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第40話 ブレイク・カーディフ

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 俺の名前は、ブレイク・カーディフ。


 ウォーリアーズのサブリーダーにして討伐者だった、残念ながら今は違う。


 ウォーリアーズは悪の組織と裏で闇取引をしていて、帳簿にはその証拠となるものが書き残されていた。それを見つけて叩き出したら、俺はリーダーのクロガによって追放された。帳簿を抱えて都市の役所に行こうとしてたその帰り道、何者かによって襲われてしまい、俺は目を失った。


 そこから色々あって、俺は特殊能力を手に入れた。それが、超感覚。失った視力以外のあらゆる全ての感覚が超進化し、以前よりも機敏に強くなった。相手の心臓の音も聞こえるから、見えなくても相手がどこにいるか分かる。


 相手の心拍数でウソをついているのか、怯えているのかなど感情も分かるし、ポケットに隠し持っている武器とかも分かる。その能力を使って、俺はダークエイジとして街に蔓延る悪を夜な夜な殴っていた。


 すると、その悪が裏でウォーリアーズと繋がっていたことが判明した。何なら俺のことを襲ってきた奴らも、この街にいた。奴らは子供を誘拐し、倉庫や地下室に隠していた。その時は理由なんて知らなかったから、殴っては子供を解放し、殴っては犯人の情報を集めていた。


「ラーズ・フェイスだ!」


 殴って脅せば奴らは情報を吐くと思っていた、しかし奴らはそんな簡単な存在じゃなかった。ボスの名前を尋ねた時、ダリアという男はラーズ・フェイスという名前を叫んだ。そして、そのまま自殺した。名前を喋ってしまったことに罪悪感を抱いたのだろう。


 そのラーズ・フェイスという男にはまだ出会えていないが、代わりに隣国から亡命してきた男に出会った。それがハード、彼は治安部隊に妻と弟を殺され、濡れ衣を着せられている。そしてもう1人、ボルトという男とも出会った。


 隣国のナラティブで活動していた治安部隊という組織は、この国のデビルズオール社によって買収された。治安を守るための組織だったが、今はデビルズオール社の傀儡として、悪事に手を染めている。


 子供を誘拐していたのも、裏で闇取引をしていたウォーリアーズも、全て治安部隊とデビルズオール社に繋がってくる。だから俺とハードとボルトは、協力して地下室を特定し、子供たちを全員解放した。それと同時期に、俺の死をきっかけにウォーリアーズが活動休止を発表した。


 それで今に至る、というわけだ。ウォーリアーズが活動休止しているから、上級モンスターの巨人がこの街に来ても誰も助けられない。そもそも巨人は奴らによって操られているから、このタイミングで出現したことにも繋がってくる。


「大丈夫か、怪我はないか?」


「は、はい!」


 燃え盛る家の中にいた子供を救い出し、東西から迫り来る巨人の元へ向かう。巨人の襲撃は、奴らからの宣戦布告だ。カービージャンクにはモンスターを倒す手段がない、ダークエイジも討伐者じゃないから巨人とは戦えない、そう思っているんだろう。


 しかし、アイツらは知らない。俺がダークエイジだということ、そして……ブレイクがまだ生きているということに。


 奴らが巨人の襲撃という手段で宣戦布告をするのなら、俺は俺という手段で受けて立とうじゃないか。カービージャンクを守るのは、治安部隊でもモンタージュでもない、この俺だ。


 グオオオオオオオオ!!


 街の中心部にある公園には多くの人が集まっている。それもそのはず、東西から迫り来る巨人に追いやられてきたから。しかし巨人はモンスターなんだ、こんなに人がいれば興奮してしまい今よりももっと暴れてしまうだろう。


 俺は剣を地面に突き刺し、声を上げた。


「よく聞け、カービージャンクの民よ!」


 怯えながらも聞く耳を持つ市民たちは一斉に俺の方を向いてきた。反対に俺のことを不審がる人は、俺の目を見て睨みつけてくる。


「なんだお前?」


「俺は隣町から来た旅人で、討伐者だ。北から来た巨人は既に俺が倒した!」


 その言葉を聞いて、みんな安心したのか歓喜の声を上げた。油断させないように、続けて声を出す。


「しかしここに固まっていては、巨人は人間を襲うためにより凶暴化してしまう。だから、モンタージュの指示に従って避難してほしい。巨人は、俺が倒す」


 そしてすぐに、そばにいたモンタージュの警察官に指示を仰ぐ。上級モンスターの巨人が同時に三方向から襲ってくるなんて、未曾有の事態だ。だが、避難誘導は地震の場所と何ら変わらない。ただし、相手は生き物だから、下手に動けば脅威となる。同様に生き物だから、必ず倒せる。


 俺は地面に突き刺した剣を抜き、まずは東から向かってくる巨人の方へ走る。巨人と戦ったことはない、しかし弱点は知っている。


 巨人の弱点は目の奥、ただし剣をより深く突き刺さないといけない。ハンドガンや鉄砲で撃つくらいじゃ跳ね返されてしまう。ボルトとハードはハンドガンで抵抗していたが、それじゃダメだったんだ。しかし、対モンスター用の剣なんてあまり売られてないからな。そうなるのも無理はない。


 グサッ!!


 巨人の目の前に着くと同時に、巨人の右足首に剣を突き刺した。そしてすぐさま剣を抜き、アキレス腱を叩き切る。巨人は人間と同じような体をしているから、高い位置にある目を突き刺すには足を切って体勢を崩すしかない。


 グアアアアアアア!!


 巨人は足を切られたからかとても悶絶している、やっぱり人間らしいな。しかしコイツは人間ではなく上級モンスターだ、だからこの手で殺しておかないと。俺はすぐさま背後に回り、頭の上に乗ってから飛び降りて、目を強く掻き切った。


 ブシャアアアア!!


 大量の血を流しながら、巨人は倒れた。よし、残りは一体か。モンタージュが避難誘導をしているとはいえ、広場には市民が集まりすぎた。だから巨人もそれなりに暴れているだろう。どっちも同時に討伐するなんて無茶だ、だから東の巨人を優先的に倒したのだが、どっちの方が良かったのか。


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