はまだこの中に居ます。」馬車の扉の前に立つ。
民衆はノエルの方を見る。
ノエル
「でも、もう少ししたら彼は此処から居なくなる。」
「もう笑う事、泣く事、人を殺す事、見る事もない。」
「死ぬんだ!」
「どれだけの人が知ってる?彼の事、カイルの事を?」
「事件があった事を知っていても彼を知らない。それが真実なのか?」
「真実は彼も知らないかもしれないのに、他人に何が分かる。」
「これじゃ知らない事のための犠牲者だ。」
「自分じゃないから?」
「それでいいのか?」
警察1
「黙れー!」
警察2
「ヤツは自分が殺したと言っている。」
「ここにサインだってある。」
エドワード
「そう言った?」
「聞きたいもんだなぁ、これだけの証人の前で。」
ノエルは扉を開ける。
警察1
「早く閉めろ!」
「アイツを拘束するんだ!」
慌てる警察たち、しかし民衆が道を塞ぎ動けない。
ピーター
「客が待ってるんだ見せてやれよ。」
ノエルは馬車に乗り込みカイルの頭に被った麻袋を外す。
ノエル
「…。」カイルの顔を見て言葉を失う。
「見せものなんかじゃない。」
カイル
「…いいんだ。」
よろめきながら自ら馬車の外に出る。
カイルは怯え震える。光に?それとも人に?
人々は驚く、傷だらけのその姿に…。
ノエル
「大丈夫か?」カイルは馬車の中に戻ろうとしたのか、よろめいたのかノエルが支える。
「カイル、ジェイクさんを殺したのはお前なのか?」
カイル
「…。」カイルは周りを見渡す。
ノエル
「答えろ、ここで一生が左右されるんだ!」
カイル
「うぅ…。」歯を食いしばり涙をこらえる。
ノエル
「何に耐えてるんだ。」カイルの表情に戸惑う。
「…言わなきゃ判らない。」
警察1
「殺したのはお前だろう!」
ビクつくカイルに睨みを効かせる。尊厳を奪い奴隷以下の扱いをしたのだ。
カイル
「…は、はい。」
大泣きする。
不良とはいえまだ子供。
これで人生が終わるんだと…。
警察2
「聞いたろ、放せ!」
民衆の手を振り払おうとするが放せない。
エドワード
「何を聞いたんだ?」
「どう見ても言わせた様にしか見えないぜ。」
ピーター
「あんた頭まで悪い様だな。」(顔だけじゃなく)
エドワード
「下手すりゃお前が檻の中だ。」
民衆はまた騒めきはじめた。
ノエル
「大丈夫だ。」カイルの目の下を指で拭う。
カイル
「ノ、ノエル…。」
ノエル
「何だ?」
カイル
「…レスタさんがよろしく言ってた…。」
ノエル
「…。」考え中
「レスタが?」ノエルの表情が変わる。
「ハハハッ。」壊れた。
ノエルはカイルに殴りかかる。
ノエル
「テメェー、アイツがそんな事する訳ねえだろ!」
エドワードが素早く止めに入る。
「やめろ、殺す気か?」
「これ以上やったらポックリ逝っちまうぞ。」
「今までやって来た事が…。」
ノエル
「知るか!放せ!」ピーターも止めに入る。
カイル
「アハハッ。」
「冗談だよノエル。」
「フヌケたなんて言って悪かったな。」
ノエル
「お前…。」いつものノエルに戻る。
「いつも世話がかかる友だ。」
カイル
「オレはお前が気に入らなかった…。」
「何をするにも、オレじゃなくてお前なんだ。」
「お前だったらと何時も思ってた。」
不器用な彼の最高の褒め言葉であり笑顔を見せる。
民衆はうるさく口を叩く。
騒ぎを終わらせるためカイルは再び馬車の中に戻された。
警察4
「騒ぎを起こした君たちにも来てもらう。」
「もうしばらく待ってくれたまえ。」話の出来そうな人だ。
警察4は警察1に尋ねる。
「ところでこれはどう言う事だね?」
「あれは囚人が自分で身体を壁にぶつけて出来た傷だと言うのに、少年達を殴ったりして矛盾が多くないか?」
警察1
「私達に少年が殴りかかってきて…」
警察4
「死まで追いやるつもりか?」
警察1
「それは…。」
警察4
「静粛に!」
「この件につきましてはもう一度、正式な裁判を行います。」民衆に向かい公言する。
「君たちのもだよ。」警察1・2を睨む。
警察2
「そんな…。」
警察1
