最強の武士、学院に興味を持つ。
それから5年が経った。分かったことが様々ある。
どうやらこの世界では刀は高価であるらしい。まあ「再構築」で作るからどうでもいいが。
俺が生まれたセラフィム家は平民の家だが、田舎故に何というか落ち着きがある。俺は2歳になってから一日たりとも特訓を怠っていない。今日も早朝からランニングをしていた。
「はっ…はっ…。」
呼吸を効果的にしつつランニングをしている。20㎞のランニングを終えると、家に向かう。その途中、少し遠回りをしてみると、ある建造物が目につく。家まではあと1㎞ほどだが、少々気になって、外見だけでも見ておくことにした。
「教育施設…のようだな。西洋では既に発達していたか…。」
帰ったら両親に入学をお願いしてみよう。
家で朝食を食べる時、父親に声をかける。
「父さん、教育施設に通いたいです。」
「ん?…ああ、魔法学院のことか。それは構わんが、寮生活になるぞ?それに魔力なしだと…。」
あの施設はどうやら魔法学院と言うらしいな。
「分かっております。大丈夫です。」
「分かった。15歳からの入学になる。それまで準備しておけ。」
「了解です。」
俺は部屋に戻り、部屋に置かれてる木刀を取り、素振りを始める。この体が負荷に耐えれるように力は鍛えるに越したことはない。因みに木刀は地面を再構築して勝手に作ったものだ。
ある日、ランニングしていると、悲鳴が聞こえてくる。声からしてもおそらく女性だろう。すぐさま極身体強化をかけて悲鳴がした方向に走る。見えてきたのは同い年くらいの少女と黒色の虎だった。この虎は恐らく、魔物だろうが、少女は誰だろうか。綺麗な赤い長髪を持ち、透き通る赤い眼をしている。第一印象は綺麗な美人とでもいうべきだろうか。まあ同い年だろうからまだ幼いが。そんなことを考えつつ、魔物の頭上に飛ぶ。武器は無いので、極身体強化をかけた拳で殴る。前世から一応格闘技術も習っていたため、しっかりと急所を狙えた。黒色の虎は驚いて、一目散に逃げていった。
「大丈夫?」
優しく声をかける。というか俺も外見は6歳だからあまり大人びていても不自然だ。
「う、うん…、ありがと…ございます…。」
涙を拭いながら驚いたような眼で俺を見る。
「森の方は危ないから、あんまり近づかない方がいいよ。僕もお父さんに言われたから。」
「う、うん…。」
「もしかして…迷子?」
さっきから何というか落ち着かない様子なので、聞いてみる。
「うん…。」
「名前は?」
「……フィア。…フィア・レクーレ…。」
レクーレ家は上流貴族だな。家の場所ならスキル瞬間記憶によって地図を丸暗記しているから分かる。
「ついて来て。」
フィアの手を取って記憶を頼りにレクーレ家に向かう。
「あ、あの…あなたは…?」
遠慮がちに聞いてきたので、一度振り向いて目を合わせる。
「僕はレオン・セラフィム。」
「レ、レオン…。」
「そうだよ。」
もう一度前を向いて歩いていく。程なくしてレクーレ家に到着すると、門の前でフィアの母親と思しき人物が立っていた。こちらを見つけると満面の笑みで近づいてくる。
「フィア!もう、どこに行ったかと…心配したのよ?」
泣きながらフィアに抱き着いている。俺はそれを見ると、安堵のため息を吐いてから、自分の家に向かう。その時、フィアから声をかけられる。
「レ、レオン…!あの…ありがと…。」
俺は一度振り向いて微笑む。
「どういたしまして。」
母親も俺を見つけて深々と頭を下げる。
「本当にありがとうございます。何とお礼を言ったらいいか…。」
「気にしないでください。魔物に襲われていたようでしたので、助けたまでですよ。」
「本当に、本当にありがとうございます。」
「それではこれで。」
俺は帰路に就く。家へと帰ると、既に朝食ができていた。
「遅かったじゃないか、レオン。」
「ごめんなさい、父さん。魔物に襲われてた子を助けてたの。」
「そうか、それならいいんだ。」
この時はまだ夢にも思っていなかった。まさか、フィアの再会することになる…とは。




