表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/26

施術手順1◆

タイトルに◆がある時は挿絵アリ

「えーっ手術ぅ?」

裃本家での侵入者捕獲から1時間後、優里だけは残るよう指示され、裃家の医療室に案内された。

医療室への入室にあたって(ここ)()から服を着替えるように言われ今は看護師のような服装をしている。なにか嫌な予感がしていた優里だったが、その予感は医療室に入って確信に変わった。


その部屋はどうみても手術室だった。違うのは部屋の中央に置かれているのが手術台ではなく、細長い、金属製のカプセルのようなものくらいで、それ以外はカプセル上部には左右から照らす手術室でよくみかけるライト、奥には心電図等の諸々の数値を示すパソコン類が置かれている。まさに『THE手術室』だった。


先に入室していた心暖が足を止め振り向く。

口元がなんとなく笑っているようにも見えた。

「さあ、結合手術を始めるわよ」

一瞬、呆気にとられたあと、そして優里の冒頭の発言となる。



「アンタとアタシで?本気?無理ムリムリムリ」

全力で否定する優里に対して心暖は冷静に


「うるさいわね。治癒スキルを実際の施術に合わせて使うだけよ」


(スキルを実際の施術に合わせる?)


優里の頭の中で瞬時に状況が映像化される。自分の知っている通常の結合手術であれば骨をつなぎ、血管をつなぎ、最後に神経をつなぐといった行程が取られるはずだ。

一方、スキルは行程を無視してすべてを同時進行で行う。


心暖の言っていることはスキルを結合手術の行程にしたがって順番に使う・・ということ


「いや、ちょっと待ってよ、何でそんなことする必要があるわけ?」

優里と心暖は治癒スキルが使える。心暖の言っていることは例えるなら山登りをする際に最短ルートを進むことが出来るのにあえて回り道をしようと言っているのと同じことだ。当然、優里はこういう反応になる。


その反応は想定の範囲内だったのか心暖はまったく動じることなく話しを続ける。


「ドライブは外付けの魔核よ。一時的に魔法で捕えてもすぐにその魔法を分解して自分のエネルギーにする。逃がさないためには捕らえたその場で魔力供給源と結合手術をするしかない」


魔力をエネルギーとするドライブを魔法で捕獲することが出来るのかという点については確かに優里も疑問に思っていた。最終的には裃本家まで連れていき、そこで専門家による結合手術をすることは分かっているが、肝心の連れていく方法が分からない。心暖の(ふだ)を使うかあるいは自分の収納スキルを使うのかとも考えてみたがどちらも魔力を使う以上、長時間の拘束は難しい。


「ドライブに直接スキルを使うことは出来ないから実際の手術はシステムギアが行い、あなたがスキルでこれを補助する。ただし結合手術は3分間以内にしなければならない」


心暖の説明は理解できた。優里が事前に想定していたパターンの中から実現可能と考えられるピースで構成されている。


ただ問題だらけだ。

外科手術の経験がない優里でも3分で人の腕をつなぐことなど出来るわけがないことは分かる。だがそれ以上に気になる点があった。


「ちょっと待って。アンタじゃなくてアタシが結合手術をするみたいに聞こえるんだけど」

「細かい魔力操作は得意でしょ?」と心暖

「無理よ!いきなり現場でそんなこと」

「優里」

心暖はじっと優里の顔を見つめてから

「やること多いからもう始めるわよ」

にべもなく言う。


優里に反論する権利はなかった。

挿絵(By みてみん)


心暖がカプセルの操作パネルを開き電源を入れる。天井から設置されているモニターに電気が流れ画面上に映像が映し出される。画面内に移っているのは四角い金属製の枠のようなものだった。四隅にボルトが付いており、これが締まることで中に挟んだものを固定する仕組みなのか。


「拘束にはこのシステムギアを使う。これに限らず手術には裃製のツールで対応する」


ネビュラドライブは本来、魔核を持たない地球人用に作られた外付けの魔核である。

簧黄と需袢の二人により被験者から切り離されて約2か月。現在はおそらく堅城(けんじょう)(簧黄)の右腕と結合し、そこから魔力供給を受けているものと推測されるが、供給量は少なく飢餓状態にあることはほぼ間違いない。乾いた土に水をまくとあっという間に吸収されるように今の状態のドライブに捕獲用の魔法を仕掛けると、一瞬は止まるかもしれないがすぐに分解して魔力だけを抽出し吸収してしまう。


「スキルの使用は?」

万一システムギアが誤動作を起こした場合、魔法で対処する必要がある。当然、心暖も優里の意図を理解しているが


「無理ね。さっきも言った通りドライブは飢餓状態。そこにエサを与えればどうなるかは分るでしょう?」

「このシステムギアはどうなの?これだって魔力で動いているんでしょ」

それでも優里は食い下がる。付け焼刃の施術よりスキルが使える方がはるかに成功の可能性が高い。しかし、

「この生命維持装置には魔力変換システムが取り付けられていて被験者の魔力を常時、電力に変えて稼働しているのよ。今回使うツールもすべてこの変換システムから電力の供給を受けているから魔力は使っていない」



ネビュラドライブは魔力をエネルギーとして光や熱、もしくは直接動力として使用する。


これに対し、魔力変換システムは魔力を電気に変えて既存の自動車や電化製品に使用することが出来る。


現在、実用に耐えるドライブは未完成だが、理論上のエネルギー変換効率では魔力を一旦電気に変える魔力変換システムに比べ、ドライブの方が最低でも5倍以上の効率があるとされている。


いっぽう、魔力変換機能も実用化されているのは魔力→電気の一方向のみで、逆の変換である電気→魔力は未だ理論も確立していない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