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裃本家3

「おい、需袢!」

女はどうやら統主の殺気を浴びて倒れたらしい。

心暖が続ける

「かなり強かったので屋敷内でも影響が出ていると思います」

「マジか」

「おそらく番衆は臨戦態勢に入っているものかと」

「誰に・・対してじゃ?」

「殺気の出所がここなので、当然敵はここにいると」

そこまで統主と心暖の会話を聞いていた高校生男子、櫂が口をはさむ

「おい・・俺達じゃねーか」

心暖がニヤリと笑う

「そうなると困ったわね」

いたずらっぽいその言葉に統主は驚き心暖を見る

「心暖?」

櫂と優里も当然、声を上げる。

「いや、普通に説明してくださいよ」と櫂

「アンタ、何を困ったフリしてんのよ」と優里

心暖は両手を広げ、いかにも楽しそうに

「最初に来るのは撃退用ドローンだから、アタシの説明なんて意味ないって。まあ、アタシたちは裃の認識票を持っているから平気だけどね」

あっはっはと笑いながら言う心暖は態度だけでなく口調まで変わっている。

すると心暖は両手を握ったまま前に突き出す。次の瞬間、パッと拳を開くと人差し指と親指で細いチェーンに繋がれた四角い金属プレートをつまみ持っていた。

「なんと今なら、ミッションに参加するだけで、この認識票が無料で付いてきます」

口角は上がっているが、目には邪悪な光が宿っている。これは選択肢の無い選択、強要だ。

「今を逃すともうチャンスはありません」

心暖の煽りは止まらない。二人にプレッシャーをかけ続ける。

「ドローン突入まで、あと5,4,3・・・」

「ああ!もう分かったわよ‼」

優里が痺れを切らして心暖の方へ一歩踏み出す。

だが、カバーしていた櫂の右腕を押しのけて優里が前に出たこの瞬間、優里の右側はがら空きとなった。彼女の右後方から何かが優里めがけて飛び掛かってくる。優里は気づいておらず、櫂は体制的に右手でカバーに行くことは出来ないため左手を伸ばす。

「さっさと寄越・・」

セリフの途中で優里の首に飛び掛かってきた者の膝が入り、グキリと折れる。

飛び掛かってきたのはさっきまで倒れていたソバージュ風の女、需袢だった。

「・・・」

視線を前方に移すと心暖は頸動脈と手首を切られ、うめき声ひとつ上げず背中から崩れ落ちていた。

その脇には簧黄がいる。

「くっそぉ」

怨嗟の言葉を吐く簧黄の左手には先ほどまで心暖の手の中にあった金属片、認識票が握られていた。

「逃げるぞ!需袢」

短く言い放つと認識票の一つを渡すために簧黄は振り向く。


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