「この件には大きな裏があると思いまして。」
警察4
「それで裏切りかね。」もはや聴く耳を持たない。
しばらく騒めきが続く。
そこへバズがやって来た。
ピーター
「おーい、バズこっちだ。」手を振り叫ぶ。
バズ
「一体どうなってるんだ?」
ピーター
「そんなことより、なんかアイツ笑ってやがるぜ。」
「ムカつかないか?」
バズ
「やっぱり、この騒ぎはお前たちだったんだな。」
ピーター
「いっぺん殴ってやれ!」
大事な商品を逃がされた仕返しなのか?バズにけし掛ける。
バズ
「アイツなんかどうでもいい。」
ピーター
「おい、男ならゲンコツ一発で全てを許すもんだぜ。」ピーターのお父さんがどんな人か目に浮かぶ。
バズ
「時と場合による。」
ノエル
「バズ!」
こっちに気付き寄って来る。
ノエル
「何でこんな所にいるんだ?」
「学校はどうした?」
バズ
「お前こそ釣りに行ったんじゃないのか?」
ノエル
「あぁ、でも今日は行けないかもな。」
「もしかして一緒に行きたくてサボったのか?」
「悪い。」
バズ
「悪い?」
バズは怒り、思いっきりノエルを殴る。
ノエル
「バズ…。」
バズ
「今度こんな事したら許さないからな。」
ノエル
「あぁ、わかった。」頬に手を当て反省をする。
「お前はオレの大事なツレだ。」
エドワード
「そうそう、お前もこれから一緒に警察署に行く道づれだ!」
バズ
「何?」
ピーター
「いやー、めでたしめでたしだな。」
バズ
「ちょっと待て、そう言えばお前も共犯だろ!」
ピーター
「何言ってんだよバズ。」
「さっき言ったろ、男ならゲンコツ一発で許すもんだって。」
「って事は、オレは時効って訳だ。」共犯は否定しない
バズ
「何言ってるんだよ、お前の分はまだだ!」
バズはピーターを追いかけるが、バズも警察に捕まり連れて行かれる。
警察4
「道をあけて。」
その夜、警察署の前に一人の男が姿を現す。
警察4
「お前はレスタ。」
「生きていたのか…。」
レスタ
「お久しぶりですスミスさん。」
「少しいいですか?」
2人は闇の中に消えた。
数日後
バズ
「今回の事件、カイルは無実だって。」ノエルに話しかける。
ピーターが走りやって来る。
ピーター
「カイルのヤツ、家に居なかった。」
「もぬけの殻だった。」
「せっかく無実を証明出来たのに。」
ノエル
「仕方ないさ、ずいぶん世間を騒がせたもんな。」
エドワード
「この街には居づらいだろ。」
ノエル
「生きていればまた会えるさ。」
バズ
「そんな事より新聞見たか?」
「あの警察がジェイクさんと揉み合いになり殺したと、そしてたまたま居合わせた少年に罪をなすり付けたんだって。」
エドワード
「何だか悪いことしちまったな。」
「せっかくの完全犯罪を。」
「まー救いは死刑制度の見直しがあり、無期懲役になったって事だな。」
ノエル
「エドは本当にそう思っているのか?」警察が犯人だと?
エドワード
「お前みたいに、そう思わない人がいるから無期懲役になったんじゃないか」
ピーター
「まぁ、そう深く考えるな。」
「ミイラ取りがミイラになるって言うだろ。」
ノエル
「ああ。」
エドワード
「世の中にはどうにも出来ない事もある。」
ノエル
「大人みたいな事を言うな。」
バズ
「オレたちは子供なんだ気にすんな。」
ピーター
「何言い逃れしてんだ?」
「王となり、この国を変えてやるとか言えねぇのか?」
「まっ、オレは家の後を継ぐけどね。」
バズ
「何だよそれ。」
エドワード
「ならオレが王になるぜ!」
バズ
「じゃオレは神だ!!」
ピーター
「はいはい。」
エドワード
「頑張ってくれ。」
「で、お前はどうするんだ?」
ノエルの方に話をふる。
ノエル
「まぁ、なるようになるさ。」
バズ・ピーター・エドワード
「そうだな。」
晴わたる空の下、4人は笑う。
拙い文を最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
N様の参考になればと思っています。




