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アソビ
だってひと月前に彼と交した話でさえ覚えちゃない
タダ何か話したなあ、あの時は楽しかったなあ
なんて感情の断片ばかりが泡になって浮かんできて
気づくか気づかないかという間に消えていく
たしかに五年前に彼女に言われた一言ですら一向に思い出しゃしない
例のひどく傷ついたような表情の女が流れていくばかりだ
左から右に ときどき右から左へと舞い戻りつつ
さて僕がいま病床から動けないと知ったら奴らどうするつもりだろう
割れたり遠くなったりして
段段 刻刻
全容はうすくなっていく
やがて血眼になって探し出して 僕の息の根を止めようとすると思う
次第に細く 小さく成長していく僕の根を
さがし断て
さがし断て
いうフウに 早く死ね音頭 を囃すわけだ
僕はジッと動かず奴らを待ち構えている唯一の人間になれる
なんて
誇らしい
それはそれで
圧倒である
太鼓の鼓動や笛の風 ドロボー髭のBassの津波など
君たちは夜みたく傲慢に逃げるしかなかったのだ