渦[ウズ]
彼は問う
『生きる意味とは何か』
彼女はこう言った
「幸せになることだ」と
『本当のことを言え』
「本心よ」
『嘘をつくな』
「嘘なんてついていないわ」
『そうやって取り繕ってきたんだな』
「、、、」
彼女はしばらくうつむき、言葉を発しかけた時、泣いてしまった
彼女は人という名のカイブツを恐れた、だから彼女もカイブツに成り代わった
つもりだった
ヒトは本当の自分を完全に隠すことは出来ない
彼女は完全に隠せているつもりだったのかもしれないが、彼にはバレていた
彼女の頬を伝う水滴が顎から流れ落ちる子をには彼女は死んだ目をしていた
彼は彼女の全てを知っていた
なぜなら彼女が彼であり、彼が彼女だからだ
しかし彼は世間にとって受け入れられる存在ではない
彼女はカイブツのふりをするために彼をグチャグチャな屍に変化させた
しかし彼は良くも悪くも屍のまま語りかけてくる
彼女は彼であるが故に完全に殺すことは不可能だ
彼に与えた攻撃は自分への攻撃になる
『このままでは僕だけではなくお前も死ぬ、』
「アタシは死んでも構わないわ、これはもう無意味だから」
『お前はさっき「人生の意味は幸せになること」と言っていたじゃないか』
「、黙れ」
『矛盾しているな、きっとカイブツになるために自己暗示をかけようとしているんだな、無駄だ。お前はカイブツにはなれない、根本が違うんだよ』
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!!!!!!!!!うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!お前に何がわかるんだ!!死ね!!死ね!!」
『僕はお前でお前は僕だ、本当はわかっているんだろう』
「うるさい」
『全て諦めろ、人間関係も容姿もリセットしてまた始めればいいじゃないか』
「、、、」
『僕は死にたい、確かに死にたいけど言い換えれば幸せになりたい
僕は幸せになりたい、少しの幸せだけでも良いんだ
幸せになれ。それが僕の望みだ、頼む』
「お前本当気持ち悪いよ、
、、、あと少しだけ頑張ってやる、しかし死なないとは言い切れないからな」
『その気になってくれて嬉しいよ、幸せになってくれ』
彼が正義なのか、彼女が正義なのか二人はいつも考える
二人の生きる世界はいつだって矛盾ばかりであり
二人の存在も『矛盾」そのものなのだ
しかし、一つだけ確定していることがある
それは彼と彼女は僕だということだ
気分を悪くしてしまった方、申し訳ございません
お察しの方、多いと思います
しかし解説するのも面白くないかなと思ったので、解説は致しません
ご覧いただきありがとうございました