第九幕 異世界喰らい
階段を上っていたマドー一行だったが、やがて終わりが来た。小さな円形の足場が用意されており、そこに到達すると階段はすべて消えた。
そして、マドー一行の周りに巨像が浮かび上がる。いや巨像ではなく、天神や魔神たちがずらりとマドーを囲んでいたのだ。
「あ、わ、わわ・・・」
凄まじい圧力にビビったグリーアがしりもちをつき、パメロアがグリーアを支えた。あたりに荘厳な声が響く。
「グランドルの世界の核を返すのだ」
天神たちのリーダー。主神ゼラルである。その声の圧力にグリーアは泡を吹いていたがマドーは素知らぬ風だ。
「俺にはグランドルのラグナロクを成功させた功績がある。もし、世界の核をそのままにしていたらグランドルのラグナロクは成功しなかっただろう」
「それがどうしたというのだ?話をすり替えるな。私は世界の核を返せと言っているのだ。お前の行動は全世界の秩序を乱している」
「俺の行動はむしろ全世界の秩序を維持するために行っているものだ」
「話を蒸し返すな。その話はヴァルハラ評議会で否決されたはずだ」
「それがどうした?凡百の意見が何になるというのだ?」
「貴様は神々を愚弄するのか?」
「だとしたらどうする?」
「であるならば力を行使してでも貴様を止めさせてもらうぞ」
「ほう?力で。ときたか・・・」
マドーは辺りを見渡した。マドーにみられて神々はびくりと後ずさった。
「ひゃっは!ならば力を見せてもらおう!」
マドーは分身し、それぞれのマドーが超物質を操作する極大魔術を使って神々を攻撃し始めた。
「ま、待て!まだ準備が!」
そう言いかけているゼラルもマドーの魔術によって半身を消し飛ばされる。マドーはさらにノリノリになる。
「今度俺は異世界喰らいと称する!」
と高々に宣言し、マドーの分身たちは次元の裂目を作り、それぞれ別の異世界へ飛び立った。そして、すぐに複数の世界の核を手に入れ、高々とそれを掲げて、挑発するように神々に見せびらかせた、
「き、きさま。全世界の敵になるつもりか?」
「召喚武光!」
マドーは五月雨武光を召喚する。武光は召喚された瞬間土下座した。
「へ、へへー!」
「あとはこの武光君と交渉してくれ。武光!千の首を垂れるヒドラの力を頼らせてもらうぞ!」
武光は土下座しつつ苦渋の表情になる。これが自分の仕事とはいえ、思うところがないわけではない。
「ぎょぎょぎょ、御意!」
やけくそじみた声で応答した。マドーは一仕事終えたわいとばかりに自分の肩をトントンとたたき、腕を回す。その姿を見た神々はため息をつき咎めることはしない。代わりに武光を厳しく睨みつける。
「おのれ!五月雨武光よ!ただでは帰さぬぞ!」
「へ、へへー!偉大なる主神ゼラル様の仰せの通りに!」
マドーは、その様子を見て安心し、放心するグリーアの頭をコツンと叩き、魔導ギルドが所有するギルドハウス、通称魔導ビルの自分のオフィスがある99階へ転移した。




