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第四幕 救世主マドー・マホー

地下は瘴気がこもっておりとてもこんなところに人間がいるとは思えなかった。


(仮に人間がいたら限りなく魔に近い特性を持っているはずだ)


マドーはそう思い、案外掘り出し物が見つかるかもしれないと思った。


「マドーくん。転移魔方陣の守りが破られたよ。ナンバーズたちにきるりシリーズもやられたみたい。このままだと武光たちが危ないんじゃないかな」


「武光のことは気にしなくていい。何しろ奴は千の首を垂れるヒドラだからな。何とでもなるだろう」


「そうかなあ?」


マドーは武光に絶対の信頼を置いているようだが、きるりにはとても武光たちが無事とは思えなかった。そんなこんなで、地下牢に到着した。


人間はいた。が、生気がこもっておらずマドーたちを認識することもできないようだった。


「こりゃダメだ」


マドーは期待した分がっかりした。


「マドーくん。あの子は?目に光があるよ」


「おお。どれどれ?」


きるりが見つけた少女に近づいてみると、少女は目を輝かせてよろよろ歩きながら鉄格子をつかんだ。


「あ、あ・・・」


衰弱しておりしゃべることすらできない様子だった。


「結構いいかもな」


と、マドーはきるりににやりと笑いかけた。きるりも負けじとにやりと笑った。


回復ヒール


少女の顔に瞬く間に生気が戻った。


「わ、わあ!」


(さて・・・)


マドーは考えた。ここからどうやって交渉しようかと思ったのだ。


「お兄ちゃんが助けてくれたの?」


「その通り!」


マドーは喜んだ。どうやらいい印象を持たれたらしいと思ったからだ。


「お兄ちゃんは神様?それとも天使様?」


「神の遣いといったところだな」


嘘ではなかった。実際にマドーは表向き神の命令でこの世界にやってきている。


「すごい!じゃあみんな助かるの?」


「もちろんだ。時期にラグナロクが始まる。ラグナロクが始まれば人も魔も等しく焼かれ、世界は再生されるだろう」


「え?それって死んじゃうってことじゃ?」


「人はいずれ死ぬのだ。お前たちは運がいい。魔に囚われて死なずに済んだのだからな」


「で、でも私は死にたくない」


「手はなくはないが・・・」


マドーは思案顔をした。もちろんただの演技だ。最初からマドーは次の一言が言いたかったのだ。


「過酷な環境だが俺が作った世界カタストラにくれば生きれるかもしれないぞ。今ならサバイバルのための先生も付けてやろう。君だけ特別の心嬉しいプレゼントだ」


「本当?で、でも」


と少女は後ろの生気のない人たちを見た。


「何かな?」


「お父さんとお母さんもつれていきたい」


「もちろんいいぞ。では気が変わらぬうちに強制転移トランジョン」


少女と牢屋の人たち全てをマドーは自分の世界であるカタストラに転移させた。なぜ、全員転移させたかというと、誰が両親か分からなかったからだ。


「マドーくん。あの子は元気だけど他はみんなゾンビだよ」


「心配するな。試練は勇者を生むのだ。最も俺が欲しいのは魔人だがな」


「見込みありそう?」


「いい線はいくだろう。あとは赤の殺意が何とかするはずだ」


赤の殺意はカタストラ三武殺の一角。最強とうたわれる残虐非道なアサシンだ。


「赤の殺意に連絡はした?」


「いや?あの少女の才覚で何とかするだろう」


「ならいいけど、結局クエストは達成できないね」


マドーのクエストは、ラグナロクのために良質な魂を確保すること。人族の魂を癒すことだった。


「そういやそうだな。しまった!一人くらい残しておけばよかった。そうだ。一人呼び戻そう」


マドーはカタストラから適当な人物を一人牢屋に転移させて、地下牢を後にした。しかし、この決断が後々とんでもない恨みを買うことになるのだ。


最も、マドーはむしろ恨みを買いたいとすら思っているから特に問題はない。


「さて、ずいぶん時間がたってしまったな」


地上に出て上空を見てみると、終末レクイエムカウントが残りわずかになっている。


「ひどいなこりゃ。イカサマだろうこんなの」


どう計算しても、終末レクイエムカウントがこんなに減っているはずなかったのだ。よほど、神々や魔導ギルドはマドーの邪魔をしたいらしい。


「大丈夫だよ。マドーくん。魔王の位置にゲートを作っておいたよ。魔王をスカウトして管理室に行けばギリギリ何とかなるよ」


「きるりちゃんはかわいいな!最悪魔王さえスカウトできればラグナロクは何とかできるだろう。となると、時間的には十分だ」


マドーはきるりが用意した次元の亀裂に入って、いよいよ魔王のもとへ向かった。

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