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第五幕 異世界共鳴

マドーが次元の亀裂から外に出てみると、遠くに巨大な岩のドラゴンが見えた。


「ドラゴンフォートレス。あそこに魔王がいるよ」


「ほう。しかし、なぜ外に?」


「結構強い兵器だから力試ししてみたら?」


「確かに。よし。まずはありったけの魔力で隕石を降らせてみよう」


隕石を降らされるドラゴンフォートレスからすればえらい迷惑だが、マドーはお構いなしだった。上空に巨大なワームホームが空き、隕石が雨あられと降り注ぐ。しかし・・・


「ほう。余裕で耐えた」


「いくらマドーくんの世界法則の理解が足りていないといってもすごい丈夫だね」


「興味がありそうだな。きるりちゃん」


「これもマドーくんの新魔界創造のためだよ♪」


「ふっ。それはありがたいな」


内心どうだかなとマドーは思ったが、きるりが何か企んでいるとしてもそこを含めてかわいいものだと思った。

そんなこんなで、ドラゴンフォートレスから無数の魔族が出現しこちらに向かってきた。


「きるりちゃん。アーティファクトは集まったか?」


「もちろん。結構集まったよ」


「では、異世界共鳴シンクロ・オーバーを行う」


異世界共鳴シンクロ・オーバーとは、異世界の秘宝いわゆるアーティファクトと自信を共鳴させ、世界法則の理解度を急速に高める技術のことだ。

例えるなら、絵画を見て学ぶことで絵の世界を知ることができるといったようなものか。


そして、この間マドーは無防備になるので、当然きるりがマドーのお世話をすることになる。


「いけー!きるりしりーず!」


とはいえ、きるりシリーズやドローンの残機は明らかに減っているようだ。量が依然と比べてはるかに少ない。こんな量で大丈夫なのだろうか。


「ふーむ。この壺は・・・」


マドーは、きるりと魔族たちが激戦を繰り広げる中、のんきに壺を手に取って唸っている。もちろんふざけているわけではなく、大真面目だ。

これが異世界共鳴シンクロ・オーバーの手順なのだから仕方ない。


そんなこんなしているうちに、ドラゴンフォートレスの口がゆっくりと開いた。ドラゴンといえばブレス。どうやら大きい攻撃が来るらしい。


「わー!まずいまずい!」


「みんな集まれー!マドー君を守れー♪」


「わーい♪わーい♪」


きるりとドローンたちがマドーの前に集まり、幾重もの障壁を展開させた。


ドラゴンフォートレスの巨大な口が完全に開き、内部から眩い光が漏れ出す。


「ぐおおおぉぉぉん!」


低い咆哮と共に、膨大な魔力を帯びた閃光が放たれる。それは周囲の空間を歪ませるほどの威力を秘めていた。

その一撃は、きるりたちの障壁をたやすく破壊し、全てのきるりたちそしてドローンを破壊しつくした。残骸がマドーにもあたり、マドー自身も光に包まれていく。


光に包まれてマドーはふと上空を見た。黒々とした漆黒の空に光り輝く何かが落ちてくる。それはきるりの頭部パーツだった。


「ま、マドー君。わ、わーい・・・」


ジジジジと音を鳴らし、煙が出ている。


「美しい・・・」


マドーは、半壊しているきるりの唇にそっとキスをした。そして、詠唱する。


「全てよ!無に帰せ 原初の海に還れ 生命よ回帰せよ」


マドーの体が変質していく、水の性質を取り組み具現化させていく。


「目覚めよ水の魔神 知ある者を挫き等しきゼロとせよ。 終焉の雨の魔神ノア


マドーの声と共に、世界のあちこちが裂け世界全てを大量の水があたりを覆いつくす。まるで、星そのものが水に変わってしまったようだった。

その水は尋常ではない魔力を帯びており、瞬く間にドラゴンフォートレスを侵食し始める。


水流が激しく渦を巻き、要塞を内側から粉砕していく。外壁は剥がれ落ち、内部の機構が露わになった。さらに水流はドラゴンフォートレス内を奔流し、魔王グリーアを捕捉して引きずり出した。


「うおおおお!」


禍々しい闇のオーラを纏った骨のような姿の魔族が、水流の中から運ばれてきた。その威圧感から察するに、間違いなく魔王グリーアである。


パチパチパチ。


マドーは無感情に拍手した。グリーアは突然攻撃され突然変な人間が拍手しているので一瞬あっけにとられた。いったい何が何だか分からない。


「いやあ。グリーア君は強いねえー!」


マドーからすると精一杯のおべっかだったのだが、グリーアは馬鹿にされたと感じた。


「おのれ!人間め!」


なんだかよく分からないが、とにかく目の前の人間に魔王としての威厳を思い知らさなければならぬ!と固く決意した魔王グリーアは、必殺の一撃をマドーに向けて繰り広げた。

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