第2話 私の過去
ジャンさんは次の鍵を探しに行ってしまい、私はマカロニさんのお宅でお世話になる事になった。
「私は次の鍵の情報を探して来ます。 玲子さんはサラさんの家で待ってて下さいね」
「え? ジャンさん!」
飛んでいっちゃった……。
「おや、玲子さんじゃないですぐぁ」
家から出て来たのはマカロニさん。
「さあさあ、中に入って入って」
マカロニさんの家に入ると奥さんのサラさんが料理を作っていた。
「ちょうど良かったわ。 今ご飯が出来たのよ、良かったら食べていって下さいね」
テーブルに並べられたご飯はパンとスープとサラダ。 私が食べる物と変わらないんだ。
「どうです? 鍵は見つかりましたぐぁ?」
「ええ、これを見つけました」
私は輝く鍵を美味しそうに食事をしているマカロニさんに見せた。
「おお! よくぞ見つけましたぐぁ!」
「あなた! 行儀悪いですわよ!」
マカロニさんは席から立ち上がり興奮しているところをサラさんに怒られていた。
「おお、すまんすまんぐぁ。 それで次の鍵の場所はわかったのですかなぐぁ?」
「いえ、今ジャンさんがその情報を探しに行ってます……、……あの、マカロニさん?」
「なんだい?」
「ジャンさんは何者なんですか? この町にはペンギンさんしかいないみたいだし……」
「そうですねぇ……、ま、いずれわかる事だし話しましょうぐぁ」
食事が終わったマカロニさんはパイプをくわえて話してくれた。
「玲子さんは闇の王については聞きましたぐぁ?」
「はい。 女王様から少し……」
「なら話は早いぐぁ。 大きな声では言えないけどぐぁ、ジャンはその闇の者なんですぐぁ」
「え!? 闇の者って……攻め込んで来たっていう?」
驚きで声が上ずってしまった。
「ええ、そうです。 驚きました?」
「え? ジャンさん?」
部屋の扉に寄りかかり、杖を回して歩いて来る。
「マカロニから話を聞いた通り、私は闇の者の力を持っています。 魔法もその一つなんですよ」
「闇の者ってジャンさんだけなんですか?」
「そうですね……今は私だけですね」
ジャンさんが元闇の者って事は、もしかして町の人から変な目で見られていたのは私じゃなくてジャンさんを見ていたのかな? でもどう言う事なんだろう……?
「それより次の鍵の場所がわかりましたよ。 明日向かいましょう」
「そうね、今日は家に泊まって行きなさいな」
ジャンさんは城に話しに行くと、私はサラさんとマカロニさんのお言葉に甘えて泊めてもらう事となる。
空き部屋を用意してもらい、手入れされたふかふかの布団だ。 この国のペンギンさん達はベッドで寝るのかな?
こな日はふかふかの布団で朝までぐっすり眠る事が出来た。
眩しい日差しでベッドから起きると……ここはどこ? ああ、そっか……確かジャンさんとマカロニさんに連れられて来たんだった……。
「あら、起きたの? おはよう」
「あ、お、おはようございます」
マカロニさんの奥さんであるサラさんが起こしに来てくれた。
そうだ……ここの国の人はみんなペンギンさんだった……。
まだ寝ぼけていて現実かどうかよくわかっていない。 そんな時に、いい匂いが部屋に入って来た。
「朝ごはんは出来てますよ。 支度したらおいでなさい。 手伝いが必要な時は呼んでくださいね」
「は、はい!」
足は上手く動かないけれど、着替えは1人でも出来るようになっていた。
もちろんトイレも1人で大丈夫。
マカロニさんの家は何故か車椅子も入れるほどのスペースがあるので助かる。
「お、起きて来たぐぁ。 おはようぐぁ」
「おはようございます……、あの、マカロニさんのその話し方って……みなさんそうなんですか?」
ペンギンと言うよりアヒルのような感じ。
「あっはっは! そうだね、この話し方は私が別の場所出身だからだね。 普通に話そうと思えばはなせるけど、こっちの方が楽なんでぐぁ」
方言みたいなものかな?
「そうでしたか、すいません変な事聞いて」
「構わないですぐぁよ。 それよりほら、サラのご飯は美味しいですぐぁよ。 冷めないうちに食べましょうぐぁ」
「そうですね、いただきます!」
パンのいい匂いに、ポテトのサラダ、野菜スープ、ほぐした魚と朝ご飯としては豪華だ。
「美味しい!」
「そう? お口に合ってよかったわ」
朝から美味しいご飯なんて、病院では味わえないよね。 病院食は健康に気を遣っているから仕方ないけど。
「お食事のところお邪魔するよ」
ジャンさんが帽子と杖を置いて入って来た。
「ジャンさんおはようございます」
「玲子さんおはよう。 今日も美味しそうなご飯じゃないか」
そう言ってジャンさんはマカロニさんの魚をパクっとつまんで食べた。
「こら! ジャン! それは私のだぐぁ!」
「そうですよ、お行儀悪いですわよ」
「すまないすまない。 サラさんの料理は美味しいからね、つい手が出てしまったよ」
「まったくもう、何か召しあがります?」
「いや、コーヒーを頼むよ」
「はいはい」
サラさんはコーヒーを淹れにいったけど……、ジャンさんでもあんな事するんだ……。
「さて玲子さん、次の場所が見つかったよ。 朝食が済んだら直ぐに向かおう」
「はい」
美味しい朝食を食べ終わりサラさんに「ごちそうさまでした」 と告げ家を出るとジャンさんと共に次の鍵の場所へと飛んで向かう。
「ジャンさん、次の場所はどこなんですか?」
「次も遺跡ですね」
次も遺跡なんだと思いながら町を見下ろしながらその場所へと飛んで向かった。
「着きましたよ」
「ここですか?」
その遺跡はちょっとしたほらあなだった。
洞穴の壁には前の遺跡と同じような人の絵が描かれていた。
「玲子さん、触れてみて下さい」
私はそっと手を伸ばし触れてみると、光輝き目を開けるとここは……?
「あれは……私の家?」
どうなっているのかわからないけど、引っ越す前の家の庭にいた。
「ジャンさん、ここは?」
ジャンさんを探すがジャンさんの姿が見当たらない。
ジャンさんを探そうと辺りをキョロキョロしていると、まだ小さい私が家に帰って来た。
そして窓から見える家の中でお母さんお父さんに甘えている私。
おかしい……、この頃には私は引っ越しをしていたはず。
なんで……?
幸せそうに両親に甘えている自分を見て心が少しチクッとした。
その瞬間、世界が光り輝き元の遺跡へと戻っていた。
「おかえり玲子さん」
「ジャンさん!? あれ? あの光景は一体……?」
「どうやら何かを見て来たようだね。 でもほら、手元を見てごらん」
自分の手元を見ると鍵を握っていた。
「あれ? なんで?」
「これで2個の鍵を獲得したね。 残りは後2つだ! 次を見つけに行こう!」
「は、はい」
あの光景はなんだったんだろう……?
そう考えながらジャンさんに連れられ次の鍵を探しに向かった。
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