第三幕 激戦!四天王との闘い
マドーは交渉のために飛行しつつ魔族に近づいて行ったが、魔族たちの目は血走っており問答無用で攻撃しかねない勢いだった。
(瘴気の影響か?)
屈強な自由の翼の面々すら耐えられないほどの強い瘴気だ。普通に考えたら生きることすら難しいはずだが、しかし部下である魔族たちですら耐えられない瘴気を放つ魔王はいったいどういう了見なんだろうと思った。
そんなことを考えていると、やはり問答無用で攻撃される。
「人間の生き残りだあ!」
「目障りな奴隷め!死ねい!」
マドーの体に魔族たちの魔法やら爪やら槍などが降り注ぐがマドーに傷一つつけられない。それでも魔族たちはしつこく攻撃している。
「正気を失っているのか」
マドーが手を振ると、魔族の群れは全て燃え尽きて消えていった。あとには灰しか残らない。
「これほど品質が悪い魂だけしかないとなると、ラグナロクが成功するか怪しい」
一応マドーは魔導ギルドから今回グランドルのラグナロクを成功させるために、良質な魂を確保するというクエストを受注して仕事としてここにやってきている。
もちろんそれは名目上のことであって、マドーの真の目的はこの世界の核である世界核を手に入れることだ。
「ついでに仕事もしておけば顔が立つか。そうなると人族がいればいいんだが」
仕事をこなしておけば、世界核を奪ったとしても、仕事をした!と主張できる。このことは、マドーにおいて切り札になることもあるだろう。
もちろん、世界核を奪うなんてことは、全宇宙の秩序を乱す前代未聞の万死に値する大罪だ。
仕事はして当たり前なのであって、仕事をしたからといって許されるはずはない。しかし、マドーはどこかずれているし、そもそも知ったことでもなかった。
とにかくマドーは魔術で人族の気配を探ろうとしたが、マドーはまだこの異世界に来て間もない。世界法則の理解が追い付いていないため、うまくいなかった。
その時空間が裂けて、その中からドローンに乗った少女が出現した。
「マドー君のストーカーにして愛の吟遊詩人、アンドロイドきるりちゃんとうじょおー!」
可愛い決めポーズをとって制止する。ツッコミどころ満開だがマドーは特に気にしない。いつものことだからだ。一瞬静寂が訪れた後、マドーは尋ねた。
「きるりちゃん。人族がいる場所は分かるか?」
「きるりちゃんにお任せだよ!マドーくん!こっちこっち」
きるりの操るドローンの1つにまどーは胡坐を組んで座り込んだ。そして、瞑想を始める。このようにして、この異世界グランドルの世界法則に対する理解力を高めるのだ。
やがて、浮遊大陸が見えてくる。
「マドーくん。そろそろつきそうだよ」
「そのようだな。その前にお客さんのお出ましだぞ」
浮遊大陸から無数の魔族たちがわらわらと出てきた。
「きるりちゃんにおまかせー♪」
きゃぴんと音を出して号令した。
「それいけ!きるりちゃんシリーズ!」
きるりとそっくりのアンドロイドが空間から裂けて出現し、ドローンとともに銃撃戦を開始した。その合間を縫ってきるりとマドーは浮遊大陸の宮殿入り口まで到着する。
「待て。きるりちゃん。」
「どうしたの?」
「宮殿の前にいる魔族。どうやらギリギリ正気を保っているようだ。少し観察してみたい」
「分かった♪」
マドーがドローンから降りて魔族と対峙すると、魔族はゆっくりと口を開いた。
「いつかこんな日が来ると思っていた。禁断の秘術に手を染めたその日から。貴様は神か人か?いずれでもいい。もう終わらせてくれ」
「そういうお前は魔王か?」
「我は魔王ではない。魔王グリーア様の配下、四天王が一角、大地のパメロア」
そういってパメロアは杖を水平に構えた。
「いずれにしても、熟練した魔術の使い手と見た。我も魔族。最後は戦いで終わるのも悪くはない」
そういわれてマドーも杖を天空へ掲げた。
「よかろう。相手になってやる」
パメロアの周囲の岩が盛り上がり、マドーめがけて岩の塊が押し寄せた。マドーは岩の纏わりつかれて身動きが取れなくなる。
「我が秘術を見たか!」
「風の暴虐」
パメロアは周囲から無数の風の刃で貫かれ、衝撃で徐々に浮遊しやがて雲散霧消した。きるりが不思議そうに尋ねた。
「あれ?上質そうな魂だったのに。確保しなくていいの」
その声にマドーは普通に岩の塊から出てきて言った。
「1つくらいはいいだろう。人族はこの中か?」
「地下があるみたいだね」
二人が宮殿に入り地下を探していると、マドーめがけて3つの黒い光が飛来した。マドーは、その光を杖で弾き飛ばす。
光は三体の魔族となってマドーを囲んだ。
「少しはやるようだな!」
「パメロアを倒したか?奴は四天王最弱!」
「・・・」
マドーは少し魔族たちを観察したが悪質な魂だと判断した。
「おまえらはいらんな。炎の輪廻」
マドーの周りに3つ焔が一瞬出現したかと思うとすぐに消える。その直後魔族たちの体燃え始めた。
「ぎゃー馬鹿な!人間風情に!」
「お、俺は四天王の中で最弱………!」
「第二第三の四天王が貴様を殺すぞお!」
思い思いの断末魔を放ち、後には灰だけが残った。
「四天王というがピンキリだな」
と、マドーは独り言のようにつぶやく。
「マドーくん!地下の入り口見つけたよ♪」
マドーは頷ききるりと共に地下へと向かった。




